ものづくり補助金平成25年度製造業三重県

新たな杉圧密フロアプラスチック融合内装材

ジェイスマイル内装材協同組合

この事例のポイント

  • 杉無垢材は柔らかく傷つきやすいため床板への使用に適さず、主に壁板・天井板に使われてきた。
  • 外注委託で圧密処理した杉無垢加工材に、外注先でプラスチック溶液の浸透処理(WPC加工)を行った。
  • モルダー加工機で加工した製品は寸法精度が高まり、均一性を持った施工しやすい床材になった。

事業者のプロフィール

事業者名ジェイスマイル内装材協同組合
所在地三重県 松阪市
業種木材・木製品製造業
技術分野精密加工,表面処理
従業員数20人
資本金7,770万円

事業の背景

当組合は国産の杉・桧の無垢材を自社で圧密加工(高温のローラーで木材表面に圧力をかける熱圧処理)し、住宅資材の壁材・床材として販売している。杉無垢床板を圧密処理して付加価値を付けた杉圧密フロアを製造販売していた。現在の住宅仕様は外材が大半で、合板の床板・壁板・天井板など多くの新建材が使われている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度杉無垢材は柔らかく傷つきやすいため床板への使用に適さず、主に壁板・天井板に使われてきた。
  • 品質・精度顧客からは、傷が付きにくく耐久性があり、メンテナンスが容易で、反りや収縮が少なく、施工しやすい商品を求める声があった。
  • 販路・情報発信現在の住宅仕様は外材が大半を占め、合板などの新建材が多く使われているため、杉材の需要が広がりにくい。

やったこと

外注委託で圧密処理した杉無垢加工材に、外注先でプラスチック溶液の浸透処理(WPC加工)を行った。その後、当組合でモルダー加工と塗装作業を行い、杉無垢床板にはない表面硬度・強度・耐久性を持たせた。新たに6軸モルダー加工機の設置場所を検討して配置し、テスト加工を実施して加工材料に規定の寸法基準を定め評価した。専用のモルダー加工機と既存ラインを区別するため、プラスチックくず集塵設備を新設してプラスチックくずを専用に回収した。完成した新たな杉圧密プラスチックフロアについて、耐水性、耐汚染性、硬度、ひっかき傷、ひきずり傷、塗料の密着性などの性能試験を行った。

加工機6軸モルダー加工機
その他プラスチックくず集塵設備

新しい製品・サービス:杉無垢床板の長所である温かさ・柔らかさを内部に持ち、表面硬度・強度・耐久性を備えた新たな杉圧密プラスチックフロア(杉圧密プラスチック融合内装材)。

事業の効果

モルダー加工機で加工した製品は寸法精度が高まり、均一性を持った施工しやすい床材になった。加工機によるキズや汚れもなく、製品の寸法精度と仕上がりは問題ないと評価された。杉圧密プラスチックの性能面では、耐水性、耐汚染性、ひっかき傷、ひきずり傷、塗料の密着性に問題のないレベルであった。ブリネル硬度は予定値を下回ったが、製品としては評価できるレベルと見られる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去に圧密フロアを製造販売している実績があり、杉無垢床板の弱点を補う新製品として位置付けられている。ただし経営戦略上の明確な位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    顧客からの傷・耐久性・反り収縮への要望が挙げられ、圧密加工の得意分野を活かす内容である。市場規模や競合との比較の記載は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    傷つきやすさという課題を認識し、表面硬度を圧密で1.5~2倍にする方針が示されている。公共建築への参入機会も述べられているが、売上目標などの数字は書かれていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    ブリネル硬度6.1N/mm2の実績と予定値未達が記載されている。付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    WPC加工を外注委託し、当組合でモルダー加工・塗装を行う体制は読み取れる。人材や事務処理能力についての記載はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    「より傷が付きにくい、耐久性がある」といった顧客の要求が具体的に挙げられ、三重テラスやサミットでの採用実績も示されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作、寸法基準の設定、性能試験という手順と評価結果が示されている。今後のスケジュールや中長期の課題検証は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    杉圧密にWPC加工を組み合わせ、杉の2倍の硬度を実現する点が示されている。既存の杉無垢床板との差別化がはっきりしている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    公共建築等木材利用促進法の施行や、学校・病院等への参入機会の拡大が述べられている。雇用や波及効果の数字は書かれていない。

  • 費用対効果2

    投資額と付加価値増加の数字は書かれていない。寸法精度向上や不良品の少なさは示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    プラスチック溶液の浸透処理と木材の熱圧処理を組み合わせた新素材で、技術的な新規性は読み取れる。地域やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    木材利用の増加を背景に、木材の需要拡大と林業再生に言及している。日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    県産材の杉・桧を使い、三重の営業拠点や伊勢志摩サミットで県産材が採用された実績が書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

木材を使う建物が増える傾向にあり、表面をより強く硬くすることで、これまで応えられなかった顧客の要求を満たせることに加え、学校・幼稚園・老人ホーム・病院・体育健康施設などの公共建物への参入機会がさらに増える可能性がある。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。