ものづくり補助金平成26年度製造業岩手県

耐火集成材の合理的生産方法の開発

協同組合 遠野グルーラム

成果製造コスト(従来製品比) 100%→60%

この事例のポイント

  • 耐火集成材は製造工程が煩雑で価格も高額だったため、市場での採用がごく限られていた。
  • 当社独自で耐火集成材の設計と製造工程を見直し、薬剤を集成材に直接注入して燃え止まり層とし、薬剤を注入した穴を被覆する箇所の接着面に施していたマスキング工程を省いた。
  • 製造コスト(従来製品比) 100%→60%。工程の単純化、薬剤の減量、製造工程の見直しにより、従来製品の約6割のコストで、従来品と同等またはそれ以上の耐火性能を備…

事業者のプロフィール

事業者名協同組合 遠野グルーラム
所在地岩手県 遠野市
業種木材・木製品製造業
技術分野表面処理
従業員数34人
資本金4,835万円
設立1994年

事業の背景

協同組合として県産材を原料に、主に大規模建築物に使用される大断面・中断面集成材の製造やプレカット加工を行っている。平成17年から複数者と共同で燃え止まり型の耐火集成材の研究開発を進め、約10年間にわたり研究と試作を重ね、平成25年に製品化された。しかし製造工程が煩雑で価格が高く、市場での採用は限られていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算耐火集成材は製造工程が煩雑で価格も高額だったため、市場での採用がごく限られていた。
  • 販路・情報発信市場に受け入れられるためには、さらなるコストダウンが必要だった。

やったこと

当社独自で耐火集成材の設計と製造工程を見直し、薬剤を集成材に直接注入して燃え止まり層とし、薬剤を注入した穴を被覆する箇所の接着面に施していたマスキング工程を省いた。従来は外注のレーザー加工で行っていた薬剤注入用の穴あけを当社のドリルで行い、薬剤の注入量も削減した。試作開発の原材料として木材、浸透薬剤、接着剤を購入し、木材の強度測定装置と実物大試験体の設計装置を導入して試作品を製作した。試作品は公的試験機関で性能評価試験を実施し、日本建築総合試験所で1時間耐火基準をクリアした。

検査測定木材の強度測定装置
その他実物大試験体の設計装置
加工機ドリル

新しい製品・サービス:従来品よりコストを大幅に抑えた自社開発の耐火集成材

事業の効果

  • 製造コスト(従来製品比) 100%→60%

工程の単純化、薬剤の減量、製造工程の見直しにより、従来製品の約6割のコストで、従来品と同等またはそれ以上の耐火性能を備えた耐火集成材を実現した。製造時間の短縮も図られた。日本建築総合試験所で1時間耐火基準をクリアし、3,000㎡を超える大規模木造建築にも使用できる製品となった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    約10年の共同研究と2013年の製品化を経て、自社で工程を見直す方針が示され、既存の取組との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    市場で採用が限られたことや大規模木造需要への対応は書かれるが、自社の経営資源との優位性の関係は具体的に示されていない。

  • 課題の認識と解決5

    製造コスト958千円/㎡を約40%縮減し、従来製品の約6割のコストで同等以上の耐火性能を実現すると数字で示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    約40%のコスト縮減や製造時間短縮は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    共同研究先や特許実施許諾契約は書かれるが、事業遂行の人員体制や事務処理能力は具体的に読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    安価で機能性に富む耐火集成材という価値と、大規模木造建築や大手ゼネコン向けという顧客ターゲットが示されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作、性能評価試験、大手ゼネコンへの供給、自社工場保有という段階は書かれるが、スケジュールは詳しくない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    耐火集成材は市場での採用が限られた新分野で、同分野の中で大幅なコストダウンを図る点が書かれている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用4

    公共建築物木材利用促進法や国産材利用促進を背景に、木造化需要の増加と国産材の活用という政策的意義が述べられている。

  • 費用対効果4

    製造コストを約40%縮減し、従来品の約6割で同等以上の耐火性能を得るなど、投入に対する効果の比率が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    ドリル加工や工程の見直しはあるが、先端デジタル技術の活用や地域サプライチェーンへの波及は書かれていない。

政策面70%
  • 成長分野への進出3

    国産木材利用促進と大規模木造建築需要への対応が書かれ、木材分野の市場拡大に関連するが、構造転換との結びつきは薄い。

  • 地域経済への波及4

    県産材を原料とし、遠野の集成材製造会社が自社工場を持って展開する点から地域の産業との結びつきが読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

公共建築物木材利用促進法により2階建以下の公共施設の木造化が義務付けられ、大規模木造建築の需要は今後増加すると見込まれる。大手ゼネコンへの製品供給を足がかりに、自社で製造工場を保有する強みを生かして販路を広げていく方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。