ものづくり補助金平成24年度京都府

伝統工芸品くみひも「三軸組織(さんじくくみおり)」による創作裂地の製織

有限会社綵巧

この事例のポイント

  • 和装業界の需要が落ち込むなか、洋装向けに三軸組織の生地を展開するため、大型環状織機の改良が必要だった。
  • 京都市の海外事業支援を機に、大型環状織機を新設備に進化させて洋装生地として展開する取り組みを始めた。
  • 大型環状織機の改良により、他社では不可能な立体的筒型くみひも生地の製織が可能になり、和の伝統を生かした販路と売上の拡大につなげる狙いである。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社綵巧
所在地京都府 京都市
業種繊維工業
技術分野繊維加工
従業員数10人
資本金3,000万円
設立1949年

事業の背景

昭和24年に京都市北区で創業した西陣織の織元で、自社設備のみで一貫して製織できる数少ない事業者である。主力は和装用の生地や和装裂地だが、和装業界は需要停滞と後継者不足で衰退産業に位置付けられている。伝統工芸品くみひもの技術を融合した三軸組織は、大型環状織機でのみ製織できる唯一無二の製品である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術和装業界の需要が落ち込むなか、洋装向けに三軸組織の生地を展開するため、大型環状織機の改良が必要だった。
  • コスト・採算大型環状織機は製織幅が30cmしかなく、洋装に対応するには広巾生地や立体的筒型生地の製作が必要で、そのための改良費用の捻出が課題だった。
  • 生産能力大型環状織機は50年以上前に製造され老朽化が進み、図面も交換部品もなく修理が困難な状態だった。

やったこと

京都市の海外事業支援を機に、大型環状織機を新設備に進化させて洋装生地として展開する取り組みを始めた。補助金の採択により改良費用の目途が立ち、機械製造元での改良が困難なため、設備に知見を持つ外部の機械整備士を探し出して共同で試行錯誤を重ね、製品を作れる段階まで進めた。織機の改良により、他社では不可能な立体的筒型くみひも生地の製織が可能になった。

加工機大型環状織機
加工機広巾織機

新しい製品・サービス:三軸組織(立体的筒型くみひも生地を含む、耐摩耗・防しわ・光沢などの特徴を持つ和装・洋装向け生地)

事業の効果

大型環状織機の改良により、他社では不可能な立体的筒型くみひも生地の製織が可能になり、和の伝統を生かした販路と売上の拡大につなげる狙いである。三軸組織は帯地やコート地、バッグ等の和装小物の生地として好評を得ており、すべての製品に綵巧ラベルを貼付して製品価値の向上とブランド化を進めている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業以来の西陣織・自社一貫製織の歴史と、大型環状織機の新設備化による三軸組織展開が一貫して述べられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    三軸組織は他社に真似できない強みとして示されるが、市場規模や競合の数値的な分析は書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    和装需要停滞や後継者不足という課題認識はあるが、高付加価値化に向けた具体的な数値目標は記載されていない。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    販路拡大や売上増が目標として触れられているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制4

    社内の担当者による経尺やメンテナンスの内製、外部機械整備士の探索など、体制と人材の確保が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    風合い、耐摩耗・防しわ・光沢などの特徴と、バッグやパスケース等の用途・海外ブランド採用が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    改良の経緯や試行錯誤の流れは書かれるが、スケジュールや中長期の課題解決の進め方は明示されていない。

  • 財務と資金の調達2

    補助事業採択により資金調達のめどが立ったとあるが、金融機関からの調達や財務状況の数値は書かれていない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    二本の経糸が斜め45度で交差する三軸組織は現存するのが2台のみとされ、他に類を見ない独自性が具体的に示されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    和装業界の衰退や職人高齢化が述べられるが、経済波及効果や雇用創出の数値などは書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額や付加価値増加の数値は書かれておらず、費用対効果はうかがえる程度にとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    大型環状織機の新設備化やサプライチェーン内の社内一貫生産は書かれるが、デジタル技術の活用は記載がない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    和装から洋装・海外展開への転換が示されるが、成長分野への構造転換という位置づけは明示されていない。

  • 地域経済への波及3

    京都の伝統技術を活かした織物で、京都市の海外事業支援も関わるが、地域経済への波及効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

30cm以上の広巾にも対応する新たな洋装生地の開発や、異業種での活用提案を積極的に行い、オンリーワンの確立をめざす。一方で業界全体では職人の高齢化による廃業が進んでおり、社内外の技術伝承の検討が大きな課題である。

  • 目標:改良前は生地巾30cmしか製織できず、洋装に対応するには広巾生地の製作が必要だった

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。