ものづくり補助金平成25年度製造業三重県

次世代ワークフローシステムの活用による短納期・小ロットへの対応と提案型営業への変革

上野印刷株式会社

成果見積書作成時間 10分/件→4分/件

この事例のポイント

  • 印刷物を電子媒体に置き換える動きが進み、情報とコミュニケーションを支援する事業への転換と同業他社との差別化を明確に打ち出す必要が生じていた。
  • 次世代ワークフローシステムとして、受注管理システムと制作製版ワークフローシステムを導入した。
  • 見積書作成時間 10分/件→4分/件。見積書作成などの事務時間が短縮され、空いた時間を企画立案や販促ツールの企画にあてられるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名上野印刷株式会社
所在地三重県 伊賀市
業種印刷・同関連業
従業員数20人
資本金1,000万円

事業の背景

これまで印刷物の企画・デザイン制作から加工・納品まで一貫して対応し、地域に根差した印刷ビジネスを展開してきた。しかし印刷物を電子媒体に置き換える動きが進み、同業他社との差別化が課題となっていた。顧客が求める短納期・小ロット対応のため、時間的ロスを限りなくゼロに近づける必要があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑印刷物を電子媒体に置き換える動きが進み、情報とコミュニケーションを支援する事業への転換と同業他社との差別化を明確に打ち出す必要が生じていた。
  • 人手・技能営業活動、短納期対応、小ロット対応に問題があると考えられていた。
  • コスト・採算受注型営業から脱却するため、見積り受注事務の時間的ロスを減らす必要があった。

やったこと

次世代ワークフローシステムとして、受注管理システムと制作製版ワークフローシステムを導入した。システム稼働に向けて作業の洗い出し、管理基準・業務運用ルールの整備、役割と責任の明確化、作業実行責任者の選出、研修などの体制整備を行った。見積書作成は8ページパンフレット(全頁4色、コート紙62.5K、中綴じ、2,000冊)で旧システム10分/件から新システム4分/件に短縮し、月間平均92件で月552分の改善とした。CTP出力の工程では検証4件の平均23分に短縮し、刷台1台あたり10分短縮した。営業は社内外の勉強会で企画提案力を高め、効率化で生まれた時間を営業活動に充てた。

ソフト受注管理システム
ソフト制作製版ワークフローシステム

事業の効果

  • 見積書作成時間 10分/件→4分/件
  • CTP出力工程で検証4件の平均値は23分になった。
  • 刷版の精度向上により刷り出しにかかる時間が刷台1台につき10分短縮した。

見積書作成などの事務時間が短縮され、空いた時間を企画立案や販促ツールの企画にあてられるようになった。CTP出力と刷版工程の短縮により、従来の本工程所要時間が40%~50%(ケースにより異なる)削減できることが検証された。小ロットでも標準原価の精度が上がり、適正な価格で提案型営業に対応できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    印刷物の企画・デザインから印刷まで一貫対応という過去の事業を前提に、電子媒体への転換に対応する方向が示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    印刷物が電子媒体に置き換わる市場動向と同業他社との差別化の必要性は書かれているが、自社の強み・弱みの定量的な整理は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    短納期・小ロット・営業の問題を課題として認識し、提案型営業への変革を計画している。営業事務時間の短縮や旧新システムの比較も示されている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    見積作成時間は10分/件から4分/件へ、月間改善効果は552分/月と数値で示され、CTP工程は23分の平均値と刷台10分短縮など数値目標と検証結果がある。

  • 事業を進める体制3

    稼働準備の洗い出し、管理基準の整備、役割と責任の明確化、研修実施など体制整備の記述はあるが、人材規模や事務能力の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    デザイン知識のある営業配置、ネットワークによる校正対応、小ロット提案などターゲットと提供価値は整理されているが、ニーズの裏付けデータは乏しい。

  • 事業化までの道筋3

    導入→検証→展開の流れや今後の展望は書かれているが、中長期の課題検証やスケジュールの詳細は読み取れない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    印刷ワークフローの高度化は一般的な分野だが、小ロット提案型営業と販促ツールのコーディネートで差別化を図る点が読み取れる。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用2

    地域に根差した印刷ビジネスという記述はあるが、波及効果や雇用創出など国が補助する理由の具体的記述は乏しい。

  • 費用対効果4

    見積時間削減や工程時間40〜50%削減の検証結果が示され、費用対効果の方向性はうかがえるが、補助金投入額との比較は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    ワークフローシステムと情報の一元管理による工程連携、ネットワークを使った顧客との校正作業など、デジタル技術の活用が具体的に書かれている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    印刷物から電子媒体・情報支援事業への転換が示されており、市場変化への対応はうかがえるが、日本経済の構造転換との関連は書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    地域に根差した印刷ビジネスの記述はあるが、地域の経済成長や雇用創出を牽引する内容は明示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

業務の効率化により営業余力を確保し、これまで注力できなかった地域や顧客に営業を行って収益向上を図る。制作・営業両部門にデザイン技術の高い社員を配置し、柔軟な企画提案で顧客の高い要求にこたえていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。