ものづくり補助金平成25年度製造業滋賀県

糸の糊付け加工における、太陽熱による糸乾燥の確立と一貫した加工による生産工程の構築

株式会社おおまえ

成果リードタイム 4日→1日

この事例のポイント

  • 糸の糊付け乾燥は大量の重油やガスを使うため、生産数の増加とともに燃料使用量が増え、コストがかかる。
  • 既存のビニールハウスを太陽熱乾燥の干し場として再利用し、新たな設備材料の使用を削減した。
  • リードタイム 4日→1日。太陽熱のみで糸を乾燥できる工程を実現し、化石燃料の使用削減と温暖化対策につながった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社おおまえ
所在地滋賀県 東近江市
業種繊維工業
技術分野機械制御,材料製造プロセス,製造環境,表面処理
従業員数2人
資本金1,000万円
設立1953年

事業の背景

最近の気候温暖化により夏素材衣服の着用期間が長期化し、アパレル・服飾業界から夏素材や冷感素材の要望が高まっている。そのため麻に似た擬麻の需要の伸びが期待されている。擬麻は糸同士の摩擦を減らすため、糸一本ずつに糊付けする加工が必要になる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算糸の糊付け乾燥は大量の重油やガスを使うため、生産数の増加とともに燃料使用量が増え、コストがかかる。
  • コスト・採算化石燃料を使った乾燥機は気候温暖化に悪影響を与えるため、乾燥工程の化石燃料使用を削減する必要がある。
  • 生産能力熟練作業者による重労働の複数工程と外注作業があるため、生産能力向上に制限がある。
  • 納期・工程糊付けから水洗、チーズ巻きまでの工程が分かれており、リードタイムが4~5日かかっていた。

やったこと

既存のビニールハウスを太陽熱乾燥の干し場として再利用し、新たな設備材料の使用を削減した。送風機の風量と気流、糸の張力と送りスピードを最適化し、水洗後の糸を60mのビニールハウス内で30往復させ、延べ2,000m余りの乾燥工程とした。これにより太陽熱のみで乾燥できる工程を実現した。綛の状態にせず直線状の糸のまま糊付けから水洗までを一貫作業できるスタンド、糊付け量・反応液量・水洗用水量を最適化する各層の構造を開発した。チーズ巻きは既存のチーズ巻用巻取り機を改良して投資を最小限にし、内製化した。

その他太陽熱乾燥用の既存ビニールハウス(再利用)
その他糊付けから水洗までの一貫作業用スタンド
加工機既存チーズ巻用巻取り機(改良)

新しい製品・サービス:擬麻糸を用いた、着心地・肌触りの良い夏向け素材および新たな業界向けの製品

事業の効果

  • リードタイム 4日→1日
  • 60mのビニールハウス内を30往復させ延べ2,000m余りの乾燥工程とし、太陽熱のみで乾燥できる工程を実現

太陽熱のみで糸を乾燥できる工程を実現し、化石燃料の使用削減と温暖化対策につながった。糊付けから水洗、チーズ巻きまでの一貫化により重労働の熟練工程を削減し、リードタイムを大幅に短縮した。単なる内製化にとどまらず、少量複数ロットへの生産対応も可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の苦い経験を生かして自ら設備を設計・開発し、自然素材を大切にする思いが示されているが、経営戦略上の位置づけまでは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    柿渋染め用のビニールハウスを再利用し、夏素材・冷感素材の需要増に対応する擬麻糸を扱うなど、自社の強みと外部需要が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    重油・ガス乾燥による化石燃料使用やリードタイム4~5日という課題を示し、太陽熱乾燥とリードタイム1日への短縮で解決したと数値で書かれている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    リードタイム1日や延べ2,000mの乾燥工程といった工程上の数値はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数2名で代表取締役が事業担当者を務めると書かれているが、補助事業を遂行する体制の具体的な説明は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    擬麻糸は着心地や良好な肌触りが特徴で、アパレル・服飾業界の夏向け素材需要が顧客ターゲットとして具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋2

    新たな業界向けの製品開発にチャレンジしたいという方向性はあるが、遂行スケジュールや中長期の課題解決方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    擬麻糸は業界の中でも特殊な糸と書かれ、麻に似た吸湿性・清涼感という特徴があり、需要の伸びも期待されると示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    化石燃料削減による温暖化対策や、夏素材需要に応える新たな製品という社会的意義は書かれているが、波及効果や雇用創出の数値は見当たらない。

  • 費用対効果3

    既存のチーズ巻取り機の改良で投資を最小限にしたとあるが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果は数値で示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    太陽熱という自然エネルギーを活用した乾燥工程と、糊付けから水洗までの一貫加工の設備開発が書かれているが、デジタル技術の活用は見られない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    夏素材・冷感素材への需要の高まりに触れているが、日本経済の構造転換や成長分野への進出としての位置づけは明確ではない。

  • 地域経済への波及2

    自然素材や豊富な水を活かしたものづくりとは書かれているが、地域の雇用や経済成長への言及は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

擬麻糸の特徴を活かし、夏向け素材にとどまらず新たな業界に向けた製品開発にも挑戦していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。