ものづくり補助金平成26年度卸売業、小売業宮城県

湿式法による使用済電気部品等からの銀の高効率回収プロセスの試作開発

株式会社佐藤金属

成果銀・銅・亜鉛の回収スケール 1倍→100倍

この事例のポイント

  • 従来はブレーカーやリレースイッチの銀接点を部品ごとに解体・選別して精錬メーカーに売却しており、銀が母材の黄銅に物理的に貼付された銀複合物として扱われ、付加価値が低かった。
  • 東北大学多元物質科学研究所の協力を得て、高効率な銀抽出システムの開発と量産体制の構築を研究した。
  • 銀・銅・亜鉛の回収スケール 1倍→100倍。電気接点の銀を金属銀として高付加価値化製品に展開でき、銀・銅・亜鉛それぞれが原料として評価されるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社佐藤金属
所在地宮城県 岩沼市
業種その他の卸売業
技術分野材料製造プロセス
従業員数13人
資本金1,000万円
設立1973年

事業の背景

株式会社佐藤金属は岩沼臨空工業団地で、レアメタル・レアアースを含む金属リサイクルと産業廃棄物処理を手掛けている。生産設備ライン、医療機器、事業系パソコン、コピー機など様々な産業分野から機器を回収し、特殊金属や貴金属、非鉄金属を再生している。地球温暖化による自然災害が多発する中で資源循環型社会への貢献が求められている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力従来はブレーカーやリレースイッチの銀接点を部品ごとに解体・選別して精錬メーカーに売却しており、銀が母材の黄銅に物理的に貼付された銀複合物として扱われ、付加価値が低かった。
  • コスト・採算銀接点は銀ロウ付けなどで母材部分に接合されているため、化学的な溶解抽出のプロセスが必要だが、安価で高収率な銀回収の方法が確立されていなかった。

やったこと

東北大学多元物質科学研究所の協力を得て、高効率な銀抽出システムの開発と量産体制の構築を研究した。シアン化ナトリウムでの溶解試験では黄銅の溶解が銀より速く進んだため、黄銅を優先的に溶解し残渣として銀を分離する方針とした。塩酸と硫酸による酸溶解試験では、塩酸による黄銅の溶解が硫酸よりも極めて速いことが判明し、効率化・費用・作業性の面から塩酸を用いた酸溶解法を最適と判断した。確立した回収プロセスを元に、銀溶解抽出洗浄設備、蛍光X線分析計、スラッジ回収装置などの機器一式を導入し、試験規模の100倍のスケールで銀回収を行ったところ、試験時の状況がほぼ同等に再現された。銅と亜鉛についても98%以上の高収集率を実現した。

加工機銀溶解抽出洗浄設備
検査測定蛍光X線分析計
その他スラッジ回収装置

新しい製品・サービス:電気接点から取り出した金属銀を高付加価値化製品とする湿式法による銀回収プロセス

事業の効果

  • 銀・銅・亜鉛の回収スケール 1倍→100倍
  • 銅、亜鉛ともに98%以上の高収集率の回収を実現

電気接点の銀を金属銀として高付加価値化製品に展開でき、銀・銅・亜鉛それぞれが原料として評価されるようになった。使用済電気部品の仕入れでも同業他社より優位な価格で仕入れることが可能となった。安価で高収率な銀の回収プロセスを確立し、銅と亜鉛も98%以上の高収集率で回収できるようになった。確立したプロセスを他材料の回収にも応用し、プリント基板の端材などへ発想が広がっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    特殊金属や貴金属のリサイクルを手掛けてきた事業の延長で、ものづくり補助金を使い、従来の分別リサイクル品だった銀接点の金属銀化に取り組んでいる点が読み取れます。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    試験規模の100倍スケールで銀回収を再現し、銅・亜鉛は98%以上の高収集率を実現したと書かれており、自社の技術的な強みが具体的に示されています。

  • 課題の認識と解決4

    銀接点が母材の黄銅と物理的に貼付され分離が難しいという課題を認識し、酸溶解法による高収率で安価な銀回収プロセスの確立につなげています。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    回収率98%以上という実績は示されていますが、付加価値額や賃上げについての目標値は書かれておらず、わずかにうかがえる程度です。

  • 事業を進める体制3

    東北大学多元物質科学研究所の協力を得て研究を重ねたと書かれていますが、補助事業を担う人材や事務処理の体制について詳しい記述はありません。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    銀が金属銀として高付加価値製品になると述べられていますが、顧客ターゲットや選ばれる理由について具体的な説明は読み取れません。

  • 事業化までの道筋3

    試験から100倍スケールへの展開や、他材料やプリント基板端材への応用が語られていますが、スケジュールや課題解決の方法は明示されていません。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来は分別リサイクル品として評価されていた銀接点を金属銀として展開し、高付加価値化の製品にする点が事例に明確に書かれています。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    金属資源を国内に安定的に流通させる重要性と資源循環型社会への貢献が述べられていますが、経済波及効果や雇用創出の数字は示されていません。

  • 費用対効果3

    塩酸による酸溶解法が効率化や費用・作業性の面で最適と判断されたと書かれていますが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていません。

  • イノベーションへの貢献2

    他材料の回収やプリント基板端材への展開が語られていますが、先端的なデジタル技術の活用は書かれておらず、わずかにうかがえる程度です。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    資源循環型社会の構築に貢献するとの方向性は示されていますが、市場成長分野への進出や日本経済の構造転換に関する具体的な記述は薄いです。

  • 地域経済への波及2

    岩沼臨空工業団地で事業を展開していることは書かれていますが、地域特性を活かした付加価値創出や雇用の拡大について具体的な記述はわずかです。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後も技術革新に伴う新たな回収プロセスの確立に向けてアンテナを張り、資源循環型社会の構築に貢献していく。

事業者の声

シアン化溶液に比べて環境に優しく、廃液処理が容易であり、作業者も安全に作業することが可能です

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。