ものづくり補助金平成25年度製造業滋賀県

リチウムイオン電池に使用する黒鉛粉末の薄片化技術の開発

日本黒鉛工業株式会社

この事例のポイント

  • リチウムイオン電池の大容量化には電池の内部抵抗を下げる必要があり、グラファイトの電導性を高めるため薄片化技術が求められていた。
  • 既存の粉砕工程を改良し、新たな粉砕工程を開発した。
  • 強酸を使わない独自の物理的手法により、100nm以下(70nm前後)の薄片化グラファイトの試作に成功した。

事業者のプロフィール

事業者名日本黒鉛工業株式会社
所在地滋賀県 滋賀県大津市
業種窯業・土石製品製造業
技術分野材料製造プロセス,製造環境,複合・新機能材料
従業員数258人
資本金9,000万円
設立1919年

事業の背景

同社は、粉末技術・塗料化技術・加工技術という総合技術により、自動車・電池・電子機器・金属加工の各産業に最適化したグラファイトを提供している。大容量・高パワーのLiイオン電池はスマートフォンやハイブリッド自動車に広く使われており、電気自動車の普及でさらなる市場拡大が期待されている。電池の性能を引き出すために内部抵抗をより下げることが求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術リチウムイオン電池の大容量化には電池の内部抵抗を下げる必要があり、グラファイトの電導性を高めるため薄片化技術が求められていた。
  • 生産能力グラファイトの薄片化には一般に強酸を使う手法が取られており、環境対策や安全衛生設備の負担が課題となっていた。

やったこと

既存の粉砕工程を改良し、新たな粉砕工程を開発した。強酸類を使わず、同社独自の物理的な手法でグラファイトを薄片化した。その結果、100nm以下(70nm前後)の薄片化グラファイトの試作に成功した。目標とした100nmの薄片化に向けて、粉末技術による薄片化を進めた。

新しい製品・サービス:100nm以下(70nm前後)まで薄片化したグラファイト(黒鉛)の試作品

事業の効果

強酸を使わない独自の物理的手法により、100nm以下(70nm前後)の薄片化グラファイトの試作に成功した。強酸類を使わないことで、環境対策になるだけでなく、安全衛生設備が不要となり生産現場の負担も改善された。薄片化グラファイトは、リチウムイオン電池の導電助剤や電極のプライマーコート用塗料のピグメントとして拡販を目指す段階にある。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の粉砕技術の改良と強酸を使わない独自手法への取組が続いてきたと読めるが、経営戦略上の位置づけは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    電池の内部抵抗低減が求められる市場動向と、強酸を使わない独自の粉砕技術という強みが書かれている。ただし競争優位の根拠は定量的でない。

  • 課題の認識と解決3

    電池の高性能化という課題に対し薄片化黒鉛を導電助剤等へ拡販する方針が書かれているが、売上目標などの数字はない。

事業の実現可能性36%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    100nm以下(70nm前後)の薄片化に成功したとあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    電池の導電助剤やプライマーコート用ピグメントという用途と、強酸不使用による安全性の利点が書かれている。顧客や価格面の裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋2

    今後の活動方針として拡販を目指すと書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    強酸を使う一般手法と異なる物理的手法で70nm前後の薄片化に成功したと具体的に書かれ、高付加価値化の内容が読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    電気自動車の普及で電池市場の拡大が期待されると述べられ、社会的な意義はうかがえるが、雇用や波及効果の数字はない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    強酸を使わない環境配慮型の薄片化技術とあるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    電池・電気自動車という成長分野への進出が書かれ、環境・エネルギー分野への関与がうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    滋賀県大津市の本社所在は分かるが、地域の特性を活かした事業であることは書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

薄片化黒鉛の特徴を生かし、正極・負極の活物質間の導電助剤や、正極(アルミ箔)・負極(銅箔)へのプライマーコート用塗料のピグメントとして拡販を目指す。粉末技術の差別化に塗料化技術・加工技術を組み合わせ、グラファイトの新しい応用を開いていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。