ものづくり補助金平成25年度製造業広島県

当社特許に基づく透過型電子顕微鏡用試料の低温型電解研磨装置開発事業

株式会社 ケミカル山本

成果電解研磨温度 -30℃→-32℃

この事例のポイント

  • 電解研磨時の熱により試料が変質してしまうことが課題となっている。
  • 安定化冷媒装置を用いて、−30℃レベルの冷却機構を開発した。
  • 電解研磨温度 -30℃→-32℃。冷却機能の開発により、デュワー瓶で−50℃まで冷却でき、低温電解でも研磨面の荒れや組織変化が少ないことが確認できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 ケミカル山本
所在地広島県 広島市
業種その他の製造業
技術分野材料製造プロセス,測定計測
従業員数52人
資本金1,600万円
設立1982年

事業の背景

当社は電源器・電解液の製造・販売を行うステンレス表面処理の研究開発型企業で、ステンレスの溶接焼け・さび取りや電解研磨用資材を得意とする。主力の電解研磨装置「エコポール」は電解液量が1㎖で済み、順調に販売されている。一方、透過型電子顕微鏡用試料の市場では外国製装置が先行している。国内の透過型電子顕微鏡は500~600台とされる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度電解研磨時の熱により試料が変質してしまうことが課題となっている。
  • 新製品・新技術先行する外国製電解研磨装置はー30℃以下での低温電解研磨ができ、当社の常温方式では対抗しにくい。

やったこと

安定化冷媒装置を用いて、−30℃レベルの冷却機構を開発した。冷媒の循環と充填、温度制御により安定的な連続運転を可能にした。架台を設計・製作し、停止自動化ソフトウェアを組み込んだ低温機構を取り付けた。画像取込システムをデジタル化し、電解開始から薄膜化までの運転・停止を自動制御する機能を実装した。治具にはテフロンコーティングを施し、ドライフィルターとドライエアーで霜の発生を防止した。試作装置では電解研磨温度−32℃、電解液使用量1㎖で、研磨が自動停止する装置を完成させた。

加工機低温型電解研磨装置
ソフト画像処理ソフトウェア(電解研磨自動停止)
その他架台

新しい製品・サービス:透過型電子顕微鏡用試料を作成する低温型電解研磨装置

事業の効果

  • 電解研磨温度 -30℃→-32℃

冷却機能の開発により、デュワー瓶で−50℃まで冷却でき、低温電解でも研磨面の荒れや組織変化が少ないことが確認できた。画像による自動停止で最適な時点で研磨を止められるようになった。電解液量が少なく廃液処理の負担も軽い。今後は冷却機能を追加して他社製品との差別化を図り、国内の透過型電子顕微鏡へ販売を広げる計画である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成22年度の実用化開発助成から続く電解研磨装置事業の延長で、既存製品の課題解決として一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    外国製装置が独占的だった市場へのシェア奪取を掲げ、電解液量1㎖など他社比の強みが示されている。

  • 課題の認識と解決4

    電解研磨時の熱による試料変質という課題を認識し、−32℃・1㎖での自動停止試作という具体的数値で解決を示している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化や賃上げの目標値は示されておらず、市場規模は国内500~600台とあるのみ。

  • 事業を進める体制3

    名古屋大学元特任教授の技術指導や従業員52人の会社体制は読み取れるが、補助事業の遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    電解液量の少なさや冷却機能追加による差別化、国内500~600台への売り込みなど、顧客と選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展望として電解液の冷却ホルダー開発や画像識別の完成度向上など課題が挙がっているが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    外国製が独占する分野で、温度−32℃と電解液1㎖という従来品より高水準の仕様を実現している点が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    国内透過型電子顕微鏡への普及や廃液処理負担軽減に触れるが、経済波及や雇用創出の記述は乏しい。

  • 費用対効果2

    電解液量を500~1000㎖から1㎖へ削減する効果は示されるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    画像取込のデジタル化と自動停止制御という新機能を実装しており、技術的な貢献は読み取れるがサプライチェーン面は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    電子顕微鏡用試料作成という分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    広島の企業で地域の強みを活かす記述はあるが、地域の雇用や成長を牽引する具体的な記述は少ない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

電解液をより早く冷却するホルダーの開発と最適な電解液量の検証、画像識別機能の完成度向上、材料ごとの電解液開発と運転条件の確立を進め、商品の完成度を高める。国内の透過型電子顕微鏡500~600台への売り込みを図る。

  • 目標:電解液使用量 500㎖→1㎖

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。