ものづくり補助金平成26年度製造業大阪府

鍛造技術で折れない超硬合金刃物を実現

株式会社 AMC

成果カッターナイフの寿命(ペットフード原料袋用クラフト紙の切断) 1ヵ月→15ヵ月

この事例のポイント

  • 刃物の材料はダイス鋼やハイス鋼が多いが、被切断材の高強度化に伴い刃物の寿命が短くなっている。
  • 独立前から進めてきた金属結晶粒の微細化技術を生かし、結晶粒径を従来の2μm〜3μmに対して0.2μm〜0.05μmまで細かくする技術を開発した。
  • カッターナイフの寿命(ペットフード原料袋用クラフト紙の切断) 1ヵ月→15ヵ月。新素材のカッターは従来品より大幅に長寿命になり、ペットフード原料袋用のクラフト紙の切断では1ヵ月の寿命が1年3ヵ月に延…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 AMC
所在地大阪府 大阪市
業種金属製品製造業
技術分野材料製造プロセス,表面処理,複合・新機能材料
従業員数2人
資本金2,000万円
設立2003年

事業の背景

代表の水野雅氏は工業用刃物メーカーで技術開発に携わっていた人物で、2003年12月に株式会社AMCを設立した。樹脂や繊維などの切断用刃物の製造・販売が主な事業で、主力製品は工業用刃物、金型、工具である。主な取引先は刃物メーカー、金型メーカー、製紙、繊維関連企業などで、主力のベアリング製造装置用刃物や、近年好調な製鉄所用連続鋳造機向け刃物の収益が新技術の開発資金となっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度刃物の材料はダイス鋼やハイス鋼が多いが、被切断材の高強度化に伴い刃物の寿命が短くなっている。
  • 新製品・新技術タングステン炭化物などの超硬合金は硬度が高いが、薄い板状では刃の折損が起きやすいという問題があった。

やったこと

独立前から進めてきた金属結晶粒の微細化技術を生かし、結晶粒径を従来の2μm〜3μmに対して0.2μm〜0.05μmまで細かくする技術を開発した。鋼材に微粒子化した超硬合金を溶射し、摩擦圧接のプロセスで表面改質する技術を確立した。ワイヤ放電加工機を導入し、新技術で加工した鋼材から切り出した刃物を試作した。鋼材や超硬合金の厚さ、材質、粒径を変えて試行錯誤し、最適な条件を探った。加工した素材の特性評価は大阪市立工業研究所の協力を得て行った。

加工機ワイヤ放電加工機

新しい製品・サービス:新開発の超硬合金素材を用いたカッターナイフ用刃物(2016年4月製品化)と握りバサミ(2017年6月から供給)。切り絵用や消しゴムはんこ用のデザインカッター、ペットフード袋用クラフト紙などの刃物にも適用した。

事業の効果

  • カッターナイフの寿命(ペットフード原料袋用クラフト紙の切断) 1ヵ月→15ヵ月

新素材のカッターは従来品より大幅に長寿命になり、ペットフード原料袋用のクラフト紙の切断では1ヵ月の寿命が1年3ヵ月に延びた。デザインカッターでは従来品が1日で切れ味が悪くなるのに対し、新素材は4ヵ月経過しても切れ味が変わらなかった。切り絵作家からは力を入れずに済み手への負担が少ないとの評価を受けた。繊維関連商社の取り扱い申し出や握りバサミの市販品より良い切れ味の評価も得られ、販路が広がった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業以来の金属結晶粒微細化技術の研究を継続し、それを刃物材料へ応用した経緯が具体的に書かれ、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    超硬合金の折損問題や高強度化した被切断材という外部動向は書かれているが、競合との比較や自社の強みの定量的な裏付けは薄い。

  • 課題の認識と解決4

    刃の折損という課題を特定し、鍛造圧接で解決する方針と、ペットフード用カッターで寿命1ヵ月から1年3ヵ月に延びた結果が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    寿命延長や切れ味持続の結果は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、わずかにうかがえる程度。

  • 事業を進める体制3

    社長の技術経験、大阪市立工業研究所や大阪大学との共同研究、外部連携による特性評価は書かれているが、従業員は2名と少なく体制は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ペットフード用袋の切断でカッターの寿命が延びたという結果や、切り絵・布地切断など顧客用途と選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    摩擦撹拌装置の移設や本社移転、今後の布地用丸刃・太陽電池用途への展開は書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は詳述されていない。

  • 財務と資金の調達3

    既存事業の収益をつぎ込んできたと書かれているが、資本金2,000万円で金融機関からの調達見込みや財務状況の数値は示されていない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    微粒子超硬合金の溶射と摩擦圧接による表面改質技術で、粒径0.2〜0.05㎛という従来より細かい素材を実現し、高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    製鉄所やペットフードなど関連産業への波及はうかがえるが、雇用創出や国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    寿命が約1ヵ月から1年3ヵ月に延びた結果は示されるが、補助金額に対する付加価値増加や生産性の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    表面改質と微細化技術の開発は書かれているが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は具体的に示されていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    大阪市此花区への本社移転や大阪府内の靴下メーカーへの提供はあるが、地域の雇用や経済成長への牽引効果は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

切れ味の良さと長寿命を生かし、布地の切断に使う丸刃やスリッターナイフ、食品用フィルムや液晶用フィルム、非シリコーン系太陽電池の切断用途へ展開を計画している。刃物以外にも機械の摺動部の材料や絞り用金型への利用を見込んでいる。ハサミとしての拡販は十分期待でき、用途拡大によるさらなる成長を目指す。

事業者の声

技術的に安定しているのがわかってきた

公式の事例集より(原文のまま)

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効果:製造ロット 32.5kg→65kg

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。