ものづくり補助金平成26年度製造業東京都

5軸ロボットアームと3DCAMを活用した報道番組対応の短納期・高品質な造形物製作

有限会社ケンシアート

この事例のポイント

  • 報道番組のジオラマは当日夜など短い納期が求められることが度々あるが、従来の設備では対応しきれなかった。
  • Master CAMを㈱ゼネティック社から導入し、切削や完成版のイメージを確認しながら作業できるようにした。
  • Master CAMと5軸ロボットアームの導入により、切削・完成版のイメージを確認しながら作業でき、作業効率が格段に向上した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社ケンシアート
所在地東京都 東京都渋谷区
業種その他の製造業
技術分野デザイン,立体造形
従業員数21人
資本金1,800万円
設立1979年

事業の背景

当社は昭和54年に設立され、テレビ美術制作やミニチュア・ジオラマの造形、3Dプリントサービスなどを展開している。主要顧客はテレビ局で、ニュース番組で災害や事故を説明するジオラマの製作を多く手掛けている。テレビ局からは当日夜のニュースに間に合わせたいなど短納期での依頼が度々あり、正確性とデザイン性に加えて納品までのスピードが求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程報道番組のジオラマは当日夜など短い納期が求められることが度々あるが、従来の設備では対応しきれなかった。
  • 生産能力材料を一度にセッティングして切削することが難しく、いくつかのパーツに分割する必要があり、時間のロスが生じていた。
  • 新製品・新技術材料は発泡スチロールに限られ、ほかの材料での提案もできなかった。
  • 人手・技能切削刃の付け替えや、二方向からの切削のための材料の裏返しと位置合わせが手作業で、制作時間と人件費に影響していた。
  • 人手・技能CAMデータは詳細な数値定義が基になるため熟練の技術が必要で、人為的ミスから切削失敗や刃の作業台への衝突による割れが起きていた。
  • 品質・精度3軸マシンは一方向からしか切削できず、画像イメージ通りの切削ができない場合があった。

やったこと

Master CAMを㈱ゼネティック社から導入し、切削や完成版のイメージを確認しながら作業できるようにした。切削時のシミュレーションにより、切削方法を直感的に導き出せるようにし、自動検知機能で刃が作業台に当たるなどの人為的ミスを防止できるようにした。KUKA社製の5軸ロボットアームを導入し、アーム先端のヘッド部分が360度回転して自在に動くため、データ上の形状を精密に再現できるようにした。5軸ロボットアームにより、パーツの分割数を大幅に減らし、材料のセッティングの手間を軽減した。さらに、既存の3D地形データとデザインされた地形データを組み合わせ、オリジナルのジオラマ土台を制作できるようにした。

ソフトMaster CAM
ロボットKUKA製5軸ロボットアーム

事業の効果

Master CAMと5軸ロボットアームの導入により、切削・完成版のイメージを確認しながら作業でき、作業効率が格段に向上した。制作時間は製作物にもよるが平均3割以上削減でき、パーツの分割数と切削時間も大幅に減少した。人為的ミスがなくなり、作業者はオペレーション室での作業が可能になって労務上の安全性も向上した。硬質な素材でも切削できるようになり、デザインの幅とオリジナルのジオラマの提案の幅も広がった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    テレビ美術制作・ジオラマ造形を主力とし、ニュース番組向け造形に長年取り組んできたことは読み取れるが、経営戦略上の位置づけは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    テレビ局からの短納期依頼が度々発生する外部環境と、3DCG・デジタル技術を業界でいち早く取り入れた強みが具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    短納期対応の従来設備の限界を課題として認識し、CAMと5軸ロボットアームで制作時間を平均3割以上削減するとしている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    制作時間を平均3割以上削減できたと成果の数字があり、付加価値向上や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    切削から組立、表面加工、塗装まで一貫して行える体制を整えていると書かれているが、人材や事務処理能力の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    テレビ局という顧客ターゲットと、正確性・デザイン性・納期スピードが求められるというニーズが具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    既存3軸機との併用やオリジナル造形、新素材への展開など今後の方向性は示されているが、スケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    造形美術は従来アナログ作業が中心だったとあり、デジタル活用は業界で先進的とうかがえるが、普及度の数値は書かれていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    ニュース番組での災害説明に使われるジオラマを手掛けるとあるが、経済波及や雇用創出への国の関与は書かれていない。

  • 費用対効果3

    制作時間の平均3割以上削減や人為的ミス削減など効果は示されているが、補助金投入額との費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    CAMと5軸ロボットアームのデジタル技術を活用し、テレビ美術の作業をデジタル化した点は読み取れるが、業界全体への波及は薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    東京都渋谷区の企業であり地域の特性との関連は書かれていないが、従業員21人の事業所で地域性はうかがえない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

既存の3軸マシンを併用し、形状の単純なパーツを3軸、複雑なパーツを5軸ロボットアームで分担することで、作業効率の一層の向上が期待できる。今後はテレビ局に短納期で対応するだけでなく、オリジナルとデザインを組み合わせたサービスや全くのオリジナルの提供を進める考えである。新しい素材やより複雑な形状での提案も行い、芸術家に対しても提案の幅を広げていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。