ものづくり補助金平成28年度卸売業、小売業静岡県

耐食性・耐電食性・コストに優れた大型ボルトの生産体制の確立

株式会社鈴木商店

成果外注分析のリードタイム 7日→1日

この事例のポイント

  • 自動車部品が主要取引先で、持続的な発展に懸念があったため、土木・建築分野向けのボルト加工へ広げる必要があった。
  • 自社の3層コーティング技術を大型ボルトに適用するため、2種類の機械を導入した。
  • 外注分析のリードタイム 7日→1日。コーティングによる耐食性が大幅に向上し、被膜の膜厚も0.8〜1.5μへ均一化できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社鈴木商店
所在地静岡県 焼津市
業種その他の卸売業
技術分野測定計測,表面処理
資本金500万円
設立1970年

事業の背景

昭和45年の創業以来、ネジ・ボルトの販売と加工を手掛けてきた。創業当初は自動車部品メーカーへのボルト提供が主で、その品質は取引先から高く評価されていた。株式化を機に、ボルトの付加価値向上に本格的に取り組み始めた。土木・建築業界では、経済成長期に作られた建造物が40年程経って老朽化しており、行政主導で防災都市化やインフラ長寿命化の動きが活発になっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術自動車部品が主要取引先で、持続的な発展に懸念があったため、土木・建築分野向けのボルト加工へ広げる必要があった。
  • 品質・精度大型ボルトでは膜付けの際に、まだら状のひび割れや塗膜の剥離が稀に発生していた。また膜厚の均一性と塗膜の密着性に課題があった。
  • 生産能力従来の生産体制はJIS規格M20以下の小型ボルトに対応したもので、M20以上の大型ボルトを生産する体制の確立が急務だった。
  • その他被膜の成分分析が難しく、分析を外注していたためリードタイムが1週間かかっていた。

やったこと

自社の3層コーティング技術を大型ボルトに適用するため、2種類の機械を導入した。対象はJIS規格M20以上の大型ボルトである。一つ目は蛍光X線膜厚計で、従来機より多くの元素に対応し、複合被膜の各層の成分分析が可能になった。二つ目はディップスピンコート機で、大型ボルトに対応した容量と出力を備え、遠心力に影響する回転力を強化した。塗装時の振り切りスピードなどの条件標準化や塗装液の管理方法も整え、自社ノウハウを蓄積した。

検査測定蛍光X線膜厚計
加工機ディップスピンコート機

新しい製品・サービス:耐食性・耐電食性を備えた土木・建築向けの大型ボルト(M20以上)

事業の効果

  • 外注分析のリードタイム 7日→1日

コーティングによる耐食性が大幅に向上し、被膜の膜厚も0.8〜1.5μへ均一化できた。大型ボルトの塗装では安定した膜厚が確保され、ワンサイクル当たりの加工可能なボルト数が増えて大量生産体制が整った。成分分析を内製化したことで客観的な分析・証明が可能になり、耐電食性の付加も実現した。土木・建築分野への販路開拓の突破口も開いた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来のネジ・ボルト販売・加工の実績と自社の3層コーティング技術を土台に、土木・建築分野へ展開する流れが読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    一般鋼材の7倍の耐食性や防錆ニーズの高まり、建造物の老朽化と自社技術の強みを結びつけた判断が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    新分野でM20以上の大型ボルトを扱う生産体制の未確立という課題を認識し、機械導入で解決する方針は示されているが、数値目標や成長見通しは薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    膜厚0.8〜1.5μへの均一化やリードタイム1週間から1日への短縮はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    研究開発拠点の設置や分析の内製化など体制整備の記述はあるが、人材や事務処理能力の具体的な確保状況は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    橋梁の検査路や支承など土木・建築分野の顧客ターゲットとニーズの裏付け、耐食性という選ばれる理由が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    課題の検証から機械導入、条件標準化、塗装液管理ノウハウ蓄積という解決方法の流れは示されているが、スケジュールの記載は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    大型ボルトの防錆分野で、既存の高水準の耐食性を備えた製品への高付加価値化を図る内容が読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    インフラ長寿命化や防災都市化という社会的インフラへの貢献が述べられているが、波及効果や雇用創出の数字はない。

  • 費用対効果3

    大量生産の実現や内製化によるリードタイム短縮など効果は書かれているが、投入額に対する付加価値の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    軽金属を用いた低コスト化や軽量化への期待は書かれているが、先端デジタル技術や新ビジネスモデルの記述はない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    インフラ長寿命化の動きに沿う点はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は明確でない。

  • 地域経済への波及2

    静岡県焼津市と浜松市の拠点展開は書かれているが、地域の経済成長や雇用創出を牽引する記述は限られている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。