ものづくり補助金平成26年度製造業千葉県

非磁性・非金属車椅子部品の試作開発(空港、医療、一般向け)

株式会社ニッタクス

この事例のポイント

  • 金属製の車椅子は空港の金属探知ゲートを通過できず、利用者は手持ち式の金属探知機でのボディチェックを別途受ける必要がある。
  • 最新の4軸NCルータを導入し、従来は既存の古い設備と手仕上げで行っていた加工を機械化した。
  • 4軸NCルータの導入により、加工工程の工夫だけでは下げられなかった加工費を10~16%削減できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ニッタクス
所在地千葉県 東京都中央区
業種木材・木製品製造業
技術分野デザイン
従業員数133人
資本金9,000万円
設立1919年

事業の背景

金属製の車椅子は、空港の金属探知ゲートや医療用MRI検査室で利用者に大きな負担となっていた。医療用MRIは解像度向上のため3テスラ型以上の強い磁力を持つ装置の導入が進んでおり、画像への悪影響のない非金属の車椅子が求められていた。日本では平成25年に65歳以上の人口割合が25%を超え、2033年には33%(3人に1人)まで増加するとされ、在宅で車椅子を使う機会も増えると見込まれていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術金属製の車椅子は空港の金属探知ゲートを通過できず、利用者は手持ち式の金属探知機でのボディチェックを別途受ける必要がある。
  • 新製品・新技術磁性体の車椅子は医療用MRI検査室で強い磁力に吸い寄せられる危険があり、検査画像を乱すおそれもあるため、検査時に車椅子を検査室の外へ出す必要がある。
  • コスト・採算木製車椅子部品は複雑な形状と高い精度が求められ、いかにコストを抑えて市場に投入するかが争点となっていた。
  • 生産能力試作は既存の古い設備と手仕上げで行ったため、加工費が高くならざるを得なかった。

やったこと

最新の4軸NCルータを導入し、従来は既存の古い設備と手仕上げで行っていた加工を機械化した。あわせて、度重なる設計変更によりパーツと機構を簡素化し、部品コストの削減を図った。当社固有技術の「積層強化木」を活用し、低コストで高磁場域でも使用できる非磁性・非金属の車椅子部品の開発と製造技術の確立を図り、試作品を開発した。

加工機4軸NCルータ

新しい製品・サービス:低コストで高磁場域でも使用できる非磁性・非金属の積層強化木製車椅子部品(空港用・MRI用・一般向け)

事業の効果

4軸NCルータの導入により、加工工程の工夫だけでは下げられなかった加工費を10~16%削減できた。パーツと機構の簡素化により部品コストも下がり、多くのユーザーが手に入れやすくなった。空港用車椅子は2017年7月に国内航空会社へ初回納入され、2018年度までにおよそ250台を全国の空港へ配備する予定である。一般向け車椅子は北海道幕別町役場や福祉施設へ寄贈され、好評を得ている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性2

    木製車椅子部品の開発は経緯として書かれているが、既存事業との連続性や経営戦略上の位置付けは読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高齢化率25%超や2033年33%予測など市場動向に触れ、競争力向上を述べるが、自社の強み・弱みの具体記述は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    課題は金属探知や磁性体の問題として具体的に示され、4軸NCルータで加工費を10〜16%低減した点も書かれている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    加工費10〜16%低減や空港向け約250台配備予定など数字はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    空港の金属探知ゲート通過や医療用MRI室での課題など顧客ニーズを具体的に示し、空港や医療向けの用途が明確。

  • 事業化までの道筋2

    試作開発から2017年納入、2018年度までの配備予定など時系列はあるが、中長期の検証や遂行方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    金属を廃した木製車椅子で、金属・プラスチック製との差異を示し、高磁場対応という高付加価値化の方向が具体的に書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    空港配備やMRI利用者の負担軽減など利用者面の意義は述べられるが、波及効果や雇用創出の数字は書かれていない。

  • 費用対効果2

    加工費10〜16%低減と空港約250台の配備予定が示されるが、補助金額に対する費用対効果は記述がない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    木製車椅子が高齢化の進行に伴い需要が増えるとの見通しはあるが、日本経済の構造転換への言及は読み取れない。

  • 地域経済への波及3

    北海道幕別町の十勝工場や千葉の事業所など地域拠点に触れるが、地域特性を活かした経済成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

空港施設用車椅子は、国内のみならず世界的な高齢化により必要性が高まっており、課題の解決によって国内外で競争力を得て、ターゲットとする販路でシェア獲得を加速できる見込みである。MRI用については、MRIを保有する医療機関、MRIメーカー、MRI販売会社に導入を推奨していく。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでも日本製の木製車椅子が活躍すると想定される。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。