ものづくり補助金平成26年度製造業青森県

金属粉末射出成形法による航空機ジェットエンジン部品の試作開発

エクトム株式会社

この事例のポイント

  • ジェットエンジンの高温に耐えるインコネル718は難削材で、金属を削り出して部品を作ることが困難だった。
  • MIM製法に必要な高精度の試作金型を作るため、高速形彫り放電加工機を導入した。
  • 導入した金型により、MIM製法で高精度な金属部品を大量に供給できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名エクトム株式会社
所在地青森県 五所川原市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数23人
資本金3,150万円
設立1999年

事業の背景

当社は生産用機械器具製造業として、主にプラスチック成形用金型を製造している。金属粉末射出成形法MIMの製法開発も行っており、MIM製法による金属部品の生産は15年ほど前から手がけていた。一般的なMIM製法はステンレス鋼を材料とするが、インコネル718を使用したMIM製法を取り入れている企業はなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術ジェットエンジンの高温に耐えるインコネル718は難削材で、金属を削り出して部品を作ることが困難だった。
  • コスト・採算削り出し加工では工具の寿命が著しく短く、道具の維持にコストがかかっていた。
  • 生産能力既存の高速形彫り放電加工機は通常業務で常時稼働しており、新たな製品開発に使えなかった。

やったこと

MIM製法に必要な高精度の試作金型を作るため、高速形彫り放電加工機を導入した。この機械は電気を流して金属を溶かして加工するもので、高速・高加速性に優れ、短時間で高精度な加工が可能である。導入機のほか、既存の高精度ジグボーラーと高精度ワイヤーカット放電加工機も用いた。導入機は新規開発に専用するリソースとして導入した。金型は完成し、実際にインコネル718とプラスチック樹脂を流し込んで部品を試作した。試作品は真空焼結炉での焼結後の変形が大きく、製品として供給できるレベルには至らなかったため、焼結時の温度などの条件を変えて変形を抑える検討を続けた。

新しい製品・サービス:インコネル718を使用したMIM製法による試作金型と部品

事業の効果

導入した金型により、MIM製法で高精度な金属部品を大量に供給できるようになった。削り出しが不要になったことで、低コストかつ高精度な部品の製造が可能になった。インコネル718の試作部品は焼結後の変形が課題として残っているが、ジェットエンジンメーカーから製作依頼を受けて試作品を提供できた。さらに、釣り具に使われる部品など、削り出しは難しいが大量生産が必要な部品の受注も得ている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    金型製造とMIM製法の開発を15年ほど続けてきたとあり、過去の取組との連続性は読み取れるが、経営戦略上の明確な位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    インコネル718を使うMIM製法を取り入れている企業がなかったと記載があり強みはうかがえるが、市場動向や自社資源との比較の具体性は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    削り出し加工の困難さやコスト増という課題認識と、MIMで低コスト・高精度化する方向性は書かれているが、事業計画の具体性は薄い。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、高精度・低コスト化の効果が述べられるのみで、数値目標はうかがえない。

  • 事業を進める体制3

    既存の高速形彫り放電加工機や高精度ワイヤーカット機を用い、グループ企業と役割分担する体制が書かれているが、人員や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    航空機部品の角出しや、釣り具部品など大量生産が必要な部品での受注が書かれ、顧客ターゲットの方向性は読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    焼結後の変形が課題と明記され、温度条件の試行を続けるとあるが、スケジュールや解決の見通しは具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    インコネル718を使うMIM製法を採用した企業がないとあり、同分野での希少性はうかがえるが、数値の裏付けは薄い。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    ジェットエンジン部品の国産化やシェア獲得への言及があるが、波及効果や雇用創出など国が補助する理由は明記されていない。

  • 費用対効果2

    補助金額に対する付加価値増加や生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果はうかがえるにとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    MIM製法と海外グループ工場による分業体制は書かれているが、デジタル技術やサプライチェーン革新への言及は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    航空機ジェットエンジン部品への進出が書かれ、構造転換との関係は間接的にうかがえる程度にとどまる。

  • 地域経済への波及2

    青森県五所川原市の企業だが、地域特性を活かした雇用や地域成長への言及は事例文からは読み取れない。

今後の展望

当社グループの海外MIM工場と連携し、金型の図面制作と開発は当社で行い、量産は海外工場で行う体制が整った。国産ジェット機の試作生産は新型コロナウイルスの影響で停止しているが、今後につながる手ごたえを感じている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。