ものづくり補助金平成29年度製造業広島県

「コト」消費対応のための高速自動延反技術導入と独自SCMの確立

株式会社ビクトリー

成果ロス率 3%→0.2%

この事例のポイント

  • 消費者のライフスタイル志向の高まりに対応するため、既存の品質向上に加えて「コト」消費のコンセプトを製品に加える必要があった。
  • 生地の残りの長さを正確に記録し、正確な在庫数を把握した。
  • ロス率 3%→0.2%。延反工程のボトルネックを解消し、超高速コンベヤー延反機とその制御システムにより生産能力と作業負荷が改善され、生産効率が…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ビクトリー
所在地広島県 府中市
業種家具・装備品製造業
技術分野材料製造プロセス,材料製造プロセス,情報処理,情報処理
従業員数34人
資本金800万円
設立2006年

事業の背景

家具・インテリア市場では、(株)ニトリがコストリーダーシップ戦略で大量販売を行い市場を席巻してきた。2000年代以降、消費者にとって家具は住宅空間を満たす「備品」から、自分らしいライフスタイルを構成する要素へと変化し、少しずつ買い足されるようになった。自社は過去の補助事業で商品の質を向上させてきたが、需要の変化に対応するには生産システムの改善と川上・川下産業との連携が必要だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術消費者のライフスタイル志向の高まりに対応するため、既存の品質向上に加えて「コト」消費のコンセプトを製品に加える必要があった。
  • 生産能力在庫数が増え、在庫管理業務が煩雑になっていた。
  • 生産能力延反工程がボトルネックとなり、生産効率が上がらなかった。

やったこと

生地の残りの長さを正確に記録し、正確な在庫数を把握した。生地供給会社と生地の在庫データを共有し、適時な発注を可能にした。ロールは1人の作業者でも簡単にセットできるようにした。CADデータを取り込み、高速自動延反機で生地を自動かつ高速に切り重ねさせ、傷のある箇所を避けて必要な生地を過不足なく切れるようにした。超高速コンベヤー延反機とその制御システムを稼働させた。

加工機高速自動延反機(超高速コンベヤー延反機及びその制御システム)
ソフト生地在庫管理システム
加工機システム化した裁断機

新しい製品・サービス:「コト」消費のコンセプトを加えた家具製品

事業の効果

  • ロス率 3%→0.2%
  • 生地切断枚数 100枚/日→300枚/日
  • 生地切断作業員数 2名→1名
  • 不良品発生件数 50件/年→0件/年
  • 材料仕入高は100千円減少する目標(△100千円)

延反工程のボトルネックを解消し、超高速コンベヤー延反機とその制御システムにより生産能力と作業負荷が改善され、生産効率が向上した。リアルタイムで在庫数と裁断に必要な割当数が把握できるようになり、受発注先とのデータ共有により在庫の適切な管理が可能となって、在庫管理業務の煩雑さが軽減された。過去の質向上に「コト」消費のコンセプトを加えることができ、ライフスタイルに応じた提案の下地が整った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の補助事業での商品の「質」向上から一歩踏み込み、「コト」消費を加えるとあり、過去取組との一貫性は読み取れるが経営戦略上の位置付けは具体的でない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    ニトリのコストリーダーシップ戦略や消費者ニーズの変化に触れ外部環境は示されるが、自社の強み・弱みと競争優位の関係は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    ボトルネック工程となった延反工程と在庫数増大による管理負担を課題として認識し、延反機導入で解消する計画が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    製品開発の目標として、ロス率3%→0.2%、生地切断100枚/日→300枚/日、作業員2名→1名、不良品50件/年→0件/年と数値が示されている。

  • 事業を進める体制2

    補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記載はほぼなく、作業員数の削減に触れるのみである。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    「コト」消費というコンセプトや顧客のライフスタイルへのニーズは書かれるが、ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    延反機とその制御システム導入、生地在庫管理との連携など手段は示されるが、スケジュールや中長期の検証は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    家具製品で「質」に加え「コト」消費のコンセプトを加えるとあるが、同分野での高付加価値化の水準や普及度は具体的でない。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    府中・備後地区の家具・木工業の衰退と地域文化の維持に触れ、地域産業への貢献の意図は読み取れるが、雇用創出などの数値はない。

  • 費用対効果3

    材料仕入高が△100千円、不良品件数の大幅減など効果の数字はあるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    CADデータ取込みによる自動高速裁断や生地供給会社との在庫データ共有など、デジタル技術でサプライチェーン連携を進める内容が読み取れる。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    在庫管理やデータ共有などデジタル化の方向性はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及4

    府中・備後地区の地場産業を代表し地方経済の牽引役となる構想が書かれ、地域特性を活かす事業であることが読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

地場産業を代表する企業となり、地方経済の牽引役となることを考えている。自社ブランドの立ち上げにつなげたい。他の家具製造業者と共同で製品企画を行い、ノウハウを蓄積して企画・開発力を高めている。府中・備後地区の家具・木工業の衰退に危機感があり、生産工程を改善して技術力を高め、製品の差別化を図ることで地域の文化を守りたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。