ものづくり補助金平成24年度長崎県

「活イカ」高密度 新規性海水浄化装置付き輸送装置の開発

株式会社古川電機製作所

この事例のポイント

  • 小型水槽(約1,000L)に活イカを効率よく収納するための水槽設計が課題だった。
  • 長崎県と共同で、関東・関西向けの活イカ輸送システムの試作機を開発した。
  • 活イカを生きたまま高密度で長距離輸送できる装置を開発し、アオリイカ用装置は実用化可能と確認できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社古川電機製作所
所在地長崎県 長崎県佐世保市
業種機械器具小売業
技術分野冷凍空調
従業員数60人
資本金2億円
設立1948年

事業の背景

長崎県のイカ類の漁獲高は年間19,266トン(平成21年度)で、年間生産額は100億円程度である。漁獲量の4割弱をケンサキイカとアオリイカが占めるが、従来技術の活イカ輸送は1トン水槽当たり20〜30kgが限度で、安価な氷蔵または冷凍状態で遠隔地に輸送されていた。活イカの出荷単価は2,000〜3,000円/kgで、鮮魚の800〜900円/kgより高い。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力小型水槽(約1,000L)に活イカを効率よく収納するための水槽設計が課題だった。
  • 新製品・新技術水流と水量を最適にする水循環システム(ポンプ能力を含む)の検討が必要だった。
  • 新製品・新技術機械装置の配置設計と塩害対策が必要だった。
  • 品質・精度輸送中のイカのへい死を防ぐ必要があった。
  • コスト・採算機器と消耗品の耐用期間と交換時期を検証し、メンテナンス費用の目安を得る必要があった。

やったこと

長崎県と共同で、関東・関西向けの活イカ輸送システムの試作機を開発した。アンモニアを電解分解し活性炭で浄化する装置と、2段処理の泡沫分離装置を組み合わせ、タンパク質からイカ墨まで除去する仕組みを搭載した。漁協、長崎県工業技術センター、長崎県総合水産試験場の協力を得て、アオリイカとケンサキイカの積載移送試験を行い、それぞれの生存率を確認した。試験の結果、アオリイカは条件を十分満たしたが、ケンサキイカは実用化には厳しい結果となった。

  • その他電解アンモニア分解システム泡沫分離装置活イカ輸送装置 IAQUROS V

新しい製品・サービス:活イカ輸送装置 IAQUROS V

事業の効果

活イカを生きたまま高密度で長距離輸送できる装置を開発し、アオリイカ用装置は実用化可能と確認できた。従来の活魚車の2倍以上の収容密度を実現し、最長24時間の輸送が可能となり、全国のイカ産地から関東・関西への輸送をカバーできる見込みである。ケンサキイカについては生存率を上げることが課題と明確になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性特許取得のアンモニア分解技術があり模倣は容易でないとされ、福岡市場など需要地への供給も示されている。
  • 4
    課題の認識と解決1トン水槽当たり20〜30kgが従来の限度と数値で課題を示し、収容密度や生存率の改善を進めていると書かれている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け活イカの出荷単価2,000〜3,000円/kgと鮮魚800〜900円/kgの比較があり、福岡・関西・関東の需要地が示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標高密度輸送の目標は海水に対しイカ重量5%以上と示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    数年前から長崎県と共同で要素技術開発を行い、活イカ輸送システムを継続して開発してきた経緯が書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    特許取得のアンモニア分解技術があり模倣は容易でないとされ、福岡市場など需要地への供給も示されている。

  • 課題の認識と解決4

    1トン水槽当たり20〜30kgが従来の限度と数値で課題を示し、収容密度や生存率の改善を進めていると書かれている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高密度輸送の目標は海水に対しイカ重量5%以上と示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    長崎県工業技術センターや水産試験場、漁協と協力して試験を行ったと書かれるが、社内の人材や事務体制の記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    活イカの出荷単価2,000〜3,000円/kgと鮮魚800〜900円/kgの比較があり、福岡・関西・関東の需要地が示されている。

  • 事業化までの道筋4

    フィールドテストの結果を受け、製品改良、アオリイカ用の先行販売、ケンサキイカの継続試験という段階的な進め方が書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    活イカの出荷単価が鮮魚の2〜3倍以上と高く、高密度・長時間輸送を実現する高付加価値な装置として位置付けられている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    年間生産額100億円程度のイカ類産業と産地から遠隔地への安定供給が示されるが、雇用創出への言及は乏しい。

  • 費用対効果3

    収容密度69%、生存率95%など数値で効果が示される一方、補助金額に対する付加価値増加の試算は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    新規性のある水処理技術や特許が書かれるが、デジタル技術の活用やサプライチェーン全体の変革への言及は少ない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    活イカ輸送という既存分野の改善にとどまり、日本経済の構造転換に資する成長分野への進出は読み取れない。

  • 地域経済への波及4

    長崎のイカ産地という地域特性を活かし、福岡・関西・関東へ安定供給する地域間輸送の構想が示されている。

今後の展望

初年度はアオリイカ専用機として販売し、市場評価を集めながら、ケンサキイカ共用機や中型・大型装置、活魚車用後付ユニットのラインナップを強化して販売台数を増やす計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。