ものづくり補助金平成26年度卸売業、小売業京都府

新方式を採用した本格京料理の「やわらか介護食」の試作開発

株式会社辰馬コーポレーション

この事例のポイント

  • 従来のミキサー食は食材に制限があり、食品添加物が混入する可能性があった。
  • 従来のペースト状のソフト介護食の手法に、酵素を用いた広島県立総合技術研究所食品工業技術センター開発の「凍結含浸法」を組み合わせ、新たな製造方法を開発した。
  • やわらか介護食は、「京料理せんしょう」での提供に加え、百貨店やテレビ通販ではなく宅配介護の株式会社はーと&はあとライフサポート様でも取り扱われるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社辰馬コーポレーション
所在地京都府 京都市右京区
業種飲食料品小売業
技術分野バイオ
従業員数8人
資本金4.5億円
設立1998年

事業の背景

株式会社辰馬コーポレーションは京都西院で京料理「せんしょう」を開業し、22年にわたり地元客に親しまれてきた。お客様が歳を重ね、4世代で来店するケースが増えたことから、ご高齢の客が安心して食べられる日本料理を求める声が寄せられるようになった。当社は一般客、百貨店、宅配介護業者を主要取引先としている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来のミキサー食は食材に制限があり、食品添加物が混入する可能性があった。
  • 新製品・新技術日本料理のように目でも楽しめず、美味しくないという声があった。
  • 品質・精度凍結含浸法は輸送時に食材の形が崩れるという欠点があり、改良が必要だった。

やったこと

従来のペースト状のソフト介護食の手法に、酵素を用いた広島県立総合技術研究所食品工業技術センター開発の「凍結含浸法」を組み合わせ、新たな製造方法を開発した。この製造方法について特許登録を得た。食材に酵素を付与する充填機、酵素を反応させる低温保存庫、加熱処理後の菌の発生を防ぐ急速凍結庫、品質保持のためのパッケージを行う自動包装機を導入した。また、外部諮問機関と契約し、衛生管理計画に基づいて改善活動を行っている。炊き合わせや焼き物のセット、おせち料理などのお重を試作・開発した。

加工機充填機
その他低温保存庫
その他急速凍結庫
加工機自動包装機

新しい製品・サービス:凍結含浸法を用いた本格京料理のやわらか介護食

事業の効果

やわらか介護食は、「京料理せんしょう」での提供に加え、百貨店やテレビ通販ではなく宅配介護の株式会社はーと&はあとライフサポート様でも取り扱われるようになった。百貨店の通販サイトからの受注を得ており、今年度は減塩おせち料理で500食の受注を目指している。製造方法の特許登録により、本格的な京料理の味と見た目を保ちつつ柔らかい介護食を提供できる体制が整った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    京料理せんしょうを22年運営し、やわらか京料理の製造販売へ展開した経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    百貨店通販での受注や減塩おせち500食の目標など市場動向は触れているが、自社の強み・弱みとの関係の説明は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    ミキサー食の食材制限や添加物混入、味の問題を課題として挙げ、凍結含浸法で解決する方向は示されているが、事業計画の定量的な裏付けは薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    減塩おせち500食の受注目指しなど数字はあるが、高い付加価値創出や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員8人で、代表が管理栄養学と日本料理の経験を持つことはうかがえるが、補助事業の遂行体制として具体的な記載は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ご高齢者向けの柔らかさ、本物の京料理の味、雑菌・添加物を含まないという3つの目標と、百貨店や宅配介護業者の取引先が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    製造方法の特許登録、医療機関向け展開へのHACCP・ISO22000対応、専用工場の検討など中長期の課題と方向性は示されているが、スケジュールは不明。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ペースト方式に凍結含浸法を組み合わせ、本格京料理の見た目と味を保つ介護食を開発した新規の製造方法で、高付加価値化が図られている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    高齢者が安心して食べられる介護食の提供という社会的ニーズはうかがえるが、経済波及や雇用創出の記述は少ない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値額の増加や生産性向上の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    凍結含浸法の新製造方法や医療機関向け展開を目指す点はイノベーションの方向性として読み取れるが、デジタル技術の活用は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    高齢化に伴う介護食市場への進出という方向性はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    京都の京料理の伝統を活かした介護食という地域性はうかがえるが、地域の雇用や成長への効果は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ジュレの開発を進め、高齢者も包み流し込める食品を提供する計画である。将来的には医療機関向けに介護食を提供することを目指しており、エビデンスやHACCP、ISO22000への対応が必要となるため、専用工場の設立も視野に入れている。

業種と困りごとが近い成果事例

東京都卸売業、小売業平成25年度

スライド式ホルダーを採用した床排水トラップの開発

製品形状を円形から正方形に変更し、一軸方向へのスライドで着脱できるスライド構造の床排水トラップ「スライドロック」を開発した。

効果:洗濯機の排水ホース内に残ってしまう排水量を大幅に少なくすることができた。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。