ものづくり補助金平成25年度情報通信業京都府

スマホとICタグを使った聴診トレーニングシステムの開発

株式会社ゴビ

この事例のポイント

  • 医療人材の育成には聴診トレーニング用の設備を研修医や看護学生一人ひとりに行き渡らせる必要があるが、高額な設備では予算の関係から複数台の導入が難しい。
  • 研修医や看護学生を学習者とした聴診トレーニングシステムを開発した。
  • 安価で自己学習が可能な聴診トレーニングシステムを開発できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ゴビ
所在地京都府 京都市
業種インターネット付随サービス業
技術分野情報処理
従業員数11人
資本金4,400万円
設立1989年

事業の背景

株式会社ゴビはRFIDタグをセンサーとして扱い、RFIDタグリーダーを用いた人的支援システムの開発を得意としている。代表例はピッキング作業支援システムで、部品棚のRFIDタグを手首のウェアラブルRFIDリーダー(TECCO)で読み取ってミスを警告する。以前共同出展した看護ケアスキル教育支援システムでも実績のあるRFIDタグやタブレット端末を活用し、安価で自己学習が可能な聴診トレーニングシステムの開発に取り組むことになった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算医療人材の育成には聴診トレーニング用の設備を研修医や看護学生一人ひとりに行き渡らせる必要があるが、高額な設備では予算の関係から複数台の導入が難しい。
  • 人手・技能聴診の訓練を受けられる医師や看護師の育成が追いつかず、医師が検査機に頼りがちで聴診検査が軽視されやすい。
  • 新製品・新技術違和感のない自然な聴診を模擬するには、チェストピースをどの位置に当てても即座に反応する適切なRFIDタグの配置と読み取りが求められる。

やったこと

研修医や看護学生を学習者とした聴診トレーニングシステムを開発した。聴診器型RFIDタグリーダーは、ウェアラブルRFIDリーダー(TECCO)のアンテナ形状をチェストピース型に変え、本物の聴診器と同じ使用感を可能な限り実現した。ダミー人形は既存のマネキン人形の胸部パーツにRFIDタグを埋め込み、チェストピースをどの位置に当てても即座に適切なタグを読み取れるよう、小さいタグを隙間なく敷き詰めてサイズと配置を試行錯誤した。特定の症例患者向けにはアタッチメント式の胸部パーツも製作した。トレーニングアプリは学習モードと採点モードを備え、タブレットで聴診位置と順番を指導・評価する。タブレットのみで学習できるオフラインモードも用意した。

その他聴診器型RFIDタグリーダー
その他ダミー人形(RFIDタグ埋め込みの胸部パーツ)
ソフトトレーニングアプリ(タブレット用)
その他タブレット端末

新しい製品・サービス:スマホとICタグを使った聴診トレーニングシステム

事業の効果

安価で自己学習が可能な聴診トレーニングシステムを開発できた。看護大学の複数の教員による評価では、初学者でも取り組みやすく学習ポイントが定着させやすいこと、チェストピースを人形に当てた際の呼吸音のフィーリングも問題ないことという高い評価を得た。課題であった安価さと自然な聴診の両立により、医療分野でのRFIDタグの有効性を示せた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去に共同出展した看護ケアスキル教育支援システムの実績と、RFIDを使う人的支援システムを継続開発している点は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    安価で自己学習可能な聴診トレーニングを狙う点や、RFIDタグ技術と看護分野の知見は読み取れるが、市場規模や競合との比較は書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    課題として安価なトレーニングシステムの導入と違和感のない聴診の実現が挙げられ、製品化課題も示されているが、事業計画としての数値は書かれていない。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化や賃上げにつながる目標値は書かれておらず、わずかに製品化や販路開拓の方向性がうかがえる程度である。

  • 事業を進める体制3

    従業員11人で開発を進めたこと、産学連携や大学との共同研究を行っていることは読み取れるが、補助事業の遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    学習者は研修医や看護学生で、安価で自己学習可能、オフラインモードで授業時間外にも使える点が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋4

    今後の課題として、ダミー人形の模型製作、販路開拓、アプリ充実の3点が挙げられ、対応方向が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    聴診トレーニングは普及度が低い分野で、タブレットとICタグを用いて安価に製造する点が特徴として具体的に書かれている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    大量の医療人材育成、災害時に聴診が主体となる点など社会的な必要性は書かれているが、経済波及や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    安価なシステムである点はうかがえるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    RFIDタグとタブレットを活用し、学習者の動作と動画教材を連動させる新しい教育手法が具体的に示されている。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    医療・看護・介護分野への事業展開が述べられており成長分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

製品化に向けて、触感が人間に近い専用の胸部パーツの開発と、協力会社の選定や製造コストを考慮した製法の検討が必要である。また医療系の販路を持つ会社と協力関係を築き、医学部や看護師学校への販路を開拓する。さらに学生の意見を反映してトレーニングアプリを充実させる。看護・介護分野への事業展開も進める。

業種と困りごとが近い成果事例

千葉県情報通信業平成25年度

障害者関連事業で商品と顧客サービスを革新する就労支援事業

障害者就労支援器具「ワークサンプル幕張版」で使う30段棚を、既存の台湾製木製棚から国産のプラスチック製棚に変更した。

効果:台湾産木製棚から国産プラスチック製棚にしたことで軽量化、高品質化、低コスト化が実現した。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。