ものづくり補助金平成25年度製造業福岡県

博多織の新製品開発に伴う裁断加工機設備投資と新市場開拓事業

株式会社サヌイ織物

成果型代だけで年間100万円以上を削減

この事例のポイント

  • 当時の製造法では大量生産ができず、コストダウンにも限界があった。
  • 博多織の小物製品の製造工程を改善するため、レーザー裁断機を導入した。
  • 型代だけで年間100万円以上を削減。レーザー裁断機の導入で、型代と人件費が削減され、試作品の製作時間も大幅に短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社サヌイ織物
所在地福岡県 福岡市
業種繊維工業
技術分野材料製造プロセス
従業員数16人
資本金1,000万円
設立1949年

事業の背景

サヌイ織物は福岡を代表する伝統的工芸品の博多織を70年余にわたって支えてきた老舗で、帯の生産を昭和39年に中止し、博多織の技術で織柄を生かしたギフト製品などを主体に開発してきた。主力は財布や名刺入れ、ネクタイ、ふくさなどの身につける製品や緞帳などである。大量生産と需要に沿う価格への対応が、新市場を開拓するうえでの課題になっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力当時の製造法では大量生産ができず、コストダウンにも限界があった。
  • コスト・採算打ち抜き型や刃型の製作に金型が必要で、種類の数だけ金型を作るため、コストと製作までの時間がかかっていた。
  • 納期・工程裁断後の切り口が解れないよう職人による焼き入れが必須で、工程の負担が大きかった。
  • 新製品・新技術新商品の開発に刃型製作を含めて時間がかかり、改良や新製品開発の負担となっていた。

やったこと

博多織の小物製品の製造工程を改善するため、レーザー裁断機を導入した。レーザーの熱溶融・融着を利用して切断することで、裁断面の糸が解れず、切り口の焼き工程が不要になった。レーザー裁断機用のCADシステムも導入し、金型が不要になったことで試作品の製作時間を大幅に短縮した。

加工機レーザー裁断機
ソフトレーザー裁断機用CADシステム

新しい製品・サービス:レーザー裁断機で織柄を生かした市民参加型スポーツイベントの参加記念メダル用リボンなど身近な小物商品、博多織オリジナル栞など。

事業の効果

  • 型代だけで年間100万円以上を削減
  • 人件費においては作業時間にして約1/4を削減
  • 新商品の型製作期間 14日→1日
  • 栞の生産量 200枚/日→3,000枚/日
  • 量産型粗品系の記念品だけで年間2000万円以上の売上が見込める

レーザー裁断機の導入で、型代と人件費が削減され、試作品の製作時間も大幅に短縮された。栞の生産能力は15倍以上に向上し、量産型の記念品の販売にもめどが付いた。他社との絶対的差別化と製品加工における優位性を実現し、短納期と低コストによって安価な製品開発と迅速な商品展開が可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    70年余の博多織製造と帯生産中止後のギフト商品開発の経緯が書かれ、一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置づけの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    自動車メーカーへの生地採用やフィギュアスケート大会のメダルリボン製作など自社の強みと、量産・価格対応の弱みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    型代が年100万円以上、人件費が作業時間約1/4削減、新商品の刃型製作期間が2週間から1日、栞の生産量200枚から3000枚以上と数字で課題解決効果が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    平成30年に全体49%増、小物関連で現在の40%アップという目標値と、栞の生産量や年2000万円の売上見込みが示されている。賃上げへの言及はない。

  • 事業を進める体制2

    従業員16人と記載があるのみで、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記述はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ターゲットとしてギフト小売店や洋菓子店、美容室などを挙げ、博多織リボンという付加価値と差別化が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    CAD移行の金型データ化や今後のデザインカット製品開発が書かれ、方向性はあるがスケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    博多織リボンや小物を新市場として開拓するとあり、同分野での高付加価値化の方向性は読み取れるが、水準の数字は薄い。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    伝統的工芸品の継承や新雇用の創出がうかがえるが、国が補助する積極的理由としての波及効果の記述は乏しい。

  • 費用対効果4

    約1/4の人件費削減や年100万円以上の型代削減、年2000万円の売上見込みなど投資に対する効果が数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    レーザー裁断機とCAD導入によるデジタル化は読み取れるが、地域やサプライチェーン全体への貢献の記述は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    福岡の伝統的工芸品である博多織を活かし、博多織工芸館の運営や市場拡大を通じて地域の伝統産業を牽引する姿が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

5年後に小物関連で現在の40%アップ、全体で平成30年には49%増まで引き上げる計画である。CADに移行できる金型のデータ化に取り組み、ギフト関連の小売店や個人の洋裁ファンなど、博多織とは無縁だった新規市場への参入も見込んでいる。

事業者の声

革新なくして、伝統なし

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

岐阜県製造業平成29年度

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。