ものづくり補助金平成27年度製造業石川県

細糸商品の生産における制御技術の高度化による生産能力の強化

丸井織物株式会社

この事例のポイント

  • 細糸製品が生産の約40%を占めており、今後さらに増える見込みだが、生産設備の細糸対応が追いついていなかった。
  • 準備工程の糊付工程で、送り出し側と巻取り側のそれぞれの張力を測定し、その結果をサーボモータで制御する方式に変更した。
  • 本事業により、細糸商品の生産スピードの制約が改善され、20D原糸で20〜35%のスピードアップを実現した。

事業者のプロフィール

事業者名丸井織物株式会社
所在地石川県 鹿島郡中能登町
業種繊維工業
技術分野機械制御
従業員数295人
資本金5,718万円
設立1956年

事業の背景

織物業界では軽量で伸縮性のある細糸への傾向が続いている。当社は生産の約40%を細糸製品が占めており、今後も増える見込みである。主力はポリエステルやナイロンなどの合繊糸を使った織物で、主な製品はダウンジャケットやスポーツウェアである。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力細糸製品が生産の約40%を占めており、今後さらに増える見込みだが、生産設備の細糸対応が追いついていなかった。
  • 生産能力準備工程がボトルネックとなっており、30D以下の細糸では120m/s以上の速度になると糸の張力変化で糸が上下に振れ、速度を制限せざるを得なかった。
  • 品質・精度生産スピードを上げると糸の張力変動による振れで糊付けの量にムラが生じ、染めた際に模様が付いたように見える不良が発生する場合があった。

やったこと

準備工程の糊付工程で、送り出し側と巻取り側のそれぞれの張力を測定し、その結果をサーボモータで制御する方式に変更した。従来はDCモータで張力計測の結果をフィードバックしていたが、構造上の理由から細糸への応答性が劣っていた。制御するサーボモータの数を増やしたことで、より繊細な張力制御が可能になった。さらに設備の稼働情報を社内ネットワークを通じて遠方監視できるようにし、設備トラブルの予防保全や早期対応を可能にした。

加工機サーボモータ
検査測定張力測定器
ソフト稼働監視ソフト

事業の効果

本事業により、細糸商品の生産スピードの制約が改善され、20D原糸で20〜35%のスピードアップを実現した。これにより、生産難度の高い細糸を使う新商品開発のスピードアップにつながる。また、設備の遠方監視によって、トラブルの予防保全や早期発見・早期対応が可能となった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    織機を順次更新してきた経緯と、細糸比率が約40%で今後増える見込みという流れが書かれ、一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    細糸トレンドという外部環境と、20D原糸で20〜35%のスピードアップという自社の対応は読み取れるが、競争優位の説明は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    準備工程の糸張力変動が生産ボトルネックで糊ムラ不良も生じると課題が具体的に示され、サーボ制御による解決策も記載されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    20D原糸で20〜35%のスピードアップという具体的な数値目標と実績が示されている。賃上げや付加価値額の目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    体制や人材、事務処理能力について記載がなく、社員数295人と設立年月のみがわずかにうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    細糸商品の軽量化・機能性や東京オリンピック関連の需要など、ターゲットとニーズは読み取れるが具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋3

    10D・8Dの糸への展開や新商品開発の方向性は示されるが、スケジュールや課題解決の方法の詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    細糸・ダウンジャケットや高機能素材の生産で、他社と差別化した商品を開発する方針が示されている。普及度の数値は書かれていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    オリンピック採用実績や国内外への販売拡大が言及されるが、雇用創出や波及効果の具体的な記述はわずかにうかがえる程度。

  • 費用対効果3

    スピードアップ効果と新商品開発スピードへの寄与は示されるが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    遠方監視や予防保全、社内ネットワークでの稼働情報管理は読み取れるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    石川県の地域企業であることや能登上布の歴史は書かれるが、地域の特性を活かした経済成長への言及はわずかにうかがえる程度。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

2020年の東京オリンピックを大きな商機と捉えている。今後は10D、8Dのより細い糸を使い、さらに軽量化を進める。スポーツウェアではストレッチ性や通気性、ダウンジャケットでは保温性といった機能性を高め、他社と差別化した商品を開発し、国内外への販売拡大を図る。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。