ものづくり補助金平成25年度製造業富山県

マルチヘッド型NCルータ加工機による学童向け木製遊具の開発

有限会社波多巌木工所

成果マルチハンガーの生産台数 1台/日→20台/日

この事例のポイント

  • 安価な海外の木製品が出回るなか、競争に勝つために、より高水準な品質が求められていた。
  • 補助金で木工用マルチヘッド型NC加工機を導入した。
  • マルチハンガーの生産台数 1台/日→20台/日。加工機の導入後、競合他社をおさえて幼稚園・保育園向け木製マルチハンガーのメーカー下請け受注に成功した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社波多巌木工所
所在地富山県 南砺市
業種木材・木製品製造業
技術分野立体造形
従業員数30人
資本金2,000万円
設立1958年

事業の背景

昭和33年の創業以来、学校用体育器具の製作を主力とし、園児向け関連製品、自社ブランドのゴルフ場コース用品、木製看板へと製造・販売の幅を広げてきた。平均台や跳び箱など学校用体操器具の下請製作を得意とし、ゴルフ場コース用品では県内外のゴルフ場300コース以上で製造・販売実績がある。6000坪の工場敷地を持ち、インドネシアなど数カ国から木加工品を直輸入している。一方で、安価な海外の木製品の流入により競争が激しくなっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度安価な海外の木製品が出回るなか、競争に勝つために、より高水準な品質が求められていた。
  • 品質・精度より精度の高い機械の導入が求められていた。
  • コスト・採算商品開発力とコスト削減が欠かせなかった。
  • 人手・技能木工業界は3K(危険、汚い、きつい)のイメージが依然あり、職人不足が常態化していた。

やったこと

補助金で木工用マルチヘッド型NC加工機を導入した。この加工機は同時に多数の加工ができるため、工程数を減らして生産時間を短縮できる。平成26年12月に加工機を工場に設置し、数点の試作品に取り組んだ。金属ビスなどの金属固定具を使用しない木製品の組み立て技術の開発では、加工機で木製六角ナットと埋め込みナットを製作し、接着剤や金属ビスを使わずに組み立てられる椅子の試作品を完成させた。

  • 加工機木工用マルチヘッド型NC加工機

新しい製品・サービス:金属固定具を使用せず、分解して持ち運び、道具を使わずに組み立てられる椅子(テーブルなどさまざまな用途に応用可能)

事業の効果

  • マルチハンガーの生産台数 1台/日→20台/日

加工機の導入後、競合他社をおさえて幼稚園・保育園向け木製マルチハンガーのメーカー下請け受注に成功した。100以上の穴を一度に機械で空けられるようになり、手作業から機械加工へ切り替えたことで生産性と省力化が向上した。これまで採算が合わなかった製品も、価格と品質の面でメーカーの意向に沿って生産できるようになった。新商品開発への社内の意欲や社員のモチベーションも高まり、企業の信用度も増した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の学校用体育器具の製作を基盤に、園児向け・ゴルフ場用品へ拡大した経緯が書かれ、一貫性はうかがえる。ただし経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外の安価な木製品の台頭を課題とし、ゴルフ場300コース以上の実績や6000坪の工場、大型製品の製作設備を強みとして挙げている。

  • 課題の認識と解決4

    3K イメージによる職人不足や品質・コストの課題を認識し、NC加工機で工程数削減と生産時間短縮を図る具体的な対応が書かれている。

事業の実現可能性72%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    1日1台から20〜30台へ作業効率が上がったと数字で示され、一部作業を加工機に切り替えた効果も記載されている。ただし付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    加工機の導入と工場設備には触れるが、担当体制や人材、事務処理能力に関する記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    幼稚園・保育園向け木製マルチハンガーの用途や多方向調整の特徴、メーカーの評価による受注獲得が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    平成26年12月に加工機を設置し試作を経て量産化技術を開発した流れと、国産スギによる今後の遊具開発の課題・方針が書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    木製の学童向け遊具は一般的な分野だが、金属固定具を使わない組み立て技術で高品質化を図る点が一定の差別化として書かれている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    県産材を応用した木製品の普及促進と、植林材の国産スギ活用による地域産業の活性化への寄与が記載されている。

  • 費用対効果4

    加工機導入で1日あたり20〜30台製作へ生産性が上がり、採算の合わなかった製品が生産可能になったと効果が示されている。投入額との比較は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    マルチヘッド型NC加工機というデジタル加工技術は使われているが、ビジネスモデルやサプライチェーン全体への貢献は具体的に書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    県産材や地域産業の活性化に言及し、富山県の補助対象遊具に選ばれた実績もあるが、地域の雇用や成長への定量的な効果は書かれていない。

今後の展望

今後は、国産スギやヒノキを使った学童遊具の開発・販売を目指す。輸入材は天然木の伐採によるものが多く、自然環境破壊につながるほか、為替変動にも左右されやすいため、植林材の国産スギ(県産材)への転換が進む。国産スギは節が多く傷がつきやすく強度が低い課題があるが、長所を生かし欠点が問題にならない商品開発を目指す。メーカーとの共同開発も積極的に進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。