ものづくり補助金平成26年度製造業群馬県

高生産性・高信頼性の下水道設備用ゴム製可撓性継手の開発

株式会社赤城

成果生産性 2.2個/時→4個/時

この事例のポイント

  • 需要が本格化すると、プレス機での生産では対応しきれず、生産性の高い射出成形機による生産が必要になる。
  • ベント(ガス抜き機構)付のゴム用射出成形機を導入し、信頼性と生産性の高いブーツを生産する試作に取り組んだ。
  • 生産性 2.2個/時→4個/時。射出成形への切り替えとベント付射出成形機の導入により、プレス機に比べて80%以上の生産性向上を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社赤城
所在地群馬県 桐生市
業種ゴム製品製造業
技術分野立体造形
従業員数30人
資本金2,000万円
設立1993年

事業の背景

東日本大震災の経験から、下水道インフラの更新に伴ってゴム製ブーツの需要が大きく期待されている。2013年末の下水道普及率は77%、総延長は40万キロ、約1,200万基のマンホールが設置されており、ブーツの市場規模は2,400万個程度と推測される。経産省の統計では一般工業用ゴム製品の製造企業は約1,000社で、そのうちブーツサイズの製品を手掛けられるのは約10%ほどと思われる。当社は既にプレス機でブーツの生産を始めていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力需要が本格化すると、プレス機での生産では対応しきれず、生産性の高い射出成形機による生産が必要になる。
  • 品質・精度ゴムは成形時に内部からガスが発生し、製品内に残ると「ス」と呼ばれる欠点ができるリスクがあり、金型接合部の隙間を大きくすればゴムも漏れ出してしまう。

やったこと

ベント(ガス抜き機構)付のゴム用射出成形機を導入し、信頼性と生産性の高いブーツを生産する試作に取り組んだ。熱版の温度はゴム原料メーカー推奨の170℃とし、射出出力は初期80%、中間50%、最終50%で試作した。その結果、欠点のない良品となり、成形時間900秒で4.0個/時の生産性を得て、プレス機の2.2個/時に比べて80%以上向上した。設計重量915グラムに対して、重量法による検査で99%以上を確保することを目標とし、最軽量品でも908グラム(99.2%)、平均99.7%となり目標を達成した。

加工機ベント付ゴム用射出成形機

新しい製品・サービス:下水道設備用ゴム製可撓性継手(ブーツ)

事業の効果

  • 生産性 2.2個/時→4個/時

射出成形への切り替えとベント付射出成形機の導入により、プレス機に比べて80%以上の生産性向上を実現した。年間24,000個の生産に対応でき、ピーク時予想の19,800個の販売予想にも十分対応できる見通しがついた。設計重量の99%以上という高信頼性も達成し、高生産性と高信頼性によって市場競争力を高め、ロングスパンでのシェア獲得が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    市場の増産要望に応えるため既存のプレス生産から射出成形へ移す取組で、過去の生産事業との連続性がうかがえる程度に書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    下水道の耐震需要と市場規模約2,400万個、1社あたり24万個の試算から市場環境は読み取れるが、自社の競争優位の裏付けは薄い。

  • 課題の認識と解決4

    ゴムの内部ガスによる「ス」発生という課題を認識し、ベント付射出成形機で解決する具体策が示されている。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    生産性は従来比80%以上、重量99.7%達成、目標を3倍の72万個、2030年に売上4,950万円と数値で目標と実現性が示されている。

  • 事業を進める体制3

    人員の追加採用と24時間稼働による生産対応は書かれているが、事務処理能力など遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高生産性・高信頼性を武器にシェア獲得を狙い、市場規模や需要の裏付けも具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋4

    2017年から2030年までの売上推移を段階的に示し、試作から量産への課題解決の流れが明確に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ゴム製可撓性継手は一般に普及していない分野で、プレス機比80%以上の生産性と99.7%の重量達成を示している。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用4

    震災後の下水道復旧の遅れや2014年の地震対策要綱を背景に、インフラ強化という国の施策に沿う理由が示されている。

  • 費用対効果3

    生産性向上率や市場規模は示されるが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    ゴム成形の技術改善は書かれているが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は読み取れない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    下水道インフラの更新需要に対応する記述はあるが、日本経済の構造転換に資するとの説明はわずかである。

  • 地域経済への波及2

    桐生市という地域の記載はあるが、地域特性を活かした雇用や経済成長への言及はわずかにうかがえる程度である。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

2017年の売り上げ数量600個、売上150万円から始まり、2020年には13,200個・3,300万円、2030年には19,800個・4,950万円と、息の長い事業となる見込み。当面の目標は市場の3倍にあたる72万個に設定している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。