ものづくり補助金平成25年度製造業高知県

青紙スーパー鋼、高知県産木材を利用したキッチンナイフ及び収納スタンド等の製品開発と生産設備の導入事業

穂岐山刃物 株式会社

成果溶接作業の1時間当たり加工数量 1倍→1.4倍

この事例のポイント

  • 近年のキッチンナイフ業界は多くの商品が乱立しており、各社が自社製品のブランディングに力を注いでいる。
  • 安来鋼の中でも最高峰の青紙スーパー鋼を両側からステンレス層で挟んだ三層クラッド鋼材を刃部に使い、HRC硬度64度の実現を狙って熱処理実験を行った。
  • 溶接作業の1時間当たり加工数量 1倍→1.4倍。自動溶接機ユニットの導入により、同一作業内容で1時間当たりの加工数量が約1.4倍に増え、操作に慣れればさらに増加すると…

事業者のプロフィール

事業者名穂岐山刃物 株式会社
所在地高知県 香美市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,接合・実装
従業員数39人
資本金3,500万円
設立1957年

事業の背景

当社は1957年設立の刃物メーカーで、500年の歴史を持つ土佐打刃物の伝統を守りながら、包丁や鎌、鍬などあらゆる刃物を製造・販売している。日立金属安来鋼を使用した製品群で高い耐久性と切れ味を実現し、市場で高い信頼を得てきた。近年は国内外でキッチンナイフの商品が増え、ブランディングの重要性が高まっている。高知県には四万十檜や竹集成材など木製品の素材があり、これを活かした商品開発が可能である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信近年のキッチンナイフ業界は多くの商品が乱立しており、各社が自社製品のブランディングに力を注いでいる。
  • 新製品・新技術包丁自体の差別化に加え、海外では必須といえる収納スタンドやまな板などの関連アイテムを含めた単一ブランドに統一し、シリーズ化する戦略が重要である。

やったこと

安来鋼の中でも最高峰の青紙スーパー鋼を両側からステンレス層で挟んだ三層クラッド鋼材を刃部に使い、HRC硬度64度の実現を狙って熱処理実験を行った。既存設備の改良と加熱処理時間の調整により、満足できる硬度結果と量産時の安定した連続作業性を得られると判断した。導入した自動溶接機ユニットで出刃モデルのクラッド鋼材部とボディ用ステンレス鋼材の溶接を行い、既設の溶接ロボットと比べて同一作業内容で1時間当たりの加工数量が約1.4倍になった。洋風シリーズのブレード表面に凹凸のプレス加工を施して鎚目打刻の試作を行い、三徳型の高級な風合いを出した。和風シリーズでは高知県産の竹集成材で柄と鞘を試作し、四万十桧と胡桃材を組み合わせたまな板や、マグネットで包丁を吊るす横置きの包丁スタンドを開発した。

加工機自動溶接機ユニット
加工機ボール盤
金型鎚目打刻金型
金型抜き金型

新しい製品・サービス:青紙スーパー鋼を使った洋風・和風シリーズの包丁「土佐一碧(とさいちあお)」

事業の効果

  • 溶接作業の1時間当たり加工数量 1倍→1.4倍

自動溶接機ユニットの導入により、同一作業内容で1時間当たりの加工数量が約1.4倍に増え、操作に慣れればさらに増加すると見込まれている。正確性も含めて円滑な作業性を確保でき、今後の生産活動に寄与することが確実とされる。洋風の三徳型は鎚目打刻により高級な風合いと斬新性を備えた。和風シリーズは竹鞘との組み合わせで製品の高級感を高め、ブランドのデザイン上の差別化を図ることができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    500年の土佐打刃物の伝統と刃物総合メーカーとしての歴史が述べられ、過去の取組との連続性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    青紙スーパー鋼を使い国内外から技術力と品質に評価を得ていると述べ、強みを活かしたブランド戦略が示されている。市場動向の数値分析までは書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    乱立する市場でのブランディングの必要性が課題として示され、シリーズ化と関連商材展開の方針が書かれているが、高付加価値化の定量的な計画は薄い。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    溶接機導入で1時間当たりの加工数量が約1.4倍に増加すると具体的な数字が示されている。ただし付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    デザイン会社や木工所、須崎市の木工メーカーなど外部と連携した体制は読み取れるが、人材や事務処理能力については記述が薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    プロ・業務用を意識したサイズ展開、東京合羽橋や大阪道具屋筋の専門店ルートなど顧客ターゲットと販路が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    12種展開予定、見本市出展、試作品の改良継続など今後の活動予定が示されているが、スケジュールや課題解決の方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    キッチンナイフ業界は多くの商品が乱立すると述べられ、差別化の必要性は示されるが、高水準の高価格化を図る根拠は限定的。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地場産業の伝統や四万十檜、竹集成材など県内木製品メーカーとの協力がうかがえるが、波及効果や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果3

    溶接機導入で加工数量が約1.4倍になったと効果の数字はあるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の記述はない。

  • イノベーションへの貢献2

    デザイン会社との協業や木工所との連携はうかがえるが、先端的デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    高知県産の四万十檜や竹集成材を使い地域木製品メーカーと協力する点が明示され、地域資源の活用はうかがえるが、雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後はフランクフルトAmbiente、北米のFood Expo、東京ビッグサイトのインテリア・ライフスタイルショー等の見本市で新規顧客を獲得しながら、ブランディングを進める。主体は国内市場とし、海外は既存の輸出先を中心に案内する。錆びやすい安来鋼への理解を広めるため、現地業者への専門的な説明とメンテナンス手法の啓蒙も必要と考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。