ものづくり補助金平成28年度製造業三重県

ロボットベンダーによる曲げ工程の自動化と、IoTによる工場間連携体制の構築

楠精器株式会社

成果曲げ工程の自動化率 25%→50%

この事例のポイント

  • 300ミリ以下の小物部品の曲げ加工は手作業で行っており、作業者のスキルの違いによって精度・生産性にバラツキがあった。
  • 曲げ工程に小物部品専用のロボットベンダー(EG6013AR)を導入し、大物曲げ加工ロボットと合わせて曲げ工程の自動化率を50%に引き上げた。
  • 曲げ工程の自動化率 25%→50%。小物部品の曲げが無人運転で自動化でき、作業者の時間はほぼかからなくなった。

事業者のプロフィール

事業者名楠精器株式会社
所在地三重県 鳥羽市
業種金属製品製造業
技術分野情報処理,精密加工,機械制御
従業員数29人
資本金1,000万円
設立1951年

事業の背景

昭和26年の創業以来、精密板金加工業者として実績を積み重ね、業務用プリンタ関連部品、貨幣処理機用部品、アミューズメント関連機器など、高い加工精度を求められる製品の注文が多い。大物曲げ加工用のロボットベンダーは所有していたが、300ミリ以下の小物部品は対応できていなかった。現在、生産能力の限界から受注を断っている主力顧客からの受注増が期待でき、社会インフラの老朽化対応やリニア中央新幹線建設などの関連投資により、昇降機や空調設備向けの受配電盤・制御盤の需要が見込まれる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力300ミリ以下の小物部品の曲げ加工は手作業で行っており、作業者のスキルの違いによって精度・生産性にバラツキがあった。
  • 人手・技能4箇所の工場の情報共有の方法が確立しておらず、負荷の分散や調整がスムーズにいかず生産にムラが見られた。

やったこと

曲げ工程に小物部品専用のロボットベンダー(EG6013AR)を導入し、大物曲げ加工ロボットと合わせて曲げ工程の自動化率を50%に引き上げた。金型自動交換などにより加工精度と生産性の向上を図った。また、生産管理システムを導入して各工場の加工機と接続し、第一工場と第二工場(ブランク工程と曲げ工程)を一元管理できるようにした。ロボットベンダーと生産管理システムの基本仕様・オプション仕様を決め、ロボットの操作習得とテスト加工を行い、自動化率や加工精度の向上を検証した。

ロボット小物部品専用ロボットベンダー(EG6013AR)
ソフト生産管理システム(vFactoryEX)
加工機加工機

事業の効果

  • 曲げ工程の自動化率 25%→50%
  • 総加工時間は25%アップした
  • 人件費として60%削減できた
  • 曲げ工程の人員1名の削減が可能となった

小物部品の曲げが無人運転で自動化でき、作業者の時間はほぼかからなくなった。曲げ工程の自動化率は25%から50%近くに上がり、人件費は60%削減、曲げ工程の人員を1名減らせるようになった。生産管理システムにより各工場の稼働状況と加工進捗をLAN経由で監視でき、稼働情報をグラフ化して分析できる体制が整った。これにより受注判断や見積もり、納期の精度が高まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の取組として自動倉庫導入や大物曲げロボット導入などの計画的設備投資が書かれているが、経営戦略上の位置付けの明記は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    主力顧客からの受注増、社会インフラ老朽化やリニア関連投資による昇降機・空調向け制御盤の需要増に触れ、三重県で数社しかないロボットベンダー導入による優位性を述べている。

  • 課題の認識と解決4

    曲げ工程の手作業によるバラツキと4工場の情報共有不足という課題を示し、自動化率を50%に引き上げる具体的な対策を挙げている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    曲げ工程の自動化率を25%から50%近くへ、総加工時間を25%アップ、人件費を60%削減、人員1名削減と数値目標と実績が示されている。

  • 事業を進める体制3

    ロボットの操作習得やテスト加工、保守・制御体制の構築が書かれているが、人材や事務体制の具体的な人数や配置は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高い加工精度を求められる製品(業務用プリンタ部品、貨幣処理機用部品など)の注文が多い点と、精度・納期の向上が選ばれる理由として書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    ロボット操作習得、テスト加工、生産管理システムの導入と検証という段階は読み取れるが、スケジュールの詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ロボットベンダーで300ミリ以下の小物曲げを自動化する点は近隣に導入業者がない優位性として述べられているが、市場全体の普及度の数値は示されていない。

公的補助の必要性73%
  • 波及効果・雇用3

    社会インフラ老朽化やリニア中央新幹線関連投資による需要増が書かれているが、経済波及効果や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果4

    曲げ工程の人員1名削減、人件費60%削減、総加工時間25%アップなど、投入に対する効果が具体的な数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献4

    IoTによる生産管理システムで4工場の加工機をLANで連携し、稼働状況を分析する仕組みを構築したと具体的に書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    医療機器業界への新規取引に注力すると書かれているが、日本経済の構造転換への言及はわずかにうかがえる程度である。

  • 地域経済への波及3

    三重県で数社の導入業者という地域での優位性は書かれているが、地域の雇用創出や経済成長への寄与は具体的に示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

主力顧客からの受注増、建設関連投資による受配電盤・制御盤の需要増が期待される。特定業種に偏らない取引を目指し、医療機器業界への新規取引に注力する。工場間ネットワーク化、無人化、見える化をさらに進め、高効率生産体制を構築する。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

MRI用超電導マグネット監視装置の生産体制強化

制御基板の試験を自動化するため、基板検査装置を開発し、手作業で行っていた測定端子の接続や測定値の読み取りを自動化する。

効果:測定工数は予定通り約半分以下の時間となった

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。