ものづくり補助金平成25年度製造業兵庫県

足計測工房開設による一足作り用靴型及びインソールの製作・販売

有限会社大山

この事例のポイント

  • 製靴業の生産高が漸減し、ピーク時の半分程度まで減ったため、このままではじり貧になるおそれがあった。
  • 足型3D計測装置、足裏圧力計測装置、各種解析システム、インソール切削装置を導入した。
  • 現在、プロの野球選手やゴルフ選手にインソールをサンプルとして試用してもらっている。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社大山
所在地兵庫県 神戸市
業種その他の製造業
技術分野測定計測,立体造形
従業員数14人
資本金800万円
設立1966年

事業の背景

神戸市長田区の地場産業である製靴業は、阪神・淡路大震災による製造設備への打撃と、廉価な東南アジア製品の台頭により、生産高がピーク時の半分程度に減少した。当社はその製靴を支える靴型製作を50年以上手がけてきた。生産高の漸減を受けて新事業を模索していたところ、2020年のオリンピックを控えたスポーツ習慣の広がりや健康志向の高まりを背景に、インソールに商機を見いだした。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信製靴業の生産高が漸減し、ピーク時の半分程度まで減ったため、このままではじり貧になるおそれがあった。
  • 新製品・新技術靴型製造の受注に依存し続けるのでは先細りになるため、新たな事業の柱を探す必要があった。
  • 品質・精度量産型のインソールは良いフィット感が得にくく、外反母趾などの足の悩みや歩き方の癖に対応しきれなかった。
  • 人手・技能インソールの設計では、発注者の足を職人が手で計測し歩行状況を目視する必要があり、発注者本人がいないと設計できなかった。

やったこと

足型3D計測装置、足裏圧力計測装置、各種解析システム、インソール切削装置を導入した。機器は靴型製造工場に隣接する工房に設置し、一般客も利用できるようにした。実際の足形状と足裏圧力を3D計測し、そのデータを画像とともにCAD/CAMシステムへ取り込んでインソールを設計し、切削装置で削り出した後に職人が調整して仕上げる。精密なデータにより発注者本人がいなくても設計でき、新しい靴にもすぐ本人の足に合わせたインソールを設計できるようになった。また、着物用草履につけるインソールや、い草を用いた夏向けインソールを考案し、健康サンダルも発売した。

検査測定足型3D計測装置
検査測定足裏圧力計測装置
ソフト各種解析システム
加工機インソール切削装置

新しい製品・サービス:オーダーメイドインソール、着物用草履につけるインソール、い草を用いた夏向けインソール、健康サンダル

事業の効果

現在、プロの野球選手やゴルフ選手にインソールをサンプルとして試用してもらっている。2019年の運動会シーズン前に、神戸市と茨木市で『こどもかけっこ教室』を開催し、定員いっぱいの計40人が参加した。実施後のアンケートでは「とても楽しかった」「楽しかった」の回答が合計83%に達し、好評を得た。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    50年以上の靴型製作を基盤に、インソール製造へ参入する経緯が書かれている。経営戦略上の位置づけは読めるが、戦略文書としての明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    東南アジア製品の台頭や量産型インソールでフィットしにくい点を挙げ、精密測定と匠の設計で差別化する構図が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    生産高がピーク時の半分程度に減った課題を示し、足型3D計測やオーダーメイド製作による新事業で対応する流れが読み取れる。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額の年平均成長率などの目標値は書かれていない。販売や参加者数の記述はあるが、高付加価値化の数値目標は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    既存の靴型製作の技術者による計測・調整体制や、連携先の靴製造業者への言及はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客は足のトラブルを持つ人や運動する人と示され、フィット性とデザイン性で選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    オンライン直接販売体制の構築や足育イベントの展開計画は書かれているが、スケジュールや課題解決の方法の詳細は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    オーダーメイドインソールの製造を、足型3D計測と足裏圧力計測で高度化し、一般的なインソールと差別化する点が示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    神戸市長田区の地場産業である製靴業の衰退への対応や、子どもの足トラブル防止の社会的意義が書かれている。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    3D計測やCAD/CAM、足裏圧力計測などのデジタル技術を活用し、靴製造業者と連携する地域のサプライチェーンに関わる取組が読み取れる。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    健康志向やスポーツ習慣の広がりを成長分野として捉える記述はあるが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及4

    神戸市長田区の地場産業を基盤に、神戸市と茨木市で教室を開き地域に根ざした事業を展開している点が具体的に読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

足育イベントを教育委員会を巻き込んで各所で開催する計画である。保護者も学べる「こども足育」イベントを随時開催していく。インソールから始まる次世代商品の開発も続け、「足育」から始まる健全な身体づくりを推進していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。