ものづくり補助金平成25年度製造業滋賀県

イタリアの特殊な天然酵母を活用した安心安全で美味な食パンの試作開発事業

有限会社柏屋製パン所

この事例のポイント

  • イタリア産天然酵母種は非常にデリケートで、生地に分割圧が加わると十分に膨らまず、従来の生産ラインでは安定的に大量生産することが困難だった。
  • イタリア産天然酵母種専用の設備として、新型小型分割機とベルト式プルファーを導入した。
  • 設備導入により、オールシーズン通して生地の膨らみや焼き上がりが均等になり、成型時のべたつきや乾きすぎもなく均一な天然酵母食パンを製造できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社柏屋製パン所
所在地滋賀県 甲賀市
業種食料品製造業
技術分野バイオ
従業員数14人
資本金1,000万円
設立1954年

事業の背景

創業1952年の甲賀市の老舗パン屋で、甲賀市・湖南市全域および日野町の小中学校給食に8000食前後のパンを届けている。前職の求人広告会社で培った営業力により、地域のカフェ、ホテル、病院、介護施設、ゴルフ場などに顧客が広がっている。一方、大手製パン会社は長期保存のために多くの添加物を使用しており、その中には発癌性が指摘され世界各国で食品への使用が禁止されている臭素酸カリウムも含まれている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度イタリア産天然酵母種は非常にデリケートで、生地に分割圧が加わると十分に膨らまず、従来の生産ラインでは安定的に大量生産することが困難だった。
  • 生産能力天然酵母種は酵母の生育バランスが培養条件の変化で崩れやすく、パンの味にムラができやすいため、工業的な大量生産には特殊なノウハウが必要だった。
  • 品質・精度予備発酵段階は温度・湿度の影響を最も受けやすく、季節によって生地の膨らみ方や焼き上がりにばらつきが生じていた。

やったこと

イタリア産天然酵母種専用の設備として、新型小型分割機とベルト式プルファーを導入した。新型小型分割機は生地に極力圧を加えずに分割し、グルテンの形成を壊さず伸展性を保てるようにした。潤滑油や生地カスが溜まるポケットを設けて掃除を容易にし、異物混入リスクを低減した。ベルト式プルファーは温度・湿度の制御能力が高く外壁が透明で、寝かせている間の生地の状態を職人が見ながら調整できる。従来の金属チェーン駆動をウレタンゴムベルトに替え、金属粉や潤滑油由来の異物混入リスクを低減した。本事業では導入設備で天然酵母食パンを試作し、生産体制を確立するとともに地域の施設に営業を展開する。

加工機新型小型分割機
加工機ベルト式プルファー

新しい製品・サービス:イタリア産の天然酵母種を活用した無添加の天然酵母食パン

事業の効果

設備導入により、オールシーズン通して生地の膨らみや焼き上がりが均等になり、成型時のべたつきや乾きすぎもなく均一な天然酵母食パンを製造できるようになった。金属チェーンからウレタンゴムベルトへの変更と掃除の容易な分割機により、異物混入リスクが低減し製造ロスが少なくなった。生産性もはるかに高められたとしている。事業終了後は、人気番組の取材を受けて遠方からも工場直売に来店が増え、大手スーパーでも取り扱われるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業1952年の老舗で、天然酵母食パンは5年の試行錯誤を経て開発された延長線上の取組として読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    大手製パンの添加物使用との差別化、無添加志向という強みが示されるが、市場規模や競合の数値は書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    生産の大量化が課題として示され、分割機やプルファー導入で解決する計画だが、具体的な数値目標は見当たらない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産性の向上は「はるかに高められた」とあるのみで、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    社員14人、装置メーカーと設計打合せ済みとあり体制は一定読み取れるが、人材や事務体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    無添加で劣化が少ない天然酵母食パンという価値と、給食や高級ホテル・老人ホームなど顧客ターゲットが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試作から生産体制確立、施設への営業展開という段階は示されるが、スケジュールや課題解決の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    イタリア産天然酵母種を用いた食パンを、同分野で高付加価値化する取組として具体的に説明されている。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    地域の小中学校給食や地元施設への供給といった地域性はうかがえるが、経済波及や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果2

    異物混入低減や製造ロスの減少が示されるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    甲賀市・湖南市・日野町の地域給食や地元の施設へ供給する地域密着の事業であることは読み取れるが、雇用や成長への効果は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

設備導入により、オールシーズン通してパンの焼き上がり、風味、食感を均一化でき、クオリティの高い天然酵母食パンを作れるようになった。異物混入リスク低減により、製造ロスが少なくなり生産性も高められた。今後は施設営業を進め、ホテル、高級老人ホーム、ゴルフ場などへの展開を見込んでいる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。