ものづくり補助金平成25年度製造業三重県

薄板プレス製品のバリレス高効率生産を実現する為の設備導入

株式会社一志精工電機

成果生産性 720個/時→9,600個/時

この事例のポイント

  • 薄板プレス製品の打ち抜きで出るバリにより納品先の作業者がけがをする事例が発生しており、対策が必要になった。
  • 社内技術者の検討と専門家への相談により、面押しや二次工程を使わずプレス工程のみでバリレスを実現する型構造、レイアウト、荷重、工法、クリアランスを最適化した。
  • 生産性 720個/時→9,600個/時。プレス工程のみでバリレス加工ができることを検証し、2次工程が不要になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社一志精工電機
所在地三重県 三重県津市
業種電気機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数40人
資本金1,000万円

事業の背景

多品種小量生産で、金属金型の設計・製作から部品加工、組立、検査、梱包、生産に必要な自動機・冶工具の内製までを行い、図面1枚から完成品出荷まで一貫して手がけている。プレス生産している主な製品は配線工事に使われる部品で、組立時に作業者の手が直接触れるため、バリによるけがが問題になっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度薄板プレス製品の打ち抜きで出るバリにより納品先の作業者がけがをする事例が発生しており、対策が必要になった。
  • 生産能力バリ対策には2次工程が必要で1次工程に仕掛品が発生し、多ロットの製品では対応が困難だった。
  • コスト・採算少しの工程ロスや材料ロスが生産に大きく影響するため、ロスを抑えて省資源・高効率生産を可能とする新工法の開発と、量産条件での有効性の実証が必要だった。

やったこと

社内技術者の検討と専門家への相談により、面押しや二次工程を使わずプレス工程のみでバリレスを実現する型構造、レイアウト、荷重、工法、クリアランスを最適化した。主要部の試作金型を作成し、クリアランスと加工深さをトライアルアンドエラーで追求したが、材料の引き込みの影響で材幅が広くなった。試作条件と順送時の問題点を加味して金型をコンパクト化し、順送型は既存の650×160mmから930×160mmとして高効率化を図った。プレスの歪み・撓み・口開きを抑えるため各メーカーと協議して加工条件に合う機械を選定し、必要に応じてカスタマイズを依頼した。量産条件の金型サイズ1m、加圧能力1000kN、プレス回転数100rpm以上を満たす大型で剛性の高い高速の順送用プレスを導入し、時間経過によるプレス変位、材料ロット差、金型寿命を検証した。

加工機順送用プレス

新しい製品・サービス:新たに開発した抜き工法によるバリレス金型

事業の効果

  • 生産性 720個/時→9,600個/時
  • 生産コスト 12.4円→6円

プレス工程のみでバリレス加工ができることを検証し、2次工程が不要になった。生産性は大幅に向上し目標値を達成した。生産コストは目標を少し上回ったが、既存技術と比べて大幅な生産性向上とコスト削減につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    既存のバリ対策は2次工程追加と記載があるが、経営戦略上の位置づけや過去の取組との一貫性は読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    一貫生産や内製化による高品質・短納期・低コストの強みは記載があるが、市場動向との関係や競争優位の根拠は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決4

    2次工程による仕掛品や材料ロスという課題を示し、生産性9600個/時、生産コスト12.4円から6.0円への低減で解決を図っている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産性720個/時から9600個/時、コストは目標5.5円に対し6.0円と目標未達だが、数値目標と検証結果が具体的に示されている。

  • 事業を進める体制3

    社内技術者による検討や専門家への相談、機械メーカーとの協議があるが、人員数や事務処理体制の具体的記載は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    配線工事部品で組立時に作業者が怪我をする事例があり、バリ対策の必要性と既存顧客へのアピールという狙いが書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    金型開発、プレス導入、連続運転評価という段階と評価方法は示されているが、スケジュールや中長期の課題検証は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    既存の2次工程バリレス対応と比べ、プレスのみでバリレス加工を実現した新工法で、歩留りや生産性で高水準の改善が示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    配線工事部品の作業者の怪我防止という安全面は読み取れるが、波及効果や雇用創出などの国が補助する理由は弱い。

  • 費用対効果4

    生産性720から9600個/時、生産コスト12.4円から6.0円と、費用対効果を示す数値が事例に具体的に書かれている。

  • イノベーションへの貢献2

    高速プレスや連続運転評価は技術面の取組として読めるが、デジタル技術や地域・サプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    津市の事業者であることは記載があるが、地域特性を活かした付加価値や雇用創出は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

既存の顧客にバリ対策の優位性をアピールし、新たな生産品目の獲得を目指す。展示会や企業マッチングを活用して新規顧客の獲得につなげる。自動車部品などでバリ除去の2次加工が日常的に行われている顧客にも優位性を訴え、金型部門の売上と金型単価(利益率)の向上を図る。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。