ものづくり補助金平成26年度製造業秋田県

FRP廃材を利用した水質浄化用ろ材の、低コスト生産システムの開発

株式会社川瀬製作所

成果射出成形機の余熱時間 60分→15分

この事例のポイント

  • 主力のプラスチック部品製造が海外とのコスト競争に晒されており、使用原料等の削減によるコスト低減が必要だった。
  • 粉砕したFRP廃材を10%以上混合した複合材を開発するため、粉砕機の改造を行った。
  • 射出成形機の余熱時間 60分→15分。独自改造した射出成形機の使用により余熱時間が大きく減少し、使用原料の削減にもつながった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社川瀬製作所
所在地秋田県 北秋田市
業種プラスチック製品製造業
技術分野複合・新機能材料,材料製造プロセス
従業員数11人
資本金3,000万円
設立1956年

事業の背景

当社は金型設計・製作、射出成形および二次加工を主とするプラスチック製品の加工販売業者である。特許技術を持つ水質浄化部門を7年前に立ち上げ、水質浄化濾過材料の製作販売も行っている。主力のプラスチック部品製造は海外とのコスト競争に晒されており、市場が伸びている水質浄化分野では売上拡大と価格競争力の強化が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算主力のプラスチック部品製造が海外とのコスト競争に晒されており、使用原料等の削減によるコスト低減が必要だった。
  • 販路・情報発信市場を伸ばしている水質浄化の環境分野で、売上拡大と価格競争力の強化が必要だった。
  • 生産能力FRP廃材はプラスチック類の中で最も処理が困難で、多くが埋め立てや高温焼却で廃棄されていた。

やったこと

粉砕したFRP廃材を10%以上混合した複合材を開発するため、粉砕機の改造を行った。スクリューやシリンダに独自改造を施した電動式射出成形機を導入し、長寿命化と電気代節減を図った。さらに金型を新たに製作し、複合材の使用原料を少なくすることでコストダウンを目指した。試作品は精度をあまり必要とせず外観の色合いが変化しても問題ない製品への使用を前提とし、当社で製作していた水質浄化用濾過材料を複合材で製作して、FRP廃材の混合率と強度等について試験評価を行った。

加工機プラスチック粉砕機(独自改造)
加工機電動式射出成形機(スクリュー・シリンダ独自改造)
金型金型

新しい製品・サービス:FRP廃材を利用した水質浄化用濾過材料

事業の効果

  • 射出成形機の余熱時間 60分→15分
  • 以前より2割程度の改善が見込まれる
  • 粉砕したFRP廃材を10%以上混合

独自改造した射出成形機の使用により余熱時間が大きく減少し、使用原料の削減にもつながった。生産効率は以前より2割程度の改善が見込まれる結果となった。複合材で成形した濾過材は取引先の評価で性能・外観ともに問題ないとされた。従来品についても製造コストを大きく削減でき、プラスチック部品製造のコスト競争力も強化された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    メイン事業はプラスチック部品製造と水質浄化部門で、水質浄化濾過材は7年前から製作販売しているが、FRP複合材の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    特許技術を保有する水質浄化分野で、市場を伸ばしていたことや価格競争力強化の必要性は書かれているが、外部環境の分析は具体的でない。

  • 課題の認識と解決4

    海外とのコスト競争に晒される課題を認識し、原料削減と射出成形機の余熱時間短縮(1時間→15分)でコスト低減を図る計画が示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    生産効率が2割程度改善する見込みとあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    金型設計・製作から射出成形、二次加工まで自社で行う体制と、社員数11人の会社であることが書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    取引先に性能・外観の評価を依頼し問題ないとの評価を得たとあるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    FRP廃材の製品化は粉塵による健康被害の懸念から至っておらず、将来課題の解決方法は今後の検討とされている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    水質浄化濾過材の分野で独自の特許技術を保有しているとあるが、同分野での高付加価値化・高価格化の水準は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    FRP廃材の再利用による環境問題への貢献や、埋立・焼却の現状に触れているが、経済波及効果や雇用創出は書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の数値は示されず、生産効率の2割改善は見込みとして書かれているのみである。

  • イノベーションへの貢献2

    独自改造の射出成形機や粉砕機によるサプライチェーンへの貢献は限定的で、デジタル技術の活用は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    秋田県北秋田市の工場で事業を行うとあるが、地域の特性を活かした付加価値創出や雇用拡大についての記述は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

FRP廃材を再利用した製品化は、粉砕時のガラス繊維微細粉塵による塵肺等の健康被害が考えられるため現時点では至っていない。将来コストを含めた諸課題が克服できれば有効利用は可能と考えている。今年度は新型コロナウイルスの影響で水質浄化部門の受注が大きく減少しているが、射出成形技術を応用した新たな製品開発を検討している。

事業者の声

試作データの計算等を通じて社員のコスト意識が高まりました。コスト低減に向けた社員同士の情報共有が以前より増えました。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。