ものづくり補助金平成27年度製造業福井県

3次元マシニング機を導入し、人工骨の一貫生産技術を獲得する

株式会社清水工業所

この事例のポイント

  • 人工骨の穴開け工程は単品ごとの手作業や熟練工の技術に頼っており、高難度・多品種の加工に対応するため、高精度な穴開け加工技術の確立が課題となっていた。
  • CAD・CAMソフトを導入し、2次元の加工製図を3次元の加工に対応できるようデータ化するとともに、社内や顧客との図面データの共有・互換性を確立した。
  • 熟練工の感覚に頼っていたアナログな技術をデジタル化し、短時間にノンストップで高精度な連続加工が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社清水工業所
所在地福井県 鯖江市
業種その他の製造業
技術分野精密加工
従業員数20人
資本金1,000万円
設立1972年

事業の背景

清水工業所は眼鏡部品の製造を通じて高精度のチタン加工技術を培い、医療器具の製造など眼鏡以外の分野にも応用してきた。医療用人工骨の製造では、高価で加工の難しいチタン合金を高精度かつ素材を無駄なく加工する「板抜き」や「冷間鍛造(プレス)」の技術を世界で初めて開発した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力人工骨の穴開け工程は単品ごとの手作業や熟練工の技術に頼っており、高難度・多品種の加工に対応するため、高精度な穴開け加工技術の確立が課題となっていた。
  • 人手・技能熟練工の技能に依存しており、若年工への技術継承が難しかった。

やったこと

CAD・CAMソフトを導入し、2次元の加工製図を3次元の加工に対応できるようデータ化するとともに、社内や顧客との図面データの共有・互換性を確立した。生産では3次元加工CNCマシニング機を導入し、複数工程にわたっていた製図から加工までを単一工程化した。これにより高精度で複雑な加工を施した人工骨を一貫生産できる体制が整い、量産化が可能となった。

  • 加工機3次元加工CNCマシニング機3次元マシニング機
  • ソフトCADソフトCAMソフト

新しい製品・サービス:チタン合金製の人工骨(足の人工骨。今後は手など他部位への展開を視野)

事業の効果

熟練工の感覚に頼っていたアナログな技術をデジタル化し、短時間にノンストップで高精度な連続加工が可能になった。これにより人工骨の一貫生産と量産化の道が開け、若手社員への技術継承にもつながった。切削加工を内製化でき、主力の眼鏡部品にも応用したことで、自社製品全体のコスト面での競争力が高まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決穴開け工程が手作業や熟練工頼みだった課題を認識し、3次元CNCマシニング機で単一工程化して量産化につなげたことが具体的に書かれている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け人工骨の高精度な一貫生産と量産化、他社と差別化できる加工精度が顧客の満足につながる点が具体的に述べられている。
  • 4
    新しさ・高付加価値高価で加工の難しいチタン合金の板抜き・冷間鍛造技術を世界で初めて開発し、高水準の高付加価値化を図ることが読み取れる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標量産化や需要増への期待は書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値、その実現可能性を示す数字は見当たらない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    眼鏡部品製造で培ったチタン加工技術を医療器具へ発展させてきたことが書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明確に述べられていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高精度なチタン加工を世界で初めて開発したとあり強みは読み取れるが、市場動向との関係や競争優位の根拠となる数値は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    穴開け工程が手作業や熟練工頼みだった課題を認識し、3次元CNCマシニング機で単一工程化して量産化につなげたことが具体的に書かれている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    量産化や需要増への期待は書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値、その実現可能性を示す数字は見当たらない。

  • 事業を進める体制3

    創業50年で従業員20人、若手への技術継承に取り組むとあるが、補助事業を遂行する体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    人工骨の高精度な一貫生産と量産化、他社と差別化できる加工精度が顧客の満足につながる点が具体的に述べられている。

  • 事業化までの道筋3

    手など他部位の製造や航空機分野への展開を目指すとあるが、遂行スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    高価で加工の難しいチタン合金の板抜き・冷間鍛造技術を世界で初めて開発し、高水準の高付加価値化を図ることが読み取れる。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    高齢化に伴う人工骨の需要増が期待されると書かれるのみで、経済波及や雇用創出の具体的な効果は示されていない。

  • 費用対効果2

    外注加工の内製化で自社製品のコスト競争力が高まったとあるが、補助金額に対する付加価値増加や生産性の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    CAD・CAMによるデータ化と社内外の図面データ共有は述べられるが、地域やサプライチェーン全体への貢献は示されていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    医療機器や航空産業など成長分野への進出を視野に入れるとあり、構造転換への寄与はうかがえるが具体性は薄い。

  • 地域経済への波及3

    鯖江の眼鏡製造で培った技術を活かして医療器具を製造する地域特性が読み取れるが、雇用や地域成長の数値は書かれていない。

今後の展望

現在製造している足の人工骨に加え、手など他部位の製造も視野に入れ、さらに航空機などの分野でも独自のチタン加工技術の活用を目指す。高齢化とともに人工骨の需要増も期待される。

事業者の声

今年で創業50年。眼鏡部品一筋で、時代の変化に絶えずついて歩んでこれたからだと自負しています。社訓は「先義後利」。利益よりも「お客様の満足を第一に」の姿勢が基本です。他社と差別化できる高精度な加工で、製品作りに努めてきました。その眼鏡部品製造で磨いたチタンの加工技術を、今後は医療機器や航空産業など、多様な分野で活用していくことを視野に入れ、働く若い人たちがモノづくりに夢を持てる会社であり続けたいと思っています。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。