ものづくり補助金平成25年度建設業高知県

パネル検査を活用した新しいビジネスモデルの開発・展開

荒川電工 株式会社

この事例のポイント

  • 電気工事は公共・民間ともに受け身の仕事で、規模縮小と価格競争により業界全体が年々衰退傾向にある。
  • 屋外EL検査装置一式を導入し、国内で初めてとなるパネル設置前の全数全量検査を行う検査ラインを構築した。
  • 屋外EL検査装置の導入により、パネル設置前後での検査が可能になり、運搬時や設置時の初期段階の損傷や運用中の不具合を発見できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名荒川電工 株式会社
所在地高知県 高知市
業種設備工事業
従業員数71人
資本金4,000万円
設立1962年

事業の背景

当社は創業以来、公共施設や商業ビル、一般住宅などの電気設備事業を中心に事業を拡大してきた。しかし電気工事は受け身の仕事で規模縮小と価格競争が進み、業界全体が年々衰退傾向にある。一方で一般住宅向けの太陽光発電システムの施工・販売で県内一の実績(自社調べ)を持ち、平成25年からはメガソーラーの建設・運営にも取り組んでいる。高知県は全国的に日照条件が高く、太陽光発電事業は今後も必要とされると考えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信電気工事は公共・民間ともに受け身の仕事で、規模縮小と価格競争により業界全体が年々衰退傾向にある。
  • 品質・精度太陽光パネルは運搬や設置の過程で目視では確認できない損傷が生じ、運用中の環境負荷などによって発電効率が低下することが判明した。
  • 新製品・新技術設置前にパネルの損傷を全数検査する手段がなかった。

やったこと

屋外EL検査装置一式を導入し、国内で初めてとなるパネル設置前の全数全量検査を行う検査ラインを構築した。装置本体は「エプティフ」(産業用システム)で、他のEL検査装置と異なり晴天下でも検査が可能である。周辺機器として1kWDC電源、ズームレンズ、高所撮影用三脚、電動雲台一式、PCパレット、トランシーバーを揃え、Rakit(1000V対応)多機能高速I-V計測システムも導入した。導入後は既存のメガソーラーでの実地テストと、海外製パネルと国内製パネルの比較テストを行い、いずれにおいてもパネルの状態を正常に確認できることを確かめた。

検査測定屋外EL検査装置(エプティフ)
その他1kWDC電源
その他ズームレンズ
その他高所撮影用三脚
その他電動雲台
その他PCパレット
その他トランシーバー
検査測定Rakit(1000V対応)多機能高速I-V計測システム

新しい製品・サービス:安心・安全・安価な自社ブランド太陽光発電パネル

事業の効果

屋外EL検査装置の導入により、パネル設置前後での検査が可能になり、運搬時や設置時の初期段階の損傷や運用中の不具合を発見できるようになった。これにより安心で安全な太陽光発電システムの運用が可能となり、発電効率の低下を防ぐ手立てが得られた。検査結果をもとに「パネルDo」事業の3つの柱の目処が立ち、O&M事業、自社ブランドパネル事業、リユース・リサイクルパネル事業の展開に向けた検査フローも検討できる状態になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    既存のメガソーラー運営や太陽光販売から、パネル検査ラインを活かすO&M事業へ展開する一貫性が事例に具体的に書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高知県の日照条件や再エネ需要を述べるが、競争優位の根拠となる数字や他社比較は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    電気工事の価格競争と業界衰退という課題を示し、検査ラインで高付加価値化する計画が書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    O&M 26サイトの実績はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    既存のメガソーラー運営実績や検査機器の導入・テスト経験は読み取れるが、人材体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    設置前全数検査で損傷を発見し安心安全を提供する価値、ZEH市場という顧客像が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    3事業の段階やリユース展開の順序は書かれるが、スケジュールや課題解決の方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    国内で初めて設置前全数全量検査を行うパネル検査ラインを構築したと明記され、新規性が具体的に示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    約2,500ヶ所のメガソーラーの維持管理課題と再エネ普及は述べられるが、経済波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    投資額や費用対効果を示す数字は書かれておらず、わずかに効果がうかがえる程度である。

  • イノベーションへの貢献4

    AI的な画像取得に近いEL検査で遠隔監視システムと連携し、新しいビジネスモデルを構築する点が書かれている。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    再エネ重視と太陽光の構造変化への対応は読み取れるが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及3

    高知県の高い日照条件を活かす事業であることは書かれるが、地域雇用や成長への数字は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

O&M事業では既存の遠隔監視システムと検査機器を活かして持続可能な受託モデルを構築し、自社ブランドパネルは平成28年中のリリースを予定している。余剰電力買取制度の終了や住宅の ZEH 化が見込まれるなか、リユース・リサイクルパネル事業は市場動向を見ながら全国展開を図る方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。