ものづくり補助金平成26年度卸売業、小売業静岡県

植物工場事業向け統合型養液センサー及び養液分析システムの試作開発

株式会社ファームシップ

この事例のポイント

  • 多くの植物工場で養液の成分管理が十分に実施されていなかった。
  • 複数の養液センサーを一体化した統合型養液センサーを開発した。
  • 統合型養液センサーによりセンサーの数量が大幅に減り、取り付け工事費用なども大幅に削減されて、植物工場の導入コストを抑えられるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ファームシップ
所在地静岡県 東京都中央区
業種機械器具卸売業
技術分野製造環境
資本金1億円
設立2014年

事業の背景

株式会社ファームシップは2014年設立のスタートアップアグリ企業で、植物工場の設計・建築・研究開発から生産、物流・販売までを一気通貫で手掛けている。収益性の高い事業運営に重要な独自のノウハウを蓄積し、パートナー企業にオープンに共有することで投資を呼び込み、業界随一の植物工場ネットワークを構築している。大多数の植物工場は水耕栽培を基礎としており、事業の安定化と収益化には液体肥料をはじめとした養液の成分管理が非常に重要である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度多くの植物工場で養液の成分管理が十分に実施されていなかった。
  • コスト・採算水温、水分量、残留塩素濃度などを測るセンサーがそれぞれ独立しており、養液分析に必要なセンサー端末数が多く、システム導入コストが高くなっていた。
  • 品質・精度センサー自体の感度が安定しておらず、改善が必要だった。
  • 新製品・新技術統合型養液センサーに対応する養液検査システムが当時存在せず、制御系の機器と併せて上位のシステムを開発する必要があった。

やったこと

複数の養液センサーを一体化した統合型養液センサーを開発した。これにより、水温、水分量、残留塩素濃度などを測る複数のセンサーを一つにまとめ、使用するセンサーの数量を大幅に削減した。その結果、取り付けの工事費用なども大幅に削減された。また、養液分析システムに対応するクラウド型ウェブアプリケーションを開発し、統合型養液センサーとの結合が正常に作動することを確認した。

検査測定統合型養液センサー
ソフト養液分析システム
ソフトクラウド型ウェブアプリケーション

新しい製品・サービス:統合型養液センサー

事業の効果

統合型養液センサーによりセンサーの数量が大幅に減り、取り付け工事費用なども大幅に削減されて、植物工場の導入コストを抑えられるようになった。養液分析システムと組み合わせることで、より安価に高機能な環境制御システムを導入できる仕組みが実現した。これまでの植物工場事業者に加え、一般の水耕栽培事業者を新たな顧客として取り込むことができた。植物工場の生産性向上につながるサービスの提供も実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    農業に特化したノウハウを蓄積し、パートナーに共有する戦略をとると書かれ、事業との一貫性は読み取れるが過去の取組の詳細は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    養液管理が不十分な植物工場が多いという課題認識と、一般水耕栽培事業者を新顧客に取り込んだ点はあるが、市場規模や競合の数値は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    センサー数の多さで導入コストが高いという課題を特定し、統合型センサーで数量を大幅削減したと具体的に示している。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    導入コストの大幅削減や新規顧客獲得は書かれるが、高付加価値や賃上げの具体的な目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    設立年や資本金は書かれるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的な記述はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    植物工場事業者など顧客ターゲットと、安価で高機能な環境制御という選ばれる理由が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作開発の成果と動作確認は書かれるが、事業化の遂行スケジュールや課題解決方法の記述は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    植物工場の養液管理は普及が進んでいない分野で、センサー統合による高機能化・低価格化を図る点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    日本農業再生やスマートアグリの発展、新規雇用創出効果への言及はあるが、経済波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    導入コストの大幅削減や工事費用の削減は書かれるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    養液分析システムとクラウド型ウェブアプリを開発し、生産性向上に資するデジタル技術活用が具体的に記載されている。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    スマートアグリという成長分野への進出が書かれ、農業の構造転換への関与はうかがえるが、数値根拠は薄い。

  • 地域経済への波及3

    富士市の植物工場拠点を活用した事業が書かれ地域性はあるが、地域の雇用や成長への定量的効果は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

日本農業再生の一環としてスマートアグリ(先端技術農業)が注目を集めており、開発した養液センサーはスマートアグリに必要な要素をすべて備えている。同市場の発展とともに、さらなる新規顧客の開拓も見込める。また、植物工場という業態により、働きやすい環境での短時間労働が実現し、新たな雇用の創出効果も期待できる。

業種と困りごとが近い成果事例

東京都卸売業、小売業平成25年度

スライド式ホルダーを採用した床排水トラップの開発

製品形状を円形から正方形に変更し、一軸方向へのスライドで着脱できるスライド構造の床排水トラップ「スライドロック」を開発した。

効果:洗濯機の排水ホース内に残ってしまう排水量を大幅に少なくすることができた。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。