ものづくり補助金平成26年度製造業岐阜県

スマートフォンアプリを利用した外出中の認知症高齢者お声がけシステムの開発

有限会社三進社印刷所

この事例のポイント

  • 近年、印刷業界は縮小傾向にあり、時代に即した新事業展開が不可欠だと感じていた。
  • Beaconセンサーとスマートフォンアプリを使い、地域全体で認知症高齢者を見守るシステムを開発した。
  • 障害物のある場所でも障害物がない場所と遜色なくスマートフォン上にメッセージを表示できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社三進社印刷所
所在地岐阜県 岐阜市
業種印刷・同関連業
技術分野デザイン,情報処理,精密加工
従業員数4人
資本金300万円
設立1996年

事業の背景

創業以来70年にわたり、公的機関を中心に商業印刷、フォーム印刷、出版印刷を手掛けてきた。発注目的を捉えた印刷と納期の正確性に自信を持つ。近年はレーザー彫刻機による多様なカッティング加工を開始し、自治体や病院等の現場で使う簡易システムも自社開発している。印刷業界は縮小傾向にあり、認知症高齢者は予備軍を含めると国内に800万人以上おり国の重要課題の一つとなっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術近年、印刷業界は縮小傾向にあり、時代に即した新事業展開が不可欠だと感じていた。
  • 新製品・新技術医療系の印刷物を数多く手掛けてきた経験を生かし、認知症高齢者関連のアプリ開発を試みる必要があった。
  • 生産能力認知症高齢者が外出した際、第三者は認知症かどうか、サポートが必要かを判断しにくく、声がけができない現状があった。

やったこと

Beaconセンサーとスマートフォンアプリを使い、地域全体で認知症高齢者を見守るシステムを開発した。地域住民が事前にアプリをダウンロードし、センサーを持ち歩く認知症高齢者が近づくと音やメッセージでその位置を知らせ、住民がサポーターとなって助け合う仕組みを構築した。電波は水や鉄筋コンクリートに遮断されるという課題があったため、障害物に合わせた補正係数を積算するアルゴリズムを開発した。また携帯しやすいセンサーケースの作製のためレーザー加工機を導入し、イラストや家族の写真を入れられるケースを考案した。

加工機レーザー加工機
ソフトBeaconセンサーとスマートフォンアプリを連動させるシステム

新しい製品・サービス:スマートフォンアプリを利用した外出中の認知症高齢者お声がけシステム

事業の効果

障害物のある場所でも障害物がない場所と遜色なくスマートフォン上にメッセージを表示できるようになった。レーザー加工機の導入により、素材の種別に関係なく立体物に彫刻・加工が可能となり、個別の要望に合わせたケースの加工ができるようになった。本システムの開発を機に病院内の連れ去り防止用の新生児見守りセンサー等の次のシステム開発につながり、受注にも至って売上拡大につながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性4

    印刷業の経験を生かし医療系印刷物の実績から認知症関連アプリ開発を試みたと記載あり、過去事業との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    電波遮断という課題に補正係数アルゴリズムで対応したとあるが、市場動向や競争優位性の記述は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    印刷縮小という課題認識と新事業展開の必要性は書かれているが、事業計画の定量的な実効性は示されていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    受注による売上拡大に触れるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、具体的数値も読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    設計・開発・運用の体制を整えたとあるが、従業員4人規模での人材配置や事務処理体制の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    自治体や病院の現場向け、認知症高齢者の外出時の声がけ困難という課題とニーズが具体的に記載されている。

  • 事業化までの道筋3

    次の展開として小型化や新生児見守りセンサーへの発展が示されるが、スケジュールや課題解決方法は明確でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    認知症関連の見守りシステムという分野で、既存の仕組みとの差異は示されるが、普及度や高水準化の数値根拠は薄い。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用4

    認知症高齢者は国内800万人以上とされ国の重要課題と記載があり、社会的必要性と地域インフラ構築の意図がうかがえる。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数値は記載がなく、わずかに売上拡大がうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献4

    Beaconセンサーとスマートフォンアプリの連動で地域住民が助け合う仕組みを構築し、大学等の研究機関との連携も記載されている。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    センサー小型化や紙媒体との融合など成長分野への展開がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は明確でない。

  • 地域経済への波及4

    地域住民が認知症高齢者のサポーターとなる地域密着の仕組みで、住みよいまちづくりへの貢献が具体的に記載されている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

センサー類は今後ますます小型化が進むと考えられ、本業の紙媒体との融合やアプリとの連動で新たな商品化が図れると期待している。ピアス等のように気軽に身につけられるセンサーも見据え、素材を問わず微細な彫刻・加工ができるようレーザー加工のノウハウを蓄積し準備をしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。