ものづくり補助金平成26年度製造業岐阜県

産廃酒粕からSHO-CHU開発!酒蔵来訪客・インバウンド客から国内・海外へ発信!

有限会社渡辺酒造店

この事例のポイント

  • 酒粕の処理は二次利用と手作業に頼っており、年間20トン近くが産業廃棄物として残っていた。
  • 名古屋市の醸造機器メーカーからマイクロ波加熱酒粕減圧装置を導入した。
  • これまで産業廃棄物となっていた酒粕を、香りの高いフルーティーな焼酎に作り変えることができた。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社渡辺酒造店
所在地岐阜県 飛騨市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
従業員数40人
資本金500万円
設立1954年

事業の背景

飛騨地方の酒造メーカーとして1870年に創業し、全国の品評会で多数の賞を受賞してきた。消費者の日本酒離れで清酒業界は苦境にあるなか、情報発信や顧客との直接取引を増やす工夫により、過去10年で売上を4億円から10億円へ毎年伸ばしてきた。一方で酒粕は板粕や漬粕などに加工してきたが、それでも年間20トン近くが残り産業廃棄物になっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算酒粕の処理は二次利用と手作業に頼っており、年間20トン近くが産業廃棄物として残っていた。
  • コスト・採算数年後には50トンの余剰な酒粕が出ると予測され、産廃として処分すると費用が膨大になる見込みだった。
  • 生産能力清酒の生産拡大に伴い副産物の酒粕が大量に発生し、酒粕の処理販売のプロセスを革新することが大きな課題だった。

やったこと

名古屋市の醸造機器メーカーからマイクロ波加熱酒粕減圧装置を導入した。この装置はボイラーが不要の一体型減圧蒸留機で、減圧下で高熱のマイクロ波により酒粕を処理する。開発チームは数十回の試験運転とサンプリング測定を行い、計12トンの酒粕を投入して1565リットルのカストリ焼酎を抽出した。訪れる観光客に試飲アンケートを行い、味と香りともに高評価を得た。

加工機マイクロ波加熱酒粕減圧装置

新しい製品・サービス:飛騨蓬莱 蔵元の隠し焼酎(酒粕を原料とするカストリ焼酎)

事業の効果

これまで産業廃棄物となっていた酒粕を、香りの高いフルーティーな焼酎に作り変えることができた。焼酎は「飛騨蓬莱 蔵元の隠し焼酎」として商品化し、国内外の観光客へ発信してブランド力を高めている。蒸留で得た焼酎粕は飛騨牛の飼料などにも活用されている。この取り組みにより地域の集客力が強化され、飛騨古川への持続的な貢献が可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の酒造事業と過去10年の売上増加(4億→10億円)は読み取れるが、焼酎製造を経営戦略に位置付ける記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    全国酒類コンクール1位やモンドセレクション16年連続金賞など品質の強みと、観光客・インバウンドへの発信が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    年間20トンの酒粕が産廃となり、数年後に50トン余剰と予測される課題に対し、12トン投入で1565リットルの焼酎を抽出した具体的な解決策が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、売上増加の見込みのみがうかがえる。

  • 事業を進める体制3

    数十回の試験運転やサンプリング測定を行う開発チームが存在するとあるが、体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    観光客への試飲アンケートで味・香りが高評価、台湾・中国の観光客にも人気と、ターゲットとニーズの裏付けが具体的。

  • 事業化までの道筋3

    木樽長期熟成の古酒販売予定や物流センター完成など今後の展開は書かれているが、スケジュールや課題解決方法は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    酒粕由来の焼酎は一般的な分野ではなく、香りの高いフルーティーな焼酎として高付加価値化を図る点が示されている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    地域の集客力強化や飛騨古川への貢献が書かれているが、雇用や波及効果の数字は示されていない。

  • 費用対効果4

    産廃となっていた酒粕から新商品を生み、処分費用の膨張を避ける効果が示されているが、投入額との費用対効果の数字はない。

  • イノベーションへの貢献3

    マイクロ波加熱の減圧蒸留装置による酒粕の新利用は示されるが、サプライチェーンへの波及は具体的に書かれていない。

政策面70%
  • 成長分野への進出2

    酒粕の産廃削減とインバウンド向け商品化はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及5

    飛騨古川の地域集客力強化、飛騨牛飼料への活用、創業150周年の記念酒など地域の特性を活かした事業であることが具体的に読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

2020年に創業150周年を迎えるため、木樽で長期熟成させた記念酒(古酒)を新商品として販売する予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。