ものづくり補助金平成24年度京都府

点字鋲生産精度の向上と中国製商品流入に伴う機会損失の回避

日本ハートビル工業株式会社

成果生産体制(旋盤台数) 2台→3台

この事例のポイント

  • 主力設備の旋盤2台は老朽化で故障が頻発し、修理に1か月かかることもあったため、常時2台のうち1台しか運用できず、生産量が不足して顧客の注文に十分応えられなかった。
  • 新たにCNC旋盤とバーフィーダーを導入し、生産体制を既存の2台から3台に増強した。
  • 生産体制(旋盤台数) 2台→3台。設備の故障や停止がなくなり生産計画が機能して、適切な商品在庫量を保てるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名日本ハートビル工業株式会社
所在地京都府 京都府久世郡久御山町
業種金属製品製造業
技術分野金型
従業員数8人
資本金1.5億円
設立1992年

事業の背景

弊社は視覚障碍者向けの点字サイン・点字鋲を開発・製造する福祉専門メーカーで、2006年のバリアフリー新法施行に伴い業績は順調だった。しかしリーマンショック後に建築業界が長く不況となり、業績は下降傾向に転じた。競合メーカーとの価格競争も激しく、建築業界が回復しても業績は十分に戻らなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力主力設備の旋盤2台は老朽化で故障が頻発し、修理に1か月かかることもあったため、常時2台のうち1台しか運用できず、生産量が不足して顧客の注文に十分応えられなかった。
  • 品質・精度2台のうち1台は経年劣化で部品にずれが生じて切削精度が低下し、点字鋲の表面中心が削れ残る「へそ」が発生していた。国産の高品質という強みを保つため、精度低下は競争力の低下につながると予想された。

やったこと

新たにCNC旋盤とバーフィーダーを導入し、生産体制を既存の2台から3台に増強した。ステンレス部と脚部が一体の点字鋲は加工精度が高いため新しい旋盤で加工し、ステンレス部と色付き樹脂被膜のビスを組み合わせたものは表面加工部が見えないため既存の旋盤で加工して、既存設備と併用する運用とした。新旋盤の自動プログラミング機能により、顧客の要望で変わる脚の長さなど負担の大きい仕様変更にも柔軟に対応できるようにした。バーフィーダーは材料として使う約3mの丸鋼を自動で旋盤に供給し、作業の自動化を図った。

加工機CNC旋盤
加工機バーフィーダー

事業の効果

  • 生産体制(旋盤台数) 2台→3台
  • 生産性 1倍→2倍
  • 売上 1倍→2倍

設備の故障や停止がなくなり生産計画が機能して、適切な商品在庫量を保てるようになった。表面加工精度が上がって廃棄する品質の製品がなくなり、歩留まりが改善して残業時間も減り、コストが下がった。その結果、短納期対応力や価格競争力などの顧客対応力が向上した。売上は導入時と比べ2倍ほどに伸び、従業員のモチベーションも上がった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    1997年の工場建設以来の旋盤2台体制や点字鋲事業の経緯が書かれ、既存事業との連続性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    中国製流入への対抗として国産・高品質を強みと位置づけ、顧客からの評価や材料の国産化に言及している。

  • 課題の認識と解決5

    生産性と品質の課題を整理し、旋盤を2台から3台に増強、生産性約2倍、売上2倍ほど向上と具体的な数字で成果が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産性約2倍、売上導入時比2倍ほどの成果が示されており、付加価値向上の目標と実績の関係が読み取れる。

  • 事業を進める体制3

    生産体制や従業員の負担、営業員育成への言及はあるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の具体的記載は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    即日納入の要望、短納期対応や品質面の優位性、バリエーションの多さなど顧客ニーズと選ばれる理由が書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    既存旋盤との融合や自動プログラミングなど課題解決の方法は書かれるが、スケジュールや中長期の検証には触れていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    点字鋲は切削製として鋳造製より質感や強度で優れると説明され、同分野での品質の高さがうかがえる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    バリアフリー新法に伴う公共建築物での需要や福祉関連の意義が書かれるが、波及効果や雇用創出への言及は少ない。

  • 費用対効果3

    歩留まり改善や残業減少などコス低減の記載はあるが、補助金額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    自動プログラミング機能やバーフィーダーによる自動化に触れるが、サプライチェーンへの貢献や新ビジネスモデルは書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    京都府久御山町の所在地と国産にこだわる姿勢はあるが、地域の特性を活かした経済成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

建築業界はアベノミクスの影響で活気づいてきており、今後は人材育成と商品開発を進めて事業を発展させたいと考えている。人材育成では営業員を重点的に育て、蓄積してきたノウハウをもとに幅広い提案ができるようにする。商品開発では、現在の視覚障碍者向け商品に加えて、耳や脚の不自由な方に向けた商品の開発を目指している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。