ものづくり補助金平成25年度製造業京都府

和装用絹織物を異素材と複合加工する空間装飾材「絹ガラス」事業

株式会社伊と幸

この事例のポイント

  • 和装市場が縮小するなか、着物を着ない人にも当社の絹の美しさをどう伝えるかが課題だった。
  • 補助事業では接着完成度を上げる試作品製作を中心に開発に取り組んだ。
  • 絹ガラスはホテル、公共施設、商業施設などに導入され、コロナ禍で和装の仕事が激減するなか会社を支える重要な柱に育った。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社伊と幸
所在地京都府 京都市
業種繊維工業
従業員数14人
資本金9.9億円
設立1950年

事業の背景

当社は昭和6年に創業した和装用絹の白生地メーカーで、生地の企画から手掛け、社内の図案家によるオリジナル紋様が特徴である。和装市場は縮小しており、主要製品の和装用白生地に加えて新たな需要を探す必要があった。主要取引先は全国の呉服専門店や建設・インテリア関連企業である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信和装市場が縮小するなか、着物を着ない人にも当社の絹の美しさをどう伝えるかが課題だった。
  • 新製品・新技術絹は水濡れや紫外線に弱いため、空間に常時置く製品にするにはその欠点を克服する必要があった。
  • 品質・精度合わせガラスの中に刺繍紋様のある絹織物を封入すると、接着が不均一になり気泡や部分的な剥離が生じていた。

やったこと

補助事業では接着完成度を上げる試作品製作を中心に開発に取り組んだ。提携する国内3社のガラス加工工場と協力し、絹織物と2枚の板ガラスの間に接着の役割を担う中間膜を挟んだ5層構造に、熱と圧力を加えて圧着させる方法を検討した。酸化鉄の含有が少なく透明度の高い高透過ガラスを使い、刺繍紋様を鮮明に見せられるようにした。温度や温度の上げ方、時間、中間膜の膜厚を調整し、紋様や生地ごとに最適な加工条件を探った。コロナ禍で時間ができたことを機に、ポリカーボネイトの熱プレス加工による絹ガラス製作にも取り組み成功した。

新しい製品・サービス:絹ガラス(和装用絹織物を合わせガラスに封入した空間装飾用のインテリア建築資材)

事業の効果

絹ガラスはホテル、公共施設、商業施設などに導入され、コロナ禍で和装の仕事が激減するなか会社を支える重要な柱に育った。ガラスに比べて強度が格段に増したことで新たな用途が広がり、個人の戸建住宅、医療機関、高齢者向け住宅、マンションからも引き合いを得ている。自動車メーカーからの車内装材の引き合いもあるが、安全性の要求を満たしきれず実装には至っていない。製品の透明度向上により紋様が鮮明に見えるようになり、若手社員も絹の美しさを同世代に伝えられるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性4

    和装白生地の事業から絹ガラスへ展開し、絹で空間を装うコンセプトを発案したと具体的に書かれており、既存事業との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    和装市場の縮小と当社の強みである絹の美しさを踏まえた展開は読めるが、競争優位の定量的な根拠は示されていない。

  • 課題の認識と解決3

    コロナ禍による和装売上の落ち込みという課題認識はあるが、利益比率1:1:1の商品構成など計画の数値は一部にとどまる。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値や賃上げの目標値は書かれておらず、利益比率1:1:1の構成計画がうかがえる程度にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    社内図案家や提携する国内3社のガラス加工工場との協働体制が書かれており、体制の一端は読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高透過ガラスで刺繍紋様を鮮明に見せる価値や、ホテル・公共施設・戸建など導入先の具体的な顧客像が書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    試作を重ね気泡や接着不良を解消した課題解決の経緯が具体的で、自動車向け展開の段階的計画も示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    絹織物を合わせガラスに封入する手法は前例がなく、高透過ガラス等で他社と差別化した高付加価値化が読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    伝統工芸の継承や新たな需要創出への言及はあるが、経済波及効果や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助事業の投入額や付加価値増加額の記載がなく、費用対効果は直接読み取れない。

  • イノベーションへの貢献2

    ポリカーボネイトの熱プレス加工など技術革新はうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーン貢献の記述は乏しい。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    和装市場縮小からインテリア建築資材への構造転換が示唆されるが、成長分野への進出という明示はない。

  • 地域経済への波及3

    京都の伝統工芸職人との連携や京の伝統を支える取組が書かれ、地域の特性を活かした事業であることが読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

絹ガラスの販路をさらに拡大し、将来的には自動車業界への供給を目指している。今後は3種の製品の利益比率を1:1:1となるような商品構成を計画している。加工先、販売ネットワーク、職人とともに新しい需要で新しいチームを組み、培ってきた絹の技術を伝統工芸の継承につなげたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。