ものづくり補助金平成26年度製造業愛知県

デザイン性の高い点字により健常者と視覚障がい者双方が点字への認識を高める

プリントス株式会社

成果版を使った時と比べ価格を10分の1以下の1980円(消費税込み)に抑えた

この事例のポイント

  • 点字の普及率を高めるには、より安価な製品づくりが求められていた。
  • 平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金を活用し、インクを重ねて厚盛り印刷ができる3Dインクジェットプリンターを導入した。
  • 版を使った時と比べ価格を10分の1以下の1980円(消費税込み)に抑えた。厚盛り印刷によりカラー点字を作れるようになり、版を使わずに安価に点字シールを製造できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名プリントス株式会社
所在地愛知県 一宮市
業種印刷・同関連業
従業員数30人
資本金1,000万円
設立1986年

事業の背景

同社は30年前から点字印刷を手がけ、駅の券売機操作盤や案内板などに点字を施してきた。点字は版を用いたスクリーン印刷でしか生産できず、個人では設置を断念する場合が多かった。視覚障害者は厚生労働省によれば10%に満たず、点字の識字率は上がらない状況にあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑点字の普及率を高めるには、より安価な製品づくりが求められていた。
  • 販路・情報発信点字の必要性を晴眼者にも認知してもらう必要があった。
  • コスト・採算スクリーン印刷で点字を作る場合、版代が加算され2〜3万円の費用負担が必要だった。

やったこと

平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金を活用し、インクを重ねて厚盛り印刷ができる3Dインクジェットプリンターを導入した。ローランド製のUV-LEDインクジェットプリンターを用いてカラー点字を考案し、インクを重ねる厚盛り印刷で透明ではなく目立つ色の点字を作れるようにした。この装置で作成した「おまかせ点字シール」を、トイレなど家庭にあるものに貼れるシールとして11種類展開した。版を製作する必要がなくなったことで、印刷用の版を作って刷っていた時と比べ価格を10分の1以下の1980円(税込)に抑えた。

加工機3Dインクジェットプリンター(厚盛り印刷対応)
加工機UV-LEDインクジェットプリンター(ローランド製)

新しい製品・サービス:おまかせ点字シール(家電製品や生活場面などのテーマごとに分類され、必要な単語が入った商品)

事業の効果

  • 版を使った時と比べ価格を10分の1以下の1980円(消費税込み)に抑えた
  • 「おまかせ点字シール」は月平均30枚、現時点で約300枚を販売

厚盛り印刷によりカラー点字を作れるようになり、版を使わずに安価に点字シールを製造できるようになった。価格は版を使った時の10分の1以下の1980円に抑えられ、売り上げは順調に伸びている。ECサイトを中心に販売し、家庭で点字に触れる機会を増やした。点字を目で楽しめる存在にして、健常者の点字への認識を高める効果が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    事業の経緯は「30年前に始めた点字印刷」程度で、過去の取組との一貫性や経営戦略上の位置付けは具体的に読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    「版代が2―3万円」が「10分の1以下の1980円」になった点や、現在の市場(EC販売)の記載から強みは読み取れるが、競合や市場動向の分析は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    従来は版代が2―3万円で個人が点字設置を断念していた課題を、価格を1980円に抑える製品で解決し、月平均30枚、約300枚販売と数字で示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、売上の増加は「順調に伸びている」とあるのみで目標値は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    従業員数30人、設立昭和61年、30年前からの点字印刷の実績はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け5

    価格1980円、11種類のシール展開、EC中心の販売、需要ごとの単語入り商品など、顧客ターゲットと選ばれる理由が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    「需要がある限り生産は続ける」「外国語シールは要望があれば検討」とあり方向性はあるが、遂行スケジュールや課題解決方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    点字は一般に認知が低く、従来は版を使うスクリーン印刷のみで、カラー点字は「UV―L EDインクジェット」による厚盛り印刷で新たに考案されたと記載されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    点字識字率の低さ(障害者の10%未満)や視覚障害者と晴眼者の壁を減らす社会的意義が書かれ、公的意義は読み取れるが国が補助する積極的理由は薄い。

  • 費用対効果3

    版代が10分の1以下になり、点字設置の裾野が広がった点は読み取れるが、補助金額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    カラーユニバーサルデザインへの参画や、晴眼者の関心を高める取組は読み取れるが、先端デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は具体性が薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    一宮市の本社所在地は分かるが、地域の特性を活かした付加価値創出や地域経済の牽引についての記述はわずかにうかがえる程度。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

需要がある限り生産を続ける方針。外国語の点字シールは現時点でないが、要望があれば検討する。

事業者の声

今まで点字は障害者だけのものだったが、一般の人も目で楽しみ、興味を持ってほしい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。