ものづくり補助金平成26年度製造業滋賀県

匠の技とレーザー加工機の融合による「扇骨」の新提案

この事例のポイント

  • 扇骨は工程ごとに分業され、仲骨や親骨の加工には手作りによる熟練の技と長年の経験が必要で、後継者が減少している。
  • 滋賀県工業技術総合センターの技術指導を受け、デザインに必要なイラストレーター、CADなどのグラフィックソフトの技術を習得した。
  • レーザー加工機の導入により、国内で限られた職人にしか作れなかった複雑な形状の扇骨を自社で製造できるようになった。

事業者のプロフィール

所在地滋賀県
業種木材・木製品製造業
技術分野デザイン,精密加工

事業の背景

扇骨の製造は工程ごとに分業されており、扇面が張られる仲骨と親骨を合わせると、多くの工程を経て製品が完成する。伝統工芸である扇骨は、生活様式の変化や安価な海外品の流入、後継者の減少によって危機に直面していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能扇骨は工程ごとに分業され、仲骨や親骨の加工には手作りによる熟練の技と長年の経験が必要で、後継者が減少している。
  • 生産能力複雑な形状の加工は国内でも限られた職人にしか手掛けられず、デザイン性の高い扇骨を自社で製造することが難しかった。
  • 生産能力手作業で最も重要な工程に時間がかかり、生産性を高める必要があった。
  • その他生活様式の変化と安価な海外品の流入により、扇骨など伝統工芸の技術が危機に直面していた。

やったこと

滋賀県工業技術総合センターの技術指導を受け、デザインに必要なイラストレーター、CADなどのグラフィックソフトの技術を習得した。レーザー加工機による扇骨の材料である竹の最適な加工条件を検討した。その結果、国内でも限られた職人しか手掛けられなかった複雑な形状の加工が可能になり、自社でデザイン性の高い扇骨を製造できるようになった。さらに、手作業で最も重要な工程が機械化により効率化された。

加工機レーザー加工機

新しい製品・サービス:紙や布を貼らない竹材だけの竹扇子(高島扇骨を用いたデザイン性の高い扇子)

事業の効果

レーザー加工機の導入により、国内で限られた職人にしか作れなかった複雑な形状の扇骨を自社で製造できるようになった。手作業で最も重要な工程が機械化され、生産性が向上した。竹材だけの扇子は水濡れに強く強度も高く、軽量・コンパクトで実用品のほか装飾品やインテリアとしても新たな市場の拡大が見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    伝統工芸の扇骨製造を継承しつつ新設備を導入すると記載があるが、過去の取組との一貫性や経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    安価な海外品の流入と後継者減少という外部環境は触れられているが、自社の強み・弱みとの対比は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決3

    手作業工程の機械化で生産性向上を図るとあるが、高付加価値化の実効性を示す計画の詳細は読み取れない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産性向上とあるが、付加価値額や賃上げの目標値、数値は記載されていない。

  • 事業を進める体制3

    滋賀県工業技術総合センターの技術指導を受け、ソフト習得や加工条件検討を進めたと記載があり、体制の一端がうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    複雑形状やデザイン性の高い扇骨、軽量・コンパクトで水濡れに強い竹扇子など、製品の価値と特長が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    大学との連携や若い世代の取り込みは触れられているが、遂行スケジュールや課題解決方法の詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    竹材だけの竹扇子は業界で初めての試みで誰も製造していないと記載され、同分野で新規性が高いことが読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    伝統工芸の危機と担い手となる若い世代の雇用創出に触れているが、波及効果の定量的な根拠は薄い。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    レーザー加工機やCAD等の新技術を伝統工芸に導入する点は読み取れるが、地域やサプライチェーン全体への貢献は具体性が薄い。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    伝統工芸の新市場開拓や装飾品・インテリア用途への広がりがうかがえるが、構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及4

    滋賀県の伝統工芸である高島扇骨の技術を活かし、産地の活性化と若い世代の雇用につなげる旨が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新製品の開発や新たな市場の拡大を進め、滋賀県扇子工業組合の一員として産地の活性化と伝統工芸の担い手となる若い世代の雇用につなげていく方針。大学と連携してデザインに若い世代の感性を取り入れることも考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。