ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

道路橋鋼床版の下面補強用高性能ワンサイドボルトの開発

株式会社巴製作所

この事例のポイント

  • 高速道路鋼床版の疲労亀裂の補修には、橋梁上面の舗装を撤去してコンクリートを打つ大規模工事が必要で、通行止めや交通規制を伴う。
  • 鋼床版の下面からのみで補修・補強できるよう、高性能ワンサイドボルトを開発した。
  • 工場での試験施工で確認した手順どおりに現場施工でき、舗装を痛めることなく下面からの作業だけで当て板補修ができることが確認された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社巴製作所
所在地大阪府 大阪市港区
業種金属製品製造業
技術分野接合・実装,表面処理
従業員数48人
資本金6,000万円
設立1948年

事業の背景

昭和23年創業の同社は、水道・ガス配管のボルトナットを製造・販売し、全国の耐震型水道パイプラインに採用されている。設計・提案力を生かして10年前から土木業界に進出し、数年前には工事部門も立ち上げた。道路構造物の老朽化は10年以上前から指摘されていたが、長引くデフレで維持管理予算は削減され、平成24年の笹子トンネル天井板落下事故を受けて国土交通省は平成25年を「メンテナンス元年」と位置づけた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術高速道路鋼床版の疲労亀裂の補修には、橋梁上面の舗装を撤去してコンクリートを打つ大規模工事が必要で、通行止めや交通規制を伴う。
  • その他通行止めや交通規制は渋滞や事故を招き、環境への悪影響と経済活動への影響も大きい。

やったこと

鋼床版の下面からのみで補修・補強できるよう、高性能ワンサイドボルトを開発した。試作品で単品の性能評価を行った後、橋梁モデルに補強板を取り付け、大型車両を想定した200万回の繰り返し荷載試験を実施して補強工法としての有効性を確認した。実橋での施工に先立ち、原寸大供試体を工場で製作して試験施工を行い、約2m区間で当て板を施工する手順を確認した。その後、供用後27年が経過した本四高速のUリブ鋼床版箱桁橋で試験施工を行った。さらに、昭和47年竣工の国道2号線の単純鋼合成鈑桁橋で3パターンの構造に発生する亀裂について試験施工を行い、施工前後の供用荷重下で72時間連続の応力頻度測定を実施した。

新しい製品・サービス:鋼床版下面補強用高性能ワンサイドボルト

事業の効果

工場での試験施工で確認した手順どおりに現場施工でき、舗装を痛めることなく下面からの作業だけで当て板補修ができることが確認された。ワンサイドボルトによる補強は200万回の繰り返し荷載試験で有効性が示された。測定の結果、予防保全対策による応力低減効果と疲労寿命向上効果が十分に得られることが確かめられた。通行止めや交通規制が不要な補修方法として、安全性と経済面の両方に配慮した工法となった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業68年のボルト製造を起点に、継ぎ手開発や10年前からの土木業界進出、数年前の工事部門立ち上げと事業の流れが一貫している。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    TOMコートによる耐カジリ技術や顧客との共同開発実績を強みとし、通行止め不要の補修工法で市場の課題に対応する点が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    供用後27年の鋼床版疲労亀裂と通行止めによる経済影響を課題として明示し、ワンサイドボルトで解決する方針が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。付加価値や賃上げの目標値は記載がありません。

  • 事業を進める体制3

    従業員48名の体制と、工場での原寸大試験施工や近畿地整研究会での実橋試験施工の実績から、遂行能力がある程度うかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    通行止めや交通規制が不要という製品の価値と、鋼橋メンテナンス市場を顧客ターゲットとする点が明確に整理されている。

  • 事業化までの道筋4

    工場試験、実橋での試験施工、効果検証、PRという段階的な進め方と、実橋へのフィールド展開の方針が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    資本金60,000千円の記載のみで、財務状況や金融機関からの資金調達については公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    ワンサイドボルトという独自の補修方法は示されるが、同分野の普及度や高価格化について具体的な記載はわずかにうかがえる程度。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用4

    笹子トンネル事故や国土交通省の提言を背景に、道路インフラの老朽化対策という国が補助する社会的必要性が明確に示されている。

  • 費用対効果3

    72時間の応力頻度測定と200万回の繰り返し荷載試験で効果を確認しているが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    新しい補修工法による効果は示されるが、先端的デジタル技術や新ビジネスモデルの活用については記載がわずかにうかがえる程度。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    道路インフラのメンテナンス需要の増加に対応する点はうかがえるが、日本経済の構造転換に資するという記述は限定的。

  • 地域経済への波及2

    大阪市に本社を置き京阪神の公共事業入札に参加する点はうかがえるが、地域の特性を活かした雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

試験施工と効果の実証を重ねた工法としてPRを行い、鋼橋メンテナンスにおける市場拡大を目指していく。

事業者の声

製造メーカーの強みを持ちながら、施工できる会社へ成長したい!

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。