ものづくり補助金平成25年度製造業大分県

革新的自動溶接技術の確立および設備導入による企業競争力強化と新規分野参入

株式会社長尾製作所

成果鉄道車両向け屋根カバーの年間売上高 300万円→4,000万円

この事例のポイント

  • 精密板金加工の市場は今後縮小傾向が予想されるため、新しい市場を開拓する必要があった。
  • 溶接環境の整備として、一般的な交流式ではなく直流インバーター式のスポット溶接機を導入した。
  • 鉄道車両向け屋根カバーの年間売上高 300万円→4,000万円。鉄道車両向け屋根カバーの売上高は当初年間300万円程度から現在は4000万〜5000万円ほどに増加した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社長尾製作所
所在地大分県 佐伯市
業種生産用機械器具製造業
技術分野接合・実装
従業員数135人
資本金1,000万円
設立1977年

事業の背景

長尾製作所は半導体製造装置向けなどの精密板金加工を手がける事業者である。精密板金加工の市場は今後縮小傾向が予想されていた。そこで過去に扱ったことのある鉄道車両向けの事業に着目し、平成25年に大手車両メーカーから英国向け新型車両部品の製造依頼を受けた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信精密板金加工の市場は今後縮小傾向が予想されるため、新しい市場を開拓する必要があった。
  • 新製品・新技術既存のものではなく、自分たちにしかできない技術を確立する必要があった。
  • 品質・精度英国向け新型鉄道車両部品は従来より高い品質が求められ、そのためにはスポット溶接の技術を社内で確立することが不可欠だった。

やったこと

溶接環境の整備として、一般的な交流式ではなく直流インバーター式のスポット溶接機を導入した。交流式に比べて電流波形が安定し、溶接スピードも速く、高品質な溶接製品の提供が可能になる。あわせて溶接条件データを自動で計測・保存する抵抗溶接測定器(ウェルドチェッカー)を備え付け、溶接条件の設定値ではなく結果データを記録して製造過程の履歴を残す体制を整えた。屋根カバーの最適なスポット溶接条件を設定するため、大分県産業科学技術センターの設備を借りて引張りせん断試験による実証を重ね、18回にわたって同センターを訪問した。さらにスポット溶接機のオペレーターを専任化し、鉄道車両メーカーの社員の指導も受けながら作業手順書を改訂した。現場責任者は日本溶接協会が認定する溶接施工管理技術者2級を取得した。

  • 加工機直流インバーター式スポット溶接機
  • 検査測定抵抗溶接測定器ウェルドチェッカー

事業の効果

  • 鉄道車両向け屋根カバーの年間売上高 300万円→4,000万円

鉄道車両向け屋根カバーの売上高は当初年間300万円程度から現在は4000万〜5000万円ほどに増加した。スポット溶接機の導入効果もあり、屋根カバー以外にもサニタリーボックスや洗面台、ゴミ箱など鉄道関係の仕事の依頼が増えた。取引先も当初の発注先を含め6社に増加した。高度なスポット溶接技術が確立され、会社の強みとして位置づけられるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    半導体製造装置向け精密板金の事業者が、過去の鉄道車両取引を足掛かりに新分野へ参入する流れが書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    精密板金市場の縮小予想を踏まえ、自分たちしかできない技術を確立する方針が示されている。強みの定量的な裏付けは乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    高品質要求へ対応するためスポット溶接技術の社内確立が必要と認識し、直流インバーター式溶接機と測定器を導入した。

事業の実現可能性76%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    鉄道関係の屋根カバー売上は年300万円から4000万〜5000万円に増加し、3年後に3億円へ倍増する目標が数字で示されている。

  • 事業を進める体制4

    スポット溶接機のオペレーターを専任化し、溶接施工管理技術者2級を現場責任者が取得したと具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    鉄道車両メーカーの要求品質や取引先6社への広がりは読み取れるが、顧客ターゲットの整理や選ばれる理由の説明は薄い。

  • 事業化までの道筋4

    大分県産業科学技術センターで引っ張りせん断試験を18回重ね、最適な溶接条件を探索した経緯が書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    鉄道車両向けの高度なスポット溶接により、一般的な精密板金より高付加価値な海外向け鉄道部品の分野へ参入している。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    鉄道分野の増加や半導体・液晶関係への展開が見込まれると書かれているが、経済波及や雇用創出の記述は乏しい。

  • 費用対効果3

    設備導入後に鉄道関係の売上が増え、取引先も増加したとあるが、補助金額に対する費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    溶接条件データの自動計測・保存により製造過程の履歴を残す体制を整えたと書かれ、デジタル活用の一端がうかがえる。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    鉄道車両など成長分野への進出が書かれているが、日本経済の構造転換への言及は見当たらない。

  • 地域経済への波及2

    大分県佐伯市の事業者として県の試験機関を活用したと書かれるが、地域の雇用や成長牽引への言及は少ない。

今後の展望

2022年に鉄道関係事業の売上高を現在の倍額にあたる3億円とすることを目指す。また、従来の溶接機より高度な加工が可能になったため、半導体装置や液晶関係の製品への展開も見込まれている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。