ものづくり補助金平成26年度製造業東京都

太鼓用バチ製造機の自動化による製造効率の向上

株式会社宮本卯之助商店

成果従来は1本の樫バチの製造に2分40秒程度を要していたが、55〜60秒に短縮した。

この事例のポイント

  • 職人の高齢化や後継者不足が進み、技術をどのように継承するかが大きな課題となっている。
  • 太鼓用バチの製造について、板材の切断、切削、仕上げの工程を自動化する設備を導入した。
  • 従来は1本の樫バチの製造に2分40秒程度を要していたが、55〜60秒に短縮した。1本あたりの製造時間が約2分40秒から55〜60秒へと大幅に短縮され、製造効率は2倍以上に向上した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社宮本卯之助商店
所在地東京都 東京都台東区
業種その他の製造業
技術分野立体造形
従業員数48人
資本金9,600万円
設立1861年

事業の背景

当社は神輿、太鼓、山車、獅子舞用品などの伝統工芸品の製造・販売や修理・復元を手がけ、文久元年の創業以来浅草を拠点としている。取引先は宮内庁、全国の神社・仏閣、歌舞伎座、国立能楽堂、各地の町会や学校、太鼓演奏団体など多岐にわたる。伝統工芸の業界では職人の高齢化や後継者不足が経営上の大きな問題となっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能職人の高齢化や後継者不足が進み、技術をどのように継承するかが大きな課題となっている。
  • 人手・技能伝統工芸品は手作業が中心で数値データや図面もほとんどなく、職人の勘と経験に依存したものづくりになっている。
  • 品質・精度美術品としての優美さや高品位性と、実用品としての堅牢性、低価格、短納期という相反する要求を同時に満たす必要がある。
  • 生産能力従来は板材の切断や削りの一部のみが機械化されており、材料投入後の中間品の取り出し、次工程への移動、仕上げ、治具の交換、刃物の調達などの大半が職人の手作業だった。

やったこと

太鼓用バチの製造について、板材の切断、切削、仕上げの工程を自動化する設備を導入した。導入したのは自動丸棒外周加工機、丸棒自動搬送・自動投入機、自動丸棒切断・両端面取機である。角棒を数本セットすると、外周加工機に一本ずつ自動投入され、軸で固定されたうえでプログラムに従いサンダー(刃物)で切削される。その後、2連サンダーで仕上げ加工を行い、自動丸棒切断・両端面取機で両端を切断して面取りし、自動排出される。需要の多い樫とヒノキで試作を行い、設備メーカーのアドバイスを受けながら最適な刃物と切削スピードを探ってプログラミングした。

加工機自動丸棒外周加工機
加工機丸棒自動搬送・自動投入機
加工機自動丸棒切断・両端面取機

事業の効果

  • 従来は1本の樫バチの製造に2分40秒程度を要していたが、55〜60秒に短縮した。
  • 人件費 100%(従来比)→67%(従来比)
  • 納期 100%(従来比)→67%(従来比)

1本あたりの製造時間が約2分40秒から55〜60秒へと大幅に短縮され、製造効率は2倍以上に向上した。作業者は機械に常駐する必要がなくなり、他の業務と並行して作業できるようになった。製品品質も均一化でき、熟練工の仕上げ作業による製品と遜色ない品質のバチを生産できるようになった。人件費と納期はいずれも従来比33%改善した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    伝統工芸の製造・販売・修理を文久元年創業以来続けており、自動化を「自動化の第一歩」と位置づける記述はあるが、経営戦略上の位置づけの詳細は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    顧客は実用品としての堅牢性や低価格、短納期を求めるとあり、自動化で大量生産化・低コスト化し販売エリアを広げたと具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    課題は職人の高齢化と後継者不足、手作業依存と明記され、製造時間2分40秒を55〜60秒に短縮、人件費33%削減、納期33%短縮と数字で示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    製造効率2倍以上、人件費33%削減、納期33%短縮という目標相当の数値が事例として示されており、実績ベースで実現性が読み取れる。

  • 事業を進める体制2

    メーカーのアドバイスを受けながらプログラミングしたとあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客は地方の太鼓演奏チームや世界の太鼓愛好者、教育分野まで広がり、品質の均一化と大量生産化で選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    樫とヒノキで試作し、ホオノキやメープルへの展開、サイズ拡大を今後の計画として書いており、段階的な計画は読み取れるが詳細なスケジュールはない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    伝統工芸の太鼓用バチを、職人の勘に頼る手作業から自動化設備で製造し、従来品と遜色ない品質を実現した点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    職人の高齢化や後継者不足といった社会課題に触れているが、川上川下への波及や雇用創出など国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果4

    自動化設備導入で製造時間短縮、人件費33%削減、納期33%短縮と効果が数値で示されており、費用対効果の根拠が読み取れる。

  • イノベーションへの貢献3

    自動搬送や自動切削などデジタル化・自動化に取り組み、製造データを蓄積して他の材種へ展開する点は読み取れるが、業界全体への貢献までは書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    自動化による製造効率向上と海外市場展開の記述はあるが、日本経済の構造転換に資する分野への進出とまでは読み取れない。

  • 地域経済への波及3

    浅草を拠点とする伝統工芸の製造を続けていることは書かれているが、地域の雇用や経済成長への波及効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自動切削による品質の均一化、大量生産化、低コスト化により顧客の利便性が向上し、地方の太鼓演奏チームのみならず世界各国の太鼓愛好者にも販売エリアを広げた。今後はネット販売の拡充やホームページの充実を図り、小中学校などの教育分野への販路拡大を進める。海外市場への展開にも力を注ぐ計画である。また、ホオノキやメープルなど樫以外の材種に取り組み、サイズのバリエーションも増やす予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。