ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

センサ・アクチュエータを備えた衣服にすることができる生地材料の開発

阪上織布株式会社

この事例のポイント

  • 複合できる素材の大きさは30cm角が限界で、実用レベルの生地サンプルを作れなかった。
  • テキスタイルと異素材(電気信号等を伝える複数の通信ケーブルと熱可塑性樹脂)を複合し、やわらかさや意匠性といった生地の機能、情報伝達の機能、高強度の3つの特性を備えた生地材料の開発…
  • 実用化レベルの大きさの生地サンプルを作れるようになり、試作期間を12ヵ月以上短縮できた。

事業者のプロフィール

事業者名阪上織布株式会社
所在地大阪府 泉南郡熊取町
業種繊維工業
技術分野複合・新機能材料
従業員数19人
資本金1,000万円
設立1951年

事業の背景

同社は昭和26年に創業した織物工場で、短繊維の織物の受託加工を主に扱っている。医療・福祉機器では高い機能性と信頼性が求められ、センサや電子機器を統合したスマート健康管理システムの開発が進んでいる。一方で、センサ・アクチュエータを衣服として身にまとう手段の技術開発が遅れていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力複合できる素材の大きさは30cm角が限界で、実用レベルの生地サンプルを作れなかった。
  • 人手・技能異素材を手作業で織機へ供給していた。
  • 新製品・新技術センサ・アクチュエータは小型化が進む一方で、それを身にまとう手段の開発が遅れている。

やったこと

テキスタイルと異素材(電気信号等を伝える複数の通信ケーブルと熱可塑性樹脂)を複合し、やわらかさや意匠性といった生地の機能、情報伝達の機能、高強度の3つの特性を備えた生地材料の開発に取り組んだ。試作のための装置を導入し、従来は30cm角が限界だった異素材の複合を、実用化レベルの大きさの生地サンプルとして作れるようになった。従来は異素材を手作業で織機へ供給していたが、新たな方法では異素材を個別ビーム毎に自動的に供給できるようにした。その結果、試作期間を12ヵ月以上短縮し、日本国内での特許も取得した。

加工機異素材供給・生地試作用装置

新しい製品・サービス:センサ・アクチュエータを備えた衣服にできる、テキスタイルと異素材を複合した生地材料。

事業の効果

実用化レベルの大きさの生地サンプルを作れるようになり、試作期間を12ヵ月以上短縮できた。異素材を自動的に供給できるようになったことで、作業の効率も上がった。特許を取得したことで阪上織布の認知度が上がり、大手企業に自社の技術をアピールしやすくなり、クライアントからの信頼も得られた。その結果、電機メーカーなど今までは関わりのなかった顧客や、商社を介した海外のインテリア・建材分野の顧客を開拓できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    織物の受託加工から技術を育て、異素材複合へ展開してきた流れは読めるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    超高密度織物や異素材織り込みなど自社の強みを示し、綿密度を20%高めた点など他社にない優位性が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    異素材の手作業供給が課題とされ、自動供給で試作期間を12ヵ月以上短縮した点は読み取れるが、収益化の計画は薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    試作期間12ヵ月以上短縮や30cm角から実用サイズへの拡大は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員19名と記載はあるが、補助事業を遂行する体制や人材配置についての説明はうかがえる程度である。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    センサや電子機器を身にまとう生地の需要を背景に、3つの特性を備えた生地材料と顧客候補を具体的に示している。

  • 事業化までの道筋3

    今後2-3年はアート・エンターテイメント分野で試作を続けると時期と方針が示されるが、課題解決の詳細な手順は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    異素材を織り込む織物は一般的ではなく、綿密度を限界より20%高めた織物など高水準の高付加価値化が具体的に示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    医療・福祉機器のスマート健康管理システムという社会的需要にはふれているが、波及効果や雇用創出の記述は少ない。

  • 費用対効果3

    試作期間の12ヵ月以上短縮や特許取得など効果は示されるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    電機メーカーや樹脂メーカーとの協力、異分野融合への展開が書かれ、サプライチェーンへの貢献がうかがえる。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療・福祉やスマート健康管理など成長分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    熊取町の地域性や地域経済の牽引に関する記述はなく、地域の特性を活かした内容はわずかにうかがえる程度である。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後2〜3年はアートやエンターテイメント分野で試作を作り続け、収益性の高い分野を探していく。他の繊維メーカーや樹脂メーカーとの協力も進め、他分野との融合を図る。試作品製造で得たノウハウを新製品に生かし、少しずつ自社製品の販売を目指す。海外での特許出願も進める。

事業者の声

織物製造のプロフェッショナルとして、技術に裏付けられた自負と自信があります。今後は、さらに異業種、異業界とのつながりを持ち、その織物技術を生かしていきたいです。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。