ものづくり補助金平成25年度製造業山口県

鯨油由来フィードオイル量産製造装置の導入

株式会社吉田総合テクノ

この事例のポイント

  • 養殖漁業の拡大で養魚飼料の需要は増えているが、魚粉や魚油は漁獲量の減少で不足し、価格も高騰している。
  • 水産加工会社から回収した鯨油を、粗分離、粗濾過、吸着処理、仕上げ濾過、真空乾燥の5段階で精製する工程を確立した。
  • 鯨油由来のフィードオイルは、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸を含み、飼料として適している。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社吉田総合テクノ
所在地山口県 下関市
業種生産用機械器具製造業
技術分野バイオ
従業員数35人
資本金3,000万円
設立1952年

事業の背景

吉田総合テクノは昭和21年創業の製造設備メーカーで、大手工場向けの機械設備や電気制御装置の製造、据付・配管工事を手がけている。近年は新規事業にも取り組み、業務用手づくり豆腐製造機「ちいさなおとうふ屋さん」が大手居酒屋チェーンやホテルチェーンに採用されている。鯨油は当初は廃棄物扱いの厄介者で、顧客の水産加工会社からの相談をきっかけに研究を始めた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力養殖漁業の拡大で養魚飼料の需要は増えているが、魚粉や魚油は漁獲量の減少で不足し、価格も高騰している。
  • コスト・採算回収した鯨油には異物や水分が含まれており、フィードオイルを量産するには効率的な精製工程を確立する必要があった。
  • 品質・精度鯨油に含まれる水分は乳化しやすく、完全に除去するには経験とノウハウが必要だった。

やったこと

水産加工会社から回収した鯨油を、粗分離、粗濾過、吸着処理、仕上げ濾過、真空乾燥の5段階で精製する工程を確立した。粗分離では遠心分離機を使って油分を回収し、大半の夾雑物を除去した。最も難しい水分の完全除去では真空乾燥を用いた。精製した鯨油由来のフィードオイルは鹿児島大学水産学部で養魚飼料に加工され、ヒラメとカンパチの養殖で評価を始めた。

  • 加工機鯨油精製装置遠心分離・濾過・吸着・真空乾燥の工程設備

新しい製品・サービス:鯨油由来のフィードオイル(水産養殖用飼料油脂)

事業の効果

鯨油由来のフィードオイルは、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸を含み、飼料として適している。抗酸化剤のエトキシキンを含まない点も利点である。有効成分の含有量や過酸化物価が安定した良質な原料の量産技術の完成に近づいた。鹿児島大学での養殖試験ではヒラメとカンパチの食餌性が良く、初期評価は上々の滑り出しとなった。今後は生産性と品質の向上を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性47%
  • これまでの取組との一貫性3

    オゾン排水処理やミンキーソープなど過去の新事業の延長で鯨油に取り組んだ経緯は読み取れるが、経営戦略上の明確な位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    養魚飼料の魚油不足・価格高騰という外部環境は書かれているが、自社の経営資源の強み・弱みとの関係は具体的に述べられていない。

  • 課題の認識と解決2

    魚粉・魚油の不足という課題は示されているが、事業計画としての高付加価値化や成長の数値目標は書かれていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    35人の従業員数と鹿児島大学等との連携は書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務体制の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    DHA・EPAを含み抗酸化剤エトキシキンを含まない点、ヒラメ・カンパチで食餌性が良いという評価が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    精製5段階の工程と水分除去の難しさは書かれているが、中長期のスケジュールや解決方法の具体的な計画は示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    鯨油フィードオイルは一般に普及していない分野だが、高水準の高付加価値化を数値で示す記述は乏しい。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    魚粉・魚油不足の解決や地域創生の模範という記述はあるが、波及効果や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    大学・水産庁・自治体との連携や全国の鯨関係事業者のネットワーク作りはうかがえるが、デジタル技術の活用は書かれていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    養殖漁業の拡大と魚油代替という成長分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は読み取れない。

  • 地域経済への波及4

    下関の“日本一のくじらのまち”を活かし、鯨油の新しい価値を発見したと地域特性との結びつきが具体的に書かれている。

今後の展望

フィードオイルの生産性を高め、品質の向上を進めていく。山口県・下関市、鹿児島大学、水産庁、日本鯨類研究所との連携を進め、全国の鯨関係事業者とのネットワーク作りも始まっている。

事業者の声

顧客会社の課題を解決したいという願いからはじまった事業が、クジラに乗って日本中に拡がっている。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。