ものづくり補助金平成26年度製造業茨城県

プレス製インサートナットの高効率生産技術の開発

株式会社 タンゲ製作所

この事例のポイント

  • クランク式プレス機は加圧速度が一定で、部分的に力が加わりすぎて不良品を出す恐れがあり、低速で慎重に加工する必要があったため生産性が低下していた。
  • 従来のクランク式プレス機に代えてサーボプレス機を導入した。
  • サーボプレス機の導入により、独自技術の順送プレス加工によるインサートナットの生産効率が従来比約40%アップした。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 タンゲ製作所
所在地茨城県 那珂市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数13人
資本金1,000万円

事業の背景

同社は、ねじ付きプレス部品の製造を得意とする金属部品メーカーで、プレス製インサートナットを製造する独自技術を開発し、2006年に経済産業省の「第1回元気なモノ作り中小企業300社」に認定されている。同社のインサートナットは2000年当時、携帯電話のアンテナホルダー固定ねじとして広く使われていた。現在は大手が携帯電話・スマートフォン向け部品の生産拠点をより低コストを求めて安価な海外にシフトしたため、同社の主な受注は産業用電気部品に移行している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力クランク式プレス機は加圧速度が一定で、部分的に力が加わりすぎて不良品を出す恐れがあり、低速で慎重に加工する必要があったため生産性が低下していた。
  • コスト・採算リードタイムを短縮しコストも下げるためには、機械の効率を上げることが必要だった。
  • 新製品・新技術金属は軽い素材ほど切削加工が難しく、携帯電話メーカーからの「1グラムでも軽く」という要求に応えるための技術が必要だった。

やったこと

従来のクランク式プレス機に代えてサーボプレス機を導入した。サーボプレス機はACサーボモータとコンピューター制御装置により、加工時の速度や位置決め、加圧する力を数値で設定して高精度に制御できる。導入した機械で、タップ加工装置を組み込んだ複合順送金型を用い、タップ加工からローレット加工までをプレス加工と同時に自動で行う。これにより加圧する力を任意に設定でき、生産効率を向上させた。

加工機サーボプレス機
金型タップ加工装置組込み複合順送金型

事業の効果

サーボプレス機の導入により、独自技術の順送プレス加工によるインサートナットの生産効率が従来比約40%アップした。当初の目標は従来比30~40%の向上であった。プレス機はオートメーションで24時間稼働でき、作業者が製品に直接触れないため安全性も高い。複雑な形状の部品を不良品を出さずに製造できるようになり、難加工材も扱えるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    2006年の独自技術開発や経産省認定、プレス製インサートナット事業の継続が具体的に書かれ、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    携帯電話向けの軽量化要求に応える高品質・低コスト生産が強みとされ、海外シフトによる市場変化と自社強みの関係が書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    従来比30~40%の生産効率向上、課題としてリードタイム短縮とコスト低減が挙げられ、課題認識と解決策が具体的に示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産効率を従来比40%程度向上させる数値目標が示され、計画通り30~40%向上を目指していると記載されている。ただし付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数13名と記載があるのみで、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    携帯電話メーカーの「1グラムでも軽く」という要求や難加工材への対応など、ニーズと選ばれる理由が書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    顧客獲得と高難度部品への展開が目標とされるが、遂行スケジュールや課題解決の具体的方法は記載が薄い。

  • 財務と資金の調達2

    資本金1,000万円の記載のみで、財務状況や金融機関からの資金調達見込みは読み取れない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    独自の1台の金型でタップからローレットまで同時加工する技術が世界的にも先駆的と評価され、高水準の高付加価値化が読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    国が補助する理由として挙げられる雇用創出や波及効果の記述は見られず、わずかに地域や産業への関与がうかがえる程度。

  • 費用対効果3

    生産効率40%向上という効果は示されているが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    サーボプレス機による高精度制御と複合順送金型の自動加工が示されるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    海外シフトや産業用電気部品への移行が書かれるのみで、日本経済の構造転換に資する点は明示されていない。

  • 地域経済への波及3

    那珂市に所在する地元メーカーであることは読み取れるが、地域特性を活かした雇用創出や成長牽引の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

同社は現在、サーボプレス機の能力を最大限に発揮し、高精度な金属加工を可能にするシステムの開発に取り組んでいる。今後はより複雑で高難度な部品の高効率生産を目標としている。

事業者の声

「リードタイムを短縮し、さらにコストも下げるという課題を解決するには、機械の効率を上げることが必要」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。