ものづくり補助金平成25年度製造業広島県

HV、EV補機冷却用小型プラマグ電動ウォーターポンプの試作・開発

株式会社久保田鐵工所

この事例のポイント

  • EVではベルト駆動のエンジン冷却用ウォーターポンプが不要となるため、将来に備えて収益の柱を育てる必要があった。
  • HV/EV補機冷却用の30W出力小型プラマグ電動ウォーターポンプ(M-EWP)と、ヒータ補助などに使える5W出力の電動ウォーターポンプ(S-EWP)を開発した。
  • 既存の他社製品と競合できる製品開発の実現見通しがついた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社久保田鐵工所
所在地広島県 広島市安芸区
業種輸送用機械器具製造業
技術分野複合・新機能材料
従業員数250人
資本金1,200万円
設立1938年

事業の背景

HV・EVの普及がCO2削減の要求から年々進み、駆動用モータと制御部の冷却回路に使う電動ウォーターポンプの需要も高まっていた。国内の電動ウォーターポンプ市場はA社一社でほぼ独占されており、適正価格が不明確な状態であった。当社の主要生産品の一つであるベルト駆動のエンジン冷却用ウォーターポンプは、EVの普及により需要が減ることが見込まれていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術EVではベルト駆動のエンジン冷却用ウォーターポンプが不要となるため、将来に備えて収益の柱を育てる必要があった。
  • 販路・情報発信国内の電動ウォーターポンプは一社(A社)でほぼ独占されており、適正価格が不明確な状態だった。
  • 新製品・新技術電動ウォーターポンプは低コスト・信頼性・性能を満たすため、軸受・インペラ・磁石の一体化が必要だった。

やったこと

HV/EV補機冷却用の30W出力小型プラマグ電動ウォーターポンプ(M-EWP)と、ヒータ補助などに使える5W出力の電動ウォーターポンプ(S-EWP)を開発した。ロータ磁石には低コスト・高磁束密度・多磁極数を満たすSmFeN系プラマグを採用し、磁粉形状が均一で耐食性・耐熱性に優れた材料を用いて、日亜化学工業株式会社と共同でロータ磁石を試作した。磁界解析とポンプ部の流体解析の結果から、生産性を考慮した多極のクローポール式モータを採用して試作品を製作した。プラマグ材を射出成型する際に金型内のコイルで磁場配向させる特殊な金型を導入し、高効率インペラ・プラマグロータ・樹脂すべり軸受をインサート成形した。目標は他社製品比で低振動化−50%、軽量化−30%、低価格化−30%とした。

金型M-EWP用プラマグロータ金型
金型S-EWP用プラマグロータ金型

新しい製品・サービス:30W出力のHV/EV補機冷却用小型プラマグ電動ウォーターポンプ(M-EWP)と5W出力の電動ウォーターポンプ(S-EWP)

事業の効果

既存の他社製品と競合できる製品開発の実現見通しがついた。低振動化は目標−50%に対し達成度100%で、川下企業の要求するポンプ仕様を満たした。小型軽量化は目標−30%に対し達成度50%で、小型化したサイズは他社製品以下となったが、重量は他社製品と同等にとどまりモータ部の軽量化が課題となった。低価格化は目標−30%に対し達成度80%で、構造が簡単なクローポールモータで基本構造が成立する見通しが立った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    2001年のQS-9000/ISO9001取得やウォーターポンプ開発の実績、2009年の科学技術賞受賞など過去の取組が一貫して示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内電動ウォーターポンプは一社独占で価格が不明確とされ、新素材・新加工技術による大幅なコスト低減を強みとして示している。

  • 課題の認識と解決4

    EV普及でベルト駆動ポンプが不要になる課題を示し、低振動化・軽量化・低価格化の数値目標で解決を図っている。

事業の実現可能性72%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    低振動化−50%、軽量化−30%、低価格化−30%の目標値があり、達成度100%・50%・80%と数値で実現可能性が示されている。

  • 事業を進める体制4

    大阪府立大学の准教授や日亜化学工業との共同試作など外部連携体制が具体的に示されている。社内人員の配置は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    HV・EV補機冷却用ポンプの仕様と他社比の性能・コスト優位、川下企業への提案という顧客ターゲットが示されている。

  • 事業化までの道筋4

    量産開始を平成29年予定とし、モータ軽量化、防振構造、筐体の一体樹脂成形化など残課題と対応策が整理されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    国内の電動ウォーターポンプは一社独占とされ競争が少ない分野だが、普及度や高付加価値化の水準を示す数字は書かれていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    HV・EVの普及によるCO2削減への貢献が目的として示されているが、経済波及効果や雇用創出は書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額や付加価値額の増加など費用対効果を示す数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    磁場配向金型や材料開発は述べられているが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの言及は乏しい。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    EVの増加に備えて将来の収益の柱を育てるとあり、自動車の電動化という成長分野への進出が示されている。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

量産開始(平成29年予定)に向けて、モータ部の軽量化と量産開発、振動特性に合った防振構造の検討、筐体類の一体樹脂成形化によるコストダウンに取り組む。筐体構造やモータ構造、制御方法などの新規性について特許調査を実施した上で出願を予定している。

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。