ものづくり補助金平成26年度製造業大阪府

エレクトロニクス製品の製造に欠かせぬ集塵機を開発

チコーエアーテック 株式会社

この事例のポイント

  • 大規模工場では数百台もの集塵機が使われているが、人による確認作業ではすべての装置の状況を把握することが難しい。
  • 生産設備に搭載したセンサー情報をもとに故障予測を行うため、集塵機にモーターの回転数や温度を計測するセンサーと圧力センサーを搭載した。
  • 開発した集塵機は平成29年9月に発売を始め、故障予測の精度が格段に向上した。

事業者のプロフィール

事業者名チコーエアーテック 株式会社
所在地大阪府 大阪府箕面市
業種電気機械器具製造業
技術分野製造環境
従業員数48人
資本金2,500万円
設立1998年

事業の背景

平成10年に設立された同社は、平成17年頃に自社ブランドの集塵機を発売し、約3分の1に小型化した製品が持ち運びや狭い場所への設置のしやすさで好評を得て販売を伸ばした。主力製品の集塵機は半導体工場のクリーンルームなどで多用され、現在は月600台ペースで販売している。顧客はスマートフォン向け精密電子部品を製造する国内の有力企業や韓国の半導体最大手など多岐にわたり、有機ELパネルや車載用リチウムイオン二次電池などの成長分野でも需要を拡大しつつある。工場の生産設備でもIoT化が進み、センサー情報をもとに故障予測を行う活動が主流となりつつあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力大規模工場では数百台もの集塵機が使われているが、人による確認作業ではすべての装置の状況を把握することが難しい。
  • 生産能力工場で使う集塵機は停止できない場合があり、故障やフィルターの目詰まりによる集塵能力の低下を事前に把握する手段が不足していた。
  • 人手・技能モーター制御を高度化した集塵機は動作検証に熟練作業が必要で、海外生産がうまくいかなかった。

やったこと

生産設備に搭載したセンサー情報をもとに故障予測を行うため、集塵機にモーターの回転数や温度を計測するセンサーと圧力センサーを搭載した。収集したデータをもとにモーターの状況やフィルターの目詰まりを推定し、故障を予測できるようにした。圧力センサーのデータから周辺の配管の空気漏れを推定するなど、装置周辺の状況も把握できるようにした。多数の集塵機をLANケーブルで接続して稼働状況を一元的に把握できるようにし、スマートフォンやタブレット端末から稼働状況を確認できる無線通信機能も搭載した。これらは4回目のバージョンアップにあたり、故障予測の精度が格段に向上した。

その他IoT対応集塵機(故障予測・遠隔診断・無線通信機能搭載)
検査測定回転数・温度計測センサー
検査測定圧力センサー

新しい製品・サービス:IoT対応の集塵機(センサー搭載による故障予測・遠隔診断、無線通信機能付き)

事業の効果

開発した集塵機は平成29年9月に発売を始め、故障予測の精度が格段に向上した。複数の集塵機の稼働状況を一元的に管理できるため、ある集塵機が停止しそうな場合や集塵能力が低下しそうな場合には別の集塵機を稼働させ、全体の集塵能力を維持できるようになった。小規模な集塵機の導入にとどまる工場でも効果的に運用でき、不具合発生時には蓄積したデータの分析で故障の原因や傾向を把握できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成10年設立後、平成17年頃に自社ブランド集塵機を発売し、「世の中にないものを作り続ける」を掲げる一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    小型化と持ち運び・狭所設置のしやすさが好評で販売を伸ばし、大規模工場での遠隔一元管理という強みも具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    大規模工場で人による確認が難しい課題に対し、センサー増設とLAN接続で稼働状況を一元把握する解決策が具体的に示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    月600台ペースや既存製品の置換は書かれるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、わずかにうかがえる程度。

  • 事業を進める体制2

    従業員48名や熟練作業への言及はあるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力について具体的な記載は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    半導体工場や有機ELパネル、車載リチウムイオン電池など需要拡大分野を挙げ、顧客ニーズと選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    日本での開発・製造に力を入れる方針と海外生産の失敗経験は書かれるが、中長期の遂行スケジュールや課題解決方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    有機ELやEV向け電池の製造分野で高付加価値の集塵機を展開し、小型化とIoT遠隔診断という差別化が具体的に示されている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    スマートフォンや車載電池の成長分野への波及は書かれるが、雇用創出や経済波及の規模は示されておらず、国が補助する理由は読み取りにくい。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、生産性向上の数値は示されず、費用対効果はわずかにうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献5

    センサーデータによる故障予測、遠隔診断、周辺配管の空気漏れ推定などIoTを活用し、工場の予防保全に貢献する点が具体的に書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    有機ELや自動車用リチウムイオン電池など成長分野への進出が書かれ、構造転換への寄与がうかがえるが、政策的な位置づけは薄い。

  • 地域経済への波及2

    大阪府箕面市の本社や日本での開発・製造に力を入れる点はあるが、地域の特性を活かした経済成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

既存製品を順次新製品に置き換えていくとともに、半導体製造分野以外に有機ELパネルと自動車用リチウムイオン電池の製造分野へ展開しようとしている。有機ELパネルは需要増大が見込まれ、自動車用リチウムイオン電池も米国や中国での大型設備投資計画があり、これらの生産工場での集塵機の大規模な導入が期待される。

事業者の声

課題を解決することでステップアップしていける

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

MRI用超電導マグネット監視装置の生産体制強化

制御基板の試験を自動化するため、基板検査装置を開発し、手作業で行っていた測定端子の接続や測定値の読み取りを自動化する。

効果:測定工数は予定通り約半分以下の時間となった

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。