ものづくり補助金平成26年度製造業富山県

高性能機種導入で多層積層化製法を確立富山県産米粉・麹を用いた和洋菓子開発

有限会社引網香月堂

この事例のポイント

  • 米粉は小麦粉と異なりグルテンを持たないため、製品の形状が崩れ食感が損なわれる場合がある。
  • 平成28年2月に最新上位機種のスチームラックオーブンとデポジッター(絞り機)を導入し、再び開発に挑んだ。
  • 過熱水蒸気による多層積層化製法を確立し、経験の少ない従業員でも操作・製造できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社引網香月堂
所在地富山県 高岡市
業種食料品製造業
技術分野デザイン,製造環境
従業員数12人
資本金300万円
設立1919年

事業の背景

大正8年に初代店主が伏木港で和菓子店を創業し、昭和初期に現在の店名を定めた。現店主の4代目は、和菓子と洋菓子の境界線に疑問を持ち、新作の創作焼菓子を構想した。近年は和菓子の法事や冠婚葬祭、贈答品としての需要が減り、高齢化・少子化により従来の消費スタイルが変化している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度米粉は小麦粉と異なりグルテンを持たないため、製品の形状が崩れ食感が損なわれる場合がある。
  • 生産能力従来のオーブンは加圧蒸気の設定幅が狭く、最大量も小さい。
  • 人手・技能焼成は熟練した職人の勘が必要とされ、経験の少ない従業員には難しい。
  • 新製品・新技術乳化剤や添加物を使わず、バームクーヘンのように多層積層化して焼成する製法が確立できていない。

やったこと

平成28年2月に最新上位機種のスチームラックオーブンとデポジッター(絞り機)を導入し、再び開発に挑んだ。スチームラックオーブンは水蒸気の量や加圧時間、設定温度を細かくコントロールして焼成できる。デポジッターは数十秒で生地を薄く重ね、熟練の職人でも難しかった短時間の作業を可能にした。これにより米粉を使った多層積層化製法を確立し、平成29年3月に商品化した。

加工機スチームラックオーブン
加工機デポジッター(絞り機)

新しい製品・サービス:富山県産米粉・麹菌を用いた新和・洋菓子「よごと」(多層積層化製法による棹状商品)

事業の効果

過熱水蒸気による多層積層化製法を確立し、経験の少ない従業員でも操作・製造できるようになった。機械にプログラミングするだけで焼成が可能になり、従業員の勤務時間短縮と人手不足の解消に貢献する。導入設備により既存商品の品質向上・改良にもつながり、新商品開発の可能性も広がった。一般的に売れにくいとされる棹状の商品も予想以上に売上を伸ばしている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業大正8年の和菓子店が和洋菓子の開発を続けてきたことや、4代目が洋菓子修業を経て和菓子文化を発信している経緯が書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    米粉・麹など富山県産素材を使う独自性は読み取れるが、市場動向や競争上の強み・弱みの分析は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    熟練職人への依存と人手不足という課題、設備導入による従業員の勤務時間短縮が書かれているが、数値目標や収益の見通しは示されていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    販売が予想以上に伸びたとあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性を判断する数値は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    4代目の経歴や従業員12人の体制、富山信用金庫の助言を受けた点は書かれているが、補助事業の遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    米粉を使った多層積層化製法で棹状商品の売上が予想以上に伸びたなど、製品の特徴と売れた実績が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    一度開発を止めた後、設備を導入して再挑戦した経緯は書かれているが、中長期のスケジュールや課題解決の方法は明確ではない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    米粉と過熱水蒸気による多層積層化製法は一般的でなく、棹状の商品を売上に結びつけた点が高付加価値化として具体的に書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    地域食材の活用や富山市での新店舗開店は書かれているが、国が補助する波及効果や雇用創出の規模は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額と付加価値増加・生産性向上の関係を示す数値は書かれておらず、費用対効果はうかがえる程度にとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    スチームオーブンやデポジッターの導入は書かれているが、デジタル技術や地域サプライチェーンへの貢献が具体的に示されていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    富山県産米粉や麹を使い、富山の和菓子の新たな魅力を発信する店舗を開くなど、地域の特性を活かした事業であることが具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

平成31年に創業100年を迎える。平成29年11月中旬には3店舗目となる新店舗を富山市古沢地区に開店し、「富山の和菓子」の面白さや新たな一面を発見・伝える場として新しい店舗コンセプトを持たせる。

事業者の声

「長崎にカステラが伝来したように、開国前にバームクーヘンが富山の港に伝わっていたら…。」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。