ものづくり補助金平成26年度製造業東京都

国内回帰する生産需要に対応する新技術を保持した「都市型工場」の構築

株式会社ジンナイ

成果重量 100%→85%

この事例のポイント

  • 海外生産地での資材費と人件費の高騰で原価が上昇し続け、販売価格に転嫁しきれず利益率が悪化している。
  • 東京本社に無縫製加工用の設備を導入し、小ロット生産に対応できる都市型工場を構築した。
  • 重量 100%→85%。無縫製加工により生地に穴を空けずに済むため防水性が高まり、水漏れや破損を防げるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ジンナイ
所在地東京都 一関市
業種繊維工業
技術分野デザイン,立体造形
従業員数18人
資本金1,000万円
設立1952年

事業の背景

前代表が昭和27年に雨衣・雨帽子の製造販売を始めた会社で、官公庁や民間企業向けにレインウェアや防寒服、防護服などの特殊用途ユニフォームを製造販売している。備蓄製品は過去20年で海外生産の比率を高めてきたが、中国を中心に資材費と人件費が高騰し、原価が上がり続けている。在庫するような大ロット品はアジア諸国へ移せるものの、オリジナル別注品やOEMの中ロット高機能製品は代替地が見つからず、中国では1,000セットから契約できるものが東南アジアでは3,000セットへ増えることも珍しくない。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算海外生産地での資材費と人件費の高騰で原価が上昇し続け、販売価格に転嫁しきれず利益率が悪化している。
  • 生産能力300〜1,000着程度の中ロットの高機能製品は海外シフトが困難で、一関工場がキャパシティを超えている。
  • 人手・技能アパレル業界の海外シフトで国内の熟練工が少なく、製造能力が低下している。
  • 販路・情報発信顧客の多品種・少量のタイムリーな供給要求に、東京側で応える生産拠点がなかった。

やったこと

東京本社に無縫製加工用の設備を導入し、小ロット生産に対応できる都市型工場を構築した。導入したのは、超音波溶着機、プレス式ホット&クーラー、高周波溶着機、連続式ホット&クール機、引張試験機の5点である。超音波溶着機は超音波振動で生地の境界面に摩擦熱を発生させて溶かし、分子間を結合させる。プレス式ホット&クーラーは接合部を加熱と冷却で補強する。高周波溶着機は曲線部や止水ファスナーを溶着し、連続式ホット&クール機は接合部を補強するテープの溶着や端部処理を行う。引張試験機で溶着した接合部の強度を試験する。一関工場は中ロットのみに集約した。

加工機超音波溶着機
加工機プレス式ホット&クーラー
加工機高周波溶着機
加工機連続式ホット&クール機
検査測定引張試験機

新しい製品・サービス:無縫製加工の技術を使い、既成レインウェアへのポケットや反射材の後加工と、ユニフォームの新たな加工を行う。

事業の効果

  • 重量 100%→85%

無縫製加工により生地に穴を空けずに済むため防水性が高まり、水漏れや破損を防げるようになった。糸を使わないことで製品によっては軽量化でき、機能性の向上が期待できる。東京本社で小ロットの一部を生産できるようになり、顧客の要望に近い場所で試作しながら、デザインを決められるようになった。海外量産の試作を東京で行うことでリードタイムの短縮も見込める。引き合いも増えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    海外生産比率を高めた経緯と、中ロット高機能品を東京で無縫製加工する方針が過去の取組と連続し、都市型工場として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    無縫製加工は水着や下着で普及済みだがユニフォーム分野では前例がなく、防水性や15%の軽量化という自社の強みを示している。

  • 課題の認識と解決4

    海外での原価上昇と利益率悪化、一関工場のキャパシティ超過という課題を認識し、東京で小ロット生産を行う具体策を示している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額の増加率や賃上げの目標値は示されておらず、わずかに収益改善をうかがわせるにとどまる。

  • 事業を進める体制3

    新たに2名を採用し、設備の調整やデータ蓄積を進める体制は読み取れるが、事務処理能力などの具体性は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高機能・中ロット製品の需要、東京での試作によるリードタイム短縮、業界初の無縫製加工という選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作を続けフル稼働を目指すとの方針はあるが、中長期のスケジュールや課題解決の具体的方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    ユニフォーム分野で無縫製加工は前例がなく、東京で中ロット高機能製品を高付加価値化する点が事例中に明示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    国内の産業空洞化や熟練工の減少への言及はあるが、雇用創出や波及効果の定量的な根拠は示されていない。

  • 費用対効果2

    設備導入の費用に対する付加価値増加額や生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果はうかがえるにとどまる。

  • イノベーションへの貢献4

    超音波・高周波溶着による無縫製加工という新技術を用い、業界初の試みとして業界のイノベーションに貢献する姿が書かれている。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    国内回帰と都市型工場による高付加価値生産は構造転換に通じるが、市場成長分野への進出という明示はない。

  • 地域経済への波及3

    一関市の工場と東京本社を連携させる地域特性の活用はうかがえるが、地域の雇用や成長への効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

フル稼働を目指して試作を繰り返し、溶着条件のデータと経験を積んでいく。業界初の無縫製加工の試みとして、2020年東京オリンピック・パラリンピック向けの商品開発の依頼にも応えていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。