ものづくり補助金平成24年度京都府

FA機器の高性能小型化に伴う小型機での独自の加熱冷却成形法の開発

株式会社野間製作所

成果肉厚成形品の対応範囲 3mm→10mm

この事例のポイント

  • FA機器の試作開発立ち上げに伴い、多品種の小物肉厚部品の構成が増している。
  • 従来の大型設備に代えて小型成形機を導入し、中・大型機で実績のある独自の加熱冷却成形方法を小型機で確立することに取り組んだ。
  • 肉厚成形品の対応範囲 3mm→10mm。装置を小型化したことで、熱履歴時間が短縮され、熱劣化や加水分解による物性低下を防げるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社野間製作所
所在地京都府 久御山町
業種プラスチック製品製造業
技術分野塗装
従業員数108人
資本金3億円
設立1987年

事業の背景

当社は設立以来プラスチック射出成形を手がけ、小物成形品は肉厚2〜3mmまでの製品が中心だった。近年は光学レンズなど厚さ10mm以上の肉厚成形品の需要が高まっていた。耐熱性・耐溶剤性などに対応するPPSやPSUなどの超エンプラ原料を使う製品の成形や小ロット化も強く求められるようになっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術FA機器の試作開発立ち上げに伴い、多品種の小物肉厚部品の構成が増している。
  • 生産能力取引先から開発設計部品の精度向上や品質向上の要求が徐々に高まっている。
  • 品質・精度厚さ10mm以上の肉厚成形品は一定の品質を保つのが難しく、受注を見送っていた。
  • コスト・採算大型の加熱冷却成形には大がかりな投資が必要で、投資コスト負担や効率性の面から従来設備の導入は困難だった。

やったこと

従来の大型設備に代えて小型成形機を導入し、中・大型機で実績のある独自の加熱冷却成形方法を小型機で確立することに取り組んだ。加熱にはヒーター、冷却にはエアを使う方式を採用し、温度を溶融・固化温度の上下20℃程度に抑えるよう制御した。加熱や冷却の効果が出るまでに遅れがあるため、時間的なコントロールも重要であることがわかり、ノウハウとして蓄積した。超エンプラ原料ごとに適正な加工条件を見極める技術を確立した。汎用機を組み合わせた設備に温度コントロールなどの独自ノウハウを付加し、小型成形機を開発した。

加工機小型成形機(加熱冷却成形装置)

新しい製品・サービス:ガラス材で製作していた光学レンズを、加熱冷却による樹脂成形で製作する高付加価値製品。

事業の効果

  • 肉厚成形品の対応範囲 3mm→10mm

装置を小型化したことで、熱履歴時間が短縮され、熱劣化や加水分解による物性低下を防げるようになった。金型の冷却回路の工夫や部品の厚さに合わせた調整技術により、顧客の高度な要望に応えられるようになった。超エンプラ製品の成形技術を確立し、品質向上と短納期化を達成した。開発したノウハウを生かし、周辺製品のセット受注にも好影響が出ている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来は肉厚2〜3mm中心だった小物成形から、肉厚10mm以上の光学レンズ等へ広げる方針が読み取れるが、将来の位置づけは具体的でない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    100℃超の蒸気と20〜40℃の冷水を使う一般方法に対し、溶融・固化温度上下20℃程度で制御する独自方式で他社にない小型成形機を開発したと述べている。

  • 課題の認識と解決4

    ウェルドラインやひけなどの課題を挙げ、加熱冷却成形で転写精度を高める具体策を示し、高付加価値製品の受注につなげている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    「期待を超える製品に仕上げていく」など定性的な記述のみで、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    35t〜180tの射出成形機35台や多数の周辺設備の保有は書かれているが、補助事業を担う人員や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    光学レンズなど肉厚成形品の需要増に応え、高精度・小ロット対応を求める顧客ニーズに基づく事業であることが読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    新工場建設や超エンプラ材ごとの加工技術確立の経緯は書かれるが、中長期の検証方法やスケジュールは具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    肉厚10mm以上の光学レンズをガラスから加熱冷却成形で置き換える高付加価値化が示され、一般的に普及していない成形技術である。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    新工場建設や周辺製品の受注効果は書かれるが、川上・川下への波及や雇用創出など国が補助する積極的理由は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値増加額など費用対効果を示す数値はなく、熱履歴時間短縮による物性維持の効果のみ書かれている。

  • イノベーションへの貢献3

    独自の温度・時間制御ノウハウで小型加熱冷却成形を確立したと書かれるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は述べられていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    光学レンズなど新分野への進出を長期的に目指すと書かれているが、市場成長分野との関係や構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及2

    京都府南丹市での新工場建設が書かれるが、地域の特性を活かした付加価値創出や雇用・成長への効果は具体的に示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

現工場に加えて京都府南丹市に敷地1,000坪を取得し、新工場を建設中。今回確立した技術で、これまで取引のなかった企業にも進出し、プラスチック射出成形の可能性を広げたいとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。