ものづくり補助金平成26年度製造業青森県

FA用予圧自動調整機構付き加工スピンドルモータの開発

並木精密宝石株式会社

この事例のポイント

  • 静圧軸受は性能が良いが軸受の直径が大きく、コストが5倍以上かかるという問題があった。
  • ボールベアリングにバネで予圧を与える従来機構をベースに、回転数に応じて発生する遠心力を利用して予圧バネの荷重を自動調整する新機構を開発した。
  • 新開発のベアリング予圧自動調整機構を用いた加工スピンドルモータにより、中低速の重切削から高速回転の微小切込による仕上げ加工まで、1本のスピンドルと同一刃物で一貫加工が可能になる。

事業者のプロフィール

事業者名並木精密宝石株式会社
所在地青森県 青森県黒石市
業種その他の製造業
技術分野精密加工
従業員数400人
資本金1億円
設立1939年

事業の背景

並木精密宝石株式会社は長年モータを作り続けてきた会社で、マイクロモータおよびモータ応用ユニットを主要製品としている。従業員は400名である。市場では広域回転型の高性能加工スピンドルが求められているが、その多くは軸受方式に依存している。軸受の中では静圧軸受の性能が良好とされるが、コストの高さが課題になっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算静圧軸受は性能が良いが軸受の直径が大きく、コストが5倍以上かかるという問題があった。
  • 生産能力広域回転型の高性能加工スピンドルは主に軸受方式に依存しており、中低速の荒加工から高速の仕上げ加工まで1本の刃物で連続して高品位に加工する要求に応えにくかった。

やったこと

ボールベアリングにバネで予圧を与える従来機構をベースに、回転数に応じて発生する遠心力を利用して予圧バネの荷重を自動調整する新機構を開発した。予圧を与える金属製の立体形状バネ部材(遠心バネ)の設計を行い、詳細な設計仕様を決定した。初期試作品では非回転時のアキシャル機械剛性(静的剛性)を評価した。計5台の試作品を準備し、超低速1,000rpmから高速60,000rpmまでの回転振れを評価した。加工試作した遠心バネについて、回転数による軸方向の変位量を実測して理論値と対応させ、スピンドル剛性の回転数依存性や切削時のビビリ振動・切削荷重に対する逃げやたわみの減少も確認した。

新しい製品・サービス:FA用予圧自動調整機構付き加工スピンドルモータ

事業の効果

新開発のベアリング予圧自動調整機構を用いた加工スピンドルモータにより、中低速の重切削から高速回転の微小切込による仕上げ加工まで、1本のスピンドルと同一刃物で一貫加工が可能になる。低速から中速回転ではスピンドルの高剛性化により生産性が2倍近く大幅に向上すると見込まれる。高速回転での寿命改善も期待でき、近年増えている複雑形状部品を高精度かつ高効率に加工できる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    ボールベアリング予圧の従来機構をベースに改良したとあり、過去の取組との連続性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    静圧軸受は高コストという課題を挙げ、広域回転型の市場ニーズに応えるとあるが、自社の強み・競争優位の裏付けは具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    静圧軸受の5倍以上のコストという課題認識と、生産性2倍近い向上の見込みが書かれ、課題解決の方向は示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産性が2倍近く向上、回転域1~6万rpmの性能という数値目標が示されている。賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員400名と記載はあるが、補助事業を担う具体的な体制や事務処理能力の説明は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    TOPクラス加工機専門メーカへ専属納入する計画と、複雑形状部品の需要増が示され、顧客ターゲットと選ばれる理由が具体的である。

  • 事業化までの道筋3

    開発試作、回転振れ評価、加工機メーカとのコラボ構築予定など段階は示されるが、スケジュールや課題解決の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    中低速の重切削から高速微細切込までを1本の刃物で一貫加工できる新機構で、同分野で高性能化を図る内容が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    複雑機械部品の効率加工に寄与すると述べられるが、雇用創出や波及効果など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    生産性2倍近い向上と寿命延命の効果が示されるが、補助金投入額に対する費用対効果の記載はない。

  • イノベーションへの貢献2

    新機構による加工効率化は読み取れるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献の記載は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    複雑機械部品の加工需要に応える点はうかがえるが、日本経済の構造転換に資する分野進出とは明記されていない。

  • 地域経済への波及2

    青森県黒石市に所在することは分かるが、地域の特性を活かした付加価値創出や雇用拡大の記載は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

開発品は多軸加工機やCNC旋盤にサブスピンドルとして搭載し、複雑機械部品の効率的な加工に用いられると期待される。多軸加工機およびCNC旋盤の業界でTOPクラスの加工機専門メーカに専属的に納入する計画であり、開発が進んだ段階では加工機専門メーカとのコラボレーションを構築する予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。