ものづくり補助金平成26年度製造業東京都

3Dスキャナー計測によるオーダーメイド靴製作システムの開発

ダイナス製靴株式会社

成果足の計測時間 15秒→15秒

この事例のポイント

  • 高齢化に伴い、実店舗まで足を運ぶことが困難なリピーターが増えており、遠隔地でも正確に足型を測定できる機械の導入が必要になっていた。
  • 3Dスキャナーで足の形状を計測し、スキャンデータを遠隔地のNC加工機に伝送できるシステムを導入した。
  • 足の計測時間 15秒→15秒。3D計測器により、遠隔地でも約3万箇所の足の部位を約15秒で計測できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名ダイナス製靴株式会社
所在地東京都 東京都北区
業種なめし革・同製品・毛皮製造業
技術分野立体造形
従業員数57人
資本金1,000万円
設立1966年

事業の背景

当社は昭和59年から外反母趾用の婦人靴を製造販売しており、オーダーメイド靴はユーザーの多くが中年女性である。価格は30万円程度で、年間で約100足の注文がある。商圏の拡大のため、遠隔地で計測した3Dデータを基に靴を製造できる仕組みが求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑高齢化に伴い、実店舗まで足を運ぶことが困難なリピーターが増えており、遠隔地でも正確に足型を測定できる機械の導入が必要になっていた。
  • 人手・技能靴製造技術者の高齢化が進み、若手技術者の技術育成と技術伝承が課題となっていた。
  • 生産能力オーダーメイド靴は足の計測に約15分の手作業が必要で、完成までに約60日を要していた。

やったこと

3Dスキャナーで足の形状を計測し、スキャンデータを遠隔地のNC加工機に伝送できるシステムを導入した。3D計測器とCADデータから立体形状を作成するNC加工機を導入し、木型製作手法を数値データに置き換えるデータベースを構築した。当社独自の寸法補正技術「コロシ」を加味した木型データを作成し、既存木型約4,000個のうち顧客の希望デザインに近いものを選定して足型データと照合し、実際の足に合わせた木型を作成する。作成したデータをNC加工機に送信し、木型を手で削らずに機械で削り出す。

検査測定3D計測器
加工機NC加工機
ソフトCADデータから立体形状を作成するシステム

新しい製品・サービス:遠隔地の顧客にも対面計測と同等の履き心地を提供するオーダーメイド靴製作システム

事業の効果

  • 足の計測時間 15秒→15秒
  • 製品化までの期間 60日→30日

3D計測器により、遠隔地でも約3万箇所の足の部位を約15秒で計測できるようになった。木型も約1時間で完成するため、製品化までの期間が約半分に短縮された。熟練の技に頼っていたノウハウをデータ化して機械に置き換えたことで、若手技術者でも精度の高い木型を作ることが可能となった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    昭和59年からの外反母趾用靴販売と木型付きオーダーメイド靴事業を継続し、コロシ技術やデータ化を経営の柱として位置づけている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    木型4,000個の保有、年間100足の注文、コロシという独自補正技術など強みが具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    遠隔地の顧客は高齢化で来店困難という課題を認識し、3D計測で商圏を広げる具体策を示している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    計測15分→15秒、製品化60日→30日など改善は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    若手技術者の育成と技術伝承を全社的取組として進めるとあるが、体制の人数や事務処理面の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ターゲットは中年女性、価格30万円程度、遠隔地顧客の需要など、顧客と価値が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    中東視察や百貨店・老人ホームでの展開、全国店舗での発注システム構想など方向性はあるが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    外反母趾用の靴から始め、木型付フルオーダー靴を高価格帯(約30万円)で展開する高付加価値化が読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    既成靴を履けない人への対応や技術伝承の観点は見られるが、国が補助する波及効果の記述は乏しい。

  • 費用対効果2

    計測時間や製品化期間の短縮は示されるが、補助金投入額に対する効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    3D計測器とNC加工機を組み合わせ、遠隔計測から木型加工までをデータ連携する新たなビジネスモデルを構築している。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    遠隔計測による新たな事業モデルは見られるが、日本経済の構造転換への言及は読み取れない。

  • 地域経済への波及2

    東京都北区の靴製造事業者である点はうかがえるが、地域特性を活かした雇用や成長の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

遠隔地の顧客対応が可能になったことから、海外市場を視野に入れ、中東などの市場視察にも出向いている。今後は注文の門戸を広げ、年間100足程度の注文数を増やしたいと考えている。デパートや老人ホームでの展開や、全国の実店舗で発注できるシステムを目指して営業提携を進めている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。