ものづくり補助金平成25年度製造業福岡県

リサイクル超硬合金粒を複合化する耐摩耗鋳造素材製造設備の導入

株式会社苅野

成果超硬粒の処理時間 60分→23分

この事例のポイント

  • クリンカクラッシャーの粉砕刃が摩耗するため定期的なメンテナンスや交換が必要で、コストがかかる。
  • 耐摩耗性を高めるため、超硬合金の粉砕粒子を鋳包んで局所的に耐摩耗性を高める製造法を開発した。
  • 超硬粒の処理時間 60分→23分。超硬粒を鋳包む新しい鋳造素材の製造技術が確立し、トータルコストの削減に成功した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社苅野
所在地福岡県 直方市
業種金属製品製造業
技術分野材料製造プロセス,複合・新機能材料
従業員数16人
資本金2,000万円
設立1926年

事業の背景

同社は産業用機械部品の製造を手掛け、高クロム鋳鉄という非常に硬い鋳鉄材をメインに製造してきた。一対一の営業を重視し、多品種小ロット・短納期の小回りの利く営業で顧客の信頼を得て、鉄鋼関係やセメントメーカーに耐摩耗性や耐熱性の製品を増やしてきた。鋳造材質は30年程前は5種類程度だったが、現在は83もの材質を手掛けている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力クリンカクラッシャーの粉砕刃が摩耗するため定期的なメンテナンスや交換が必要で、コストがかかる。
  • コスト・採算粉砕刃の寿命を延ばしてコストダウンを図りたいというニーズがある。
  • 品質・精度耐摩耗性を高めると衝撃に弱くなり、割れにくさと摩耗しにくさを両立する材質が必要になる。
  • 新製品・新技術摩耗しにくさと粘り強さを兼ね備えた粉砕刃を作る製造法が求められていた。

やったこと

耐摩耗性を高めるため、超硬合金の粉砕粒子を鋳包んで局所的に耐摩耗性を高める製造法を開発した。ニッケル粉末(ろう材)の中に超硬粒を包ませ、今回の補助金で購入した加圧焼結装置で刃先の形状に成型した超硬粒包含ピースを作製し、鋳型内にセットして注湯する。使用済み超硬材はコーティングを除去するため、エアブラスト装置を購入し、硬質の粉体を空気と一緒に当てて被膜を飛ばした。評価試験では5kgの超硬粒を処理する目標を1時間と設定したが、実際には約23分で処理を完了し、低コストで超硬粒を調達する道筋が立った。

加工機加圧焼結装置
加工機エアブラスト装置

新しい製品・サービス:超硬粒を鋳包んで局所的に耐摩耗性を高めた粉砕刃(超硬粒包含ピース)を用いた鋳造素材

事業の効果

  • 超硬粒の処理時間 60分→23分
  • 年間売上 500万円→5,000万円

超硬粒を鋳包む新しい鋳造素材の製造技術が確立し、トータルコストの削減に成功した。これにより産業用機械部品分野で幅広い耐久消耗品市場を開拓する基礎ができた。今後は火力発電所やごみ焼却場など耐摩耗性が求められる機械設備部品への応用も見込まれ、新たな耐久材料分野の主力製品の柱となることが期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    昭和元年創業で一対一の営業と小ロット短納期を重視し、鉄鋼・セメント向け耐摩耗製品を増やしてきた経緯が書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    鋳造材質が30年前の5種類から現在83種類に増えたとあり強みは読めるが、市場動向との比較は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    粉砕刃の摩耗と超硬粒の高コストという課題を示し、年間500万円から5年後5,000万円への売上拡大を見込んでいる。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    処理目標1時間に対し実測23分、5年後年間5,000万円の売上拡大という数値目標が示されている。

  • 事業を進める体制3

    従業員16人の体制と福岡県工業技術センターの協力は書かれているが、人材配置や事務体制は詳しく示されていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    粉砕刃の寿命延長とコスト削減という顧客価値、火力発電所やごみ焼却場への適用先が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    試作段階から石炭灰粉砕設備での実機試用、製品の量産化・短納期化・品質安定化へと段階的な進め方が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    超硬粒を鋳包んだ耐摩耗ピースは、従来の材料より高水準の耐摩耗性を持つ製品として説明されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    石炭灰リサイクルや火力発電所の設備維持への寄与は読めるが、雇用創出や波及効果の定量的な記述は薄い。

  • 費用対効果4

    処理時間が目標1時間から23分へ、超硬粒のコストが低減したと書かれ、費用対効果の根拠が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    使用済み超硬材のリサイクルという取組はあるが、デジタル技術や新ビジネスモデルへの言及はほぼない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    リサイクル材の活用や石炭灰の再利用はうかがえるが、日本経済の構造転換との関係は書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    福岡県直方市の地域企業であることは分かるが、地域特性を活かした雇用や成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

福岡県工業技術センター機械電子研究所の協力を得て、設備の導入と製品化に向けた課題解決の検討と実行を継続する。石炭火力発電所では試作段階から実機試用を開始しており、製品の多様化、量産化、短納期化、品質の安定化に取り組んでいる。

事業者の声

お客にとっての『最適』とは何なのか

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。